まちづくりプロジェクトもキックオフ!
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
郷土の偉人・宮沢賢治の農民芸術概論綱要の一節です。
ぼくは長い間、この言葉の意味が分かりませんでした。
ぼくは町医者として目の前の人に最善をつくすことのみを信念としています。これが揺るぐことは全くありません。個人の幸福を考えて追求していれば、その先に社会全体の幸福もついてくると思っていました。
でも、数年くらい前でしょうか、とある患者さんを見送ったときあたりから、この考えに変化が出てきました。つまり、目の前の人に本物の最善を届けるためには、その周囲や周辺、地域、さらには社会の幸福もやっぱり必要なんじゃないかと。
とある患者さんは、手前味噌ながら、私たちのチームが最高の医療や介護を届けていたという自負があります。でも最後の最後になって、孤独を訴えられました。慌てて、ぼくらが運営するゆきのいろにお連れし、そこで最後のひとときを過ごしていただきました。かつて出会ったことがない笑顔の数々でした。
ということもあって、宮沢賢治がおっしゃった言葉の意味をぼくなりに少しずつ咀嚼し始めるようになりました。
そして、行き着いた一つの答えが、まちづくりです。
面白いものです。数年前はまちづくりなんて全く興味がなかったぼくが、それを語り始めるなんて。ただ、あらためて強調しておきますが、でもやっぱりぼくは目の前の患者さんです。あくまで目の前の患者さんの幸福のためにまちづくりを考えている。この点は何回も強調したいと思います。
今、ぼくらが考えているまちづくりについては、まだ話せる段階にはありません。ラフ案しかありませんので。一つだけ申し上げると、地域完結型で、多世代交流を基本としているということでしょうか。空き家対策なども兼ねていて、社会問題にも向き合います。
ちなみに、写真は、ぼくの考えを変えさせてくれた方が最晩年を過ごしたゆきのいろ。看護小規模多機能です。こちらも、元はと言えば空き家。そこを借り受けて、私たちの拠点としました。今は多くの方が出入りするようになっています。
森のプロジェクトと両輪で、こちらも走らせます。
(こちら、一般財団法人なないろ未来財団のプロジェクトです)
---
■ 町医者 松嶋大の「医・食・住」サロンのご紹介
楽しく、ざっくばらんに語り合いませんか?常時オンラインサロンメンバーを募集しております。メンバーには月刊松嶋大も全文デジタルで公開中。ご興味ある方はこちらからお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?