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晩秋の、日没迫る森

夏の晴れた日と、雨のしっとりとした日に訪れた、森へ、再びゆく。
今度は秋の日没。虫の声もなく、肌寒く、静けさに包まれた空気が、自然の畏怖を感じさせた。

太陽が山の向こうに沈んでいき、辺りは次第に暗くなっていった。斜面に立つ木の、はっきりとした光の陰影にひどく感動していた。

ついに暗くなった。目を凝らしても、ほぼ何も見えない。自分のそばにあった杉の樹皮に触れてみると、思いのほか湿っていた。

晴れた日も雨の日も朝も昼も夜も、
自然は無言で、ここで生きている。
人間はほんとうにちっぽけな動物だと思い知る。
怖さと美しさの狭間で、そんなことを思った。

フクロウがほうほうと鳴いていた。遠吠えのような鳴き声が、透き通った夜の空になんだかよく似合っていた。上を見上げると、空は青白く、一番星が出ていた。葉のシルエットがよく浮き出ていて、それも日没の趣だった。