ラブレター
【備忘録として】
「いろいろありました、としか言えません」と、臨終確認後、開口一番、家族に伝えた。
ホント、いろいろあった。
ここの公開の場では書けることだけ書こう。
出会いは劇的。
深刻な認知症で、行政からの依頼。
あらゆることを拒絶していた。
ぼくは、その拒絶をこころからの愛で溶かそうと思った。
拒否や無視を決め込む相手に、ぼくは、連日のように自宅に通う。
聞こえているかも定かではなかったが、ドアホンやドア越しに語りかけた。「あなたのことが本当に心配です」と。
そして、必ず、お手紙を残していった。
ぼくは、これをラブレターだったと思っている。
残念ながら、効果はなかった。
愛情が足りなかったのかもしれない。
その後の方法は書けない。
ただし、多少強引なアプローチをとり、一切入院させることなく、本当に短期間で劇的に改善させた。
好きな表現ではないが、「させた」というのが妥当だと思う。
良くなったのではなく、良くさせたと。
その後、カラダの不調は時折あったが、認知症や心理面はだいたい安定していた。
町医者の力はごく限定的。
安定の源泉は、本人のもとからの性格だったり、家族の献身さだったり、看護や介護スタッフの素晴らしさだったり。
あと忘れてはいけないのは薬局の対応。
ホント、みんなのおかげ。
いろいろあったけど、劇的に改善して、あとはぼちぼち安定して、いよいよ老衰を迎えた。
波乱万丈といえば波乱万丈だったけど、最終的には太平洋のような穏やかさと広さ。今にでも起きてきそうな表情が物語っていた。
そうそう、ぼくのラブレターは本人にしっかり届いてたそうですよ。
文書が悪かったのか、態度が悪かったのか、全く伝わっていなかったようで、町医者の一方的な片思いらしく。。
最終的にはどうだったろうか。
やっぱり、片思いのままだったかな。
さようなら。
ありがとうございました。
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