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持続可能なまちづくりとは「商店街とSDGsの関係性を考えるVOL.7(#8)

シリーズ最終回です。

今回のSDGs国際関係論は中部大学国際関係学部の講義で、担当教授に加え6名の行政、産業界の講師が、それぞれの立場で講義を行いますが、最終回には講師全員が集まり、事前に受講生から提出された課題レポートの感想や質問に答えます。
これまでのおさらいですが、VOL.1では、明治から戦後まで商店街を取り巻く環境について VOL.2では、戦後の商業に関する法整備について VOL.3では、地域を支えてきた勝川駅周辺まちづくり協議会の役割と仕組みについて VOL.4では商店街の共同化と地域コミュニティについて VOL.5では都市再開発について VOL.6では勝川の再開発の話と書いてきました。講義では、まちづくり会社の話もしましたが、このテーマは別稿で書くことにします。
当日までに学生から提出されたレポートに応える形で、このシリーズの最終回とします

まずは感想です

■興味を持ったのは昭和後期の商店街がまちづくりや支えあい、共助の精神があふれたSDGSの原点であったという点。商店街は古いイメージが強くSDGSという最近の物とは結び付かない。いま、再び必要になるというのは面白いと思った。

■商店街を実際に観たことが無く、シャッターが閉まっているイメージをもっていた。多世代交流をすることで住み続けられるまちづくりをするために商店街は大きな役割を担っているので復活させてほしい

■商店街にSDGSの焦点を当てたところに興味を持った。「歴史的な価値」「住民の愛着」「人とのつながりによる安心感」を活かしたい

■商店街を活性化するためにイベントが効果的だと考えていたが、それは人を集めるだけで、根本的に何も解決できないことに気づけた。

■春日井で再開発が行われていることは知らなかった。地元の人と連携してもう一度盛り上げていくのは、心が引かれる。来年、ゼミで実際に勝川で活動させてもらうのが楽しみ。

■郊外へのスプロール化、人口減少について。地域の活性化は、そこに住む地域の人達にも配慮しながら行動しなければならないので、非常に複雑で難しいものだと思った。

■かつてSDGSの原点だった商店街が、再び活気を取り戻すための取り組みが面白かった。普段意識しないが、空き店舗を活用しシェアハウスや若者に起業の場を提供したり、地域の住民と出会いふれあいの場へと変化していることが分かった。

■商店街の持つ「歴史的な価値」「商店街への住民の愛着」「人とのつながりによる安心感」の3つの要素が、地域の持続可能な発展に不可欠であり、自分達住民にとって地域規模で身近な商店街にも視点を向けると、世代を超えて交流することで持続的に「住みやすい街」をつくることが出来るというSDGS要素があったということを理解し改めて問題として考えるきっかけになった。

■春日井市での地域コミュニティ復活のための「弘法市」や「全国リサイクル商店街サミット」「古紙回収」など環境を切り口にした事業を行っていることに興味を持った。

内容が重複しているのは省きましたが、思ったより関心を持ってくれたという印象ですね。

次に質問です。■は質問(原文のまま)→は私の返答です

■昔ながらの商店街は景観としてや、地域の人からしたらいいものかもしれないが、大須の様に発展させるのは中々難しい。どのようにしたら発展が可能になるか?
→商店街の活性化は、繁盛店を増やすことに尽きる。そのための仕掛けや環境を整えることが大切。学生とのコラボ商品の開発やイベントの実施など
 
■シャッター街となった店の中には、店舗と住居を兼ねているので店を閉じても空き店舗のまま。こういった店舗や地域を復興させる対策は?
→所有と使用を分離させる施策が重要。新しいコミュニティビジネスの創業・起業支援
 
■地域の活性化や再開発に興味を持っていた。今年オープンした多治見南口の再開発は、いまだにテナントが空白なので、次世代向けの活気ある再開発について・・・・?
→需要(カロリー)をベースにした地域環境を整えることが大切。
 
■高齢化が進む地方やニュータウンは、どうすれば若い世帯が増える?今後の駅前商業施設の在り方とは?
→住みやすい街より、住み続けたいまちづくりをすることが大切。単に便利性だけを追求すると、もっと便利なまちが出来れば引っ越す。

■商店街を知らない人たちが復興することは可能ですか?
→可能だと思う。何故なら、既存の知見で考えると予定調和になるので、知らない方が自由な発想で考えられるから

■商店街の規模は小さく、SDGSにコストが大きく取り組めないところもあるが、どうすれば良いか?
→SDGSがコストだとは思わない。カーボンニュートラルなまちづくりは、むしろ強みになる

■商店街の中でも若者が少ない、インフラが進んでいない町は収益が見込めないため、赤字になるよりもコストを下げてリノベーションした方が良いのでしょうか?
→リノベーションは一つの方策ではあるが、むしろ売り上げ(需要)から逆算して考えることが大切。逆算経営。
 
■SCやコンビニの普及や進展により、商店街が衰退傾向にあるなか、商店街でしか行うこと、味わうことが出来ないことがあると思う。商店街活性化のために行っていること、これから行いたいことあれば教えて欲しい?
→雇用の維持。地域の課題解決のための起業支援

■商店街とSDGSは、今後そのような役割を果たしていくのか考えていたら知りたい?
→フィフティーンミニッツシティ(誰もが車ナシでも15分で仕事、学校、買い物、公園、そしてあらゆる街の機能にアクセスできる都市。大気汚染や気候変動への対策として「自転車で15分の街」という新たな都市計画を目指す(フランスのパリ)
コンパクトシティ(利便性の向上・移動時間の短縮→郊外との比較で居住コストが増える)
住みたいまちと住み続けたいまちは違う→日本の場合は、サービス・商業が薄くコストが大きい 課題

■持続可能なまちづくりのために、幅広い世代の交流が大切だと思うが、スマホで買い物が出来る便利な時代になった現在、若者が商店街に行くのか疑問である。地域の人とのかかわりのないことが日常化してしまったら、商店街が活性化しても訪れる人の年齢層は変わらないのでは?
→生産と分配、支出の地域循環が細くなってくると、地域全体が劣化し住環境そのものが悪くなっていくことを理解することが重要。便利と豊かさは違う。

■エリアマネジメントについて。不動産の管理や価値を向上させる取り組みにおいて、もっとも困難に思うことは何? また、理想を現実にするまでの行程で最も力を入れていることは何でしょうか?
→エリア価値を上げるためには、支出の受け皿(インフラなど)を整備し「稼ぐ街」をつくることが大切。そのための「人、もの、金」を如何に集めるか 

■現状、勝川商店街で起っている問題点は何?
→需要と雇用不足
 
■自分の住む町は、昔商店街やお祭りでととも賑わっていた。しかし、近年は買い物する人は少なく、お祭りに参加する子供たちも減っている。どのような工夫をすれば活性化できるか?
→まず、あなたが腹を括って担い手になること。仲間集め

■大須商店街はインスタなどSNSで若者が多く集まり、お笑いでお年寄りも集まっているが、熱田神宮前は、ほとんどシャッターか閉まっている。観光地は大きさとアクセスによって、商店街の活性化は変わってくるのか?
→外貨を稼ぐために「観光」は重要な要素。大須は、かつて衰退した時代があったが、中華街、アメ横ビルなどの投資が功を奏している。片や、熱田神宮前は、まさに神頼み。これでは街は良くならない

■商店街の「人のつながりによる安心感」は人によってメリットとデメリットがあると思う。度を超すと他人と自分との境界線があいまいになり、それによる問題も起こると考えるが?
→商店街特有の問題ではなく、日本人全体の問題。いろんな考え方あってしかるべし。多文化共生や多様性を担保しないと街として機能しないのでは
ただ、街としての特性はあっても良いと思う。

■商店街は、今後維持していくことが難しくなると思う。維持ではなく更なる発展のために、勝川商店街で、今後やってみたいことは何ですか?
→DX、生成AIなどを活用する次世代のまちづくり。弘法市などのイベントで実験してみたい。勝川での成功体験を味わって欲しい
 
■さびれた商店街を、また活気あふれるようにするために、今この瞬間から、すぐに行える対策は?
→小さくても良いので、まちで楽しんでもらえるような仕掛けや町の課題を解決するイベントなどを定期的に開催する。これを核にして人集め
 
■ニュータウンの若者の人口を増やすには、どのような取り組みをすべき?
→学生を増やすなら大學、高校を誘致(教育特区)
子育て世代を増やすならウエルビーイング(生活満足度)を上げる取り組み
雇用環境を整える

■勝川周辺のまちづくりについて、スーパー撤退後再構築した話を聞きましたが、他に再構築事業はありますか?
→現在進行中ですが、まだ公表出来ません

■昔ながらの商店街がどんどん無くなっていくが、自分達が残すために出来る取り組みはあるか?
→どんな小さなことでも良いので成功体験を作ること
 
■春日井市も様々な活動を行っているが、地域コミュニティにおける商店街に期待されている新たな役割や支援の在り方は何?
→行政が行うことは、拠点性を高めるための投資と褒めること

質問も多岐に亘っていたので、一問一答にしておきました。色んな考えややり方があると思います。是非、皆さんのご意見もお待ちしています。

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