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第32回Social Breakfast/『これからの社会に求められる教育のあり方とは』

社会を変える朝ごはん「Social Breakfast」の第32回を、⻁ノ⾨ヒルズのOVAL CAFÉで開催しました!

SOCIAL BREAKFASTとは?
社会のためにと一歩踏み出したいけれど、何から始めたらよいかわからない。社内外の人たちとソーシャルグットで繋がりたい。先駆者に学び、社会を新たな視点から眺めてみたい。という若者が気軽に集える場(朝食代無料です!)をつくりたいと考え、森ビルさんの協力のもと、第一、第三火曜日に実施しています。


第32回Social Breakfastには、テーマを『これからの社会に求められる教育のあり方とは』として、株式会社DISCOVERY STUDIO代表取締役の今村 亮さんにお越しいただきまました。

今村 亮
株式会社DISCOVERY STUDIO代表取締役
教育コーディネーター
1982年熊本市生まれ。東京都立大学卒。2003年、学生時代にNPOカタリバに出会い教育の道を志す。凸版印刷を経てNPOカタリバに入職し、ディレクターとして多数の教育事業創出を手がける。2019年に独立し桜美林大学と「ディスカバ!」を立ち上げた後、東京都の創業支援事業に選出され2020年に法人設立。文京区青少年プラザb-lab館長、文部科学省熟議協働員、岐阜県教育ビジョン検討委員会委員、慶應義塾大学非常勤講師を歴任。2024年現在、桜美林大学高大連携コーディネーター、NPOカタリバパートナー、中野区区民公益活動推進協議会副会長、尼崎市青少年協議会委員。共著『本気の教育改革論』(学事出版)
https://www.ryo-imamura.com/

偶然の出会いが人生を変える ― 教育にかける想い

 今村さんの『教育』との出会いは、大学時代の「偶然の出会い」からだそうです。
それまで教育に対してほとんど関心がなかったが、大学時代にある人との出会いをきっかけに教育に携わる道を選び、教育コーディネーターを目指されたとのこと。その方の影響もあり、教育の本質とは何か、学生たちが学ぶことの意味について深く考え続けてこられたといいます。    
このような「偶然の出会い」こそが人の人生を大きく変える可能性を秘めていると考え、その「偶然」をどのようにして「仕組み」として教育の場に取り入れるかを追求されています。

未来を生きる世代に必要な「探究的学び」

 教育現場での実践において、今村さんが特に注力しているのが「探究的学び」。
この学びは、従来の教科書に基づく知識の詰め込み型から一歩進んで、生徒たちが自ら課題を見つけ、解決策を考え、行動に移す力を養うものです。2022年には「総合的な探究の時間」が高校教育課程に新設されましたが、教科書がなく、評価基準も明確でないため、各学校が独自にカリキュラムを構築しなければならないという課題があります。
今村さんは、この「探究的学び」によって、未来を生きる子どもたちが自立し、社会に出たときに役立つスキルを身につけられると考えています。知識の暗記ではなく、自分自身の考えを深め、他者と協力しながら問題を解決する力を養うことこそ、これからの教育に求められる本質だと強調されました。

桜美林大学と連携した「ディスカバ!」プロジェクト ― 高校生と大学生を繋ぐ新しい学びの形

 桜美林大学と連携して立ち上げた「ディスカバ!」プロジェクトについてもご紹介いただきました。
このプロジェクトでは、大学生がメンターとして高校生をサポートし、学校では得られない社会経験や自己発見の機会を提供しています。大学生が身近なロールモデルとして関わり、高校生がより具体的な将来の目標を描くサポートを行うことで、自己の可能性に気づき、それを伸ばす力を育むことが目的です。この「ディスカバ!」プロジェクトは、高校と大学の教育をつなぐ「新しい形の学び」を実践しています。
高校生にとって、単なる進学準備ではなく、社会で必要なスキルを養う場であり、大学教育とも深く関連しています。将来のリーダーたちが自立して考え、行動する力を身につけることを目指しており、実践の場に触れることで、学ぶことの意味を再発見できる機会を提供しているのです。

人口急減の日本社会における教育の変革

 日本が直面する人口減少における転換期についてもお話しをいただきました。日本は、急増していた人口が今や減少に転じ、やがて急減少時代に入るとされています。この転換が、社会のあらゆる面で従来のシステムの見直しを迫っており、教育もまたその例外ではないとのことです。人口増加時代の教育システムでは、社会の変化に対応することが難しく、新たな時代には新たな教育の枠組みが必要であり、知識を詰め込むのではなく、自ら課題を発見し、解決に向けた行動力を育む「探究的学び」こそが、この転換期における教育の要になると指摘します。

「探究的学び」を支えるコミュニティの重要性

 「教育における変革はコミュニティの力によって支えられる」という信念も語られました。どれだけ革新的な仕組みがあっても、それを運営し、維持していくためには、共感し合い、支え合うコミュニティが不可欠だと考えています。実際に「ディスカバ!」プロジェクトも、単に教育の場を提供するだけでなく、学生たちが互いに支え合い、モチベーション高く、成長するコミュニティとしての役割を果たしているとのことです。
「人が人を変える」力を信じ、知識や仕組みだけでなく、生きた体験や人とのつながり、情熱が、人を変える大きなきっかけになると考え、そのための場をコミュニティとして構築することが重要であると述べられました。

まとめ

 今回は、『これからの社会に求められる教育のあり方とは』をテーマに、株式会社DISCOVERY STUDIOの代表取締役である今村亮氏をお迎えしました。
今村さんは教育コーディネーターとして、これまで携わられた様々なプログラムを通じて得た知見や、日本の教育システムが抱える課題、そして未来に向けて必要とされる「探究学習」の重要性について熱く語ってくださいました。
これまでの教育が抱える課題を解き明かし、単なる知識の詰め込みではなく、学生たちが自ら課題を発見し、それを解決するために主体的に考え、行動する力を育むことがいかに重要であるかを強調されました。これは、単に「学ぶ」ことから「思考・行動する」ことへの転換を促し、変化の激しい現代社会において、学生たちが柔軟に対応し、自らの道を切り開くために必要不可欠なスキルだと述べられました。

 また、「コミュニティの重要性」についても言及されました。いくら良い仕組みや制度を作ったとしてもそれを運営するコミュニティに熱がないと盛り上がらない、うまく回らなくなってしまう危険があるとのことです。学生たちが自分の考えや行動を見つめ直し、他者と協力しながら成長できる場としてのコミュニティが、教育を支える上でいかに重要であるかを語り、コミュニティによってこそ人は人を変え、刺激を受けながら成長できると強調されました。「ディスカバ!」プロジェクトでも、単に教育プログラムを提供するのではなく、参加者同士が支え合い、刺激し合うコミュニティを構築することで、学びの場をさらに深めていることが紹介されました。

最後に、今回のイベントにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

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