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[シュガー・ラッシュ:オンライン] "Ralph Breaks the Internet" (2018)

今の子どもたちにとって、インターネットはあたりまえのもので、わざわざ水が蛇口から出るまでにどこからどういう仕組みで流れてくるなんて考えないようなもの。まぁ、大人だって「インターネットってどこからどう来るの?」と言われても、答えられないけど。まだギリギリWi-Fiルーターの概念があってよかった。そうでなければ電源タップからみんなが移動できないもんね。

というわけで、前作は観ていないけど、友人家族に誘われて行ってきた。5歳前後の子どもたちと観たという人が周りに多いけれど、これは完全に大人のための映画だと思う。ディズニーがこういうギャグ言っていいの?このいじり方ありなの?買収したとかそういうの、ちびっこには関係ないじゃない…。と思いながら大人が笑う映画。

ははあ、ついにディズニーは「夢と友情、どっちを選ぶ?」というテーマにまで切り込んだのか、感心にも似た気持ち。「不遇だけれど性格(と容姿)の良い女の子が王子様に選ばれるラブストーリー」を描いてりゃいい時代はとっくに終わったけれど、友情についても、のほほんとしたものだけじゃダメなわけだ。一度会ったら友達で毎日会ったら兄弟だ!みたいなことを言ったら文句が出る世の中かもしれない。
奇しくも、「アリー/スター誕生」が、自分より成功する女性を男性は応援できるか、というテーマを描いているのと同じように、今作も女性が先に行く。現状維持を求めたり過去にしがみついたりしてしまうのは、男性の方が多いのかしら?この二択が友情ではなく恋愛だったら、そして男女逆だったら、また批判を呼ぶのだろう。「私と仕事、どっちが大事?」と聞いたら、確かに時代遅れで嫌な感じの物語だなと思われるだろう。

好奇心旺盛な主人公ヴァネロペは、これまで自分が生きてきたゲームセンターに設置されたアーケードゲームの世界に物足りなさを感じている。初めて訪れたインターネットの世界で出会った、自由でハードボイルドで格好良い女性シャンクの虜になり、その世界を渇望することに。でもそれは、これまでのアーケードゲームの世界、そしていつもいっしょにいた相棒ラルフとは離れなければいけないということを意味する。
きっと、多かれ少なかれ同じ葛藤を経験した人は多いだろう。私も、飽きもせず毎日をともに過ごしていた時期がある仲間と、今では話が合わないと感じることようになり、次第に疎遠になっている。正直、会っても昔ほど楽しくなくて、わざわざ時間を割こうと思わなくなってしまった。それは「友情を捨てる」つもりではないけれど、罪悪感を伴う。作品の中で「友情の形は変わる」という台詞が出てくるが、変わるというのは、より強くなることも、消えたかのように見えてしまうことも、ある。だからこそ何十年も同じ人たちと付き合っている人を見ると、すごいなぁと思う。人間って根底的なところはなかなか変わらないから、その部分でつながっているのであれば、ずっと変わらず付き合っていけるのだと思う。だけど、私はひとは変わっていく(それが好転、成長であってほしいが)のはしょうがないことで、それに伴って付き合う人も変わっていくことは自然な流れだと思う。
というわけで、ヴァネロペに大いに感情移入をした。

ラルフのことを少しでも退屈だと思ってしまったヴァネロペは、今後だんだんと彼と疎遠になって、完全に「スローターレース」の仲間のほうが居心地が良くなるだろう。ラルフはきっと、ひとつのものに固執して同じ生活を送りたい男だから、面倒くさくヴァネロペに執着する、そして「捨てられた」と思いながら毎日傷ついていく。そう考えると、この二人の関係性における未来はハッピーではない。
でも、いつかヴァネロペが疲れて、ほっとしたいなと思ったときに、ラルフに電話をかけて、全然進歩していない彼の毎日を聞いて、癒される夜もあるかもしれない。決して二人の友情はなくなるわけではなくて、形が変わっただけなのだ。
そう思わないと、この映画のラストは切なすぎる。


ま、面倒臭い保守的な男は、出来る女にとっちゃあ切り捨てて良い存在だとも思うけど。

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