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老いと小さな成長の旅:父娘孫で楽しむシンガポール旅行2日目
後期高齢者の父と1歳の娘、そして私の三世代によるシンガポール旅行記です。自分の年齢を顧みず、慣れないことに挑戦すると大惨事になるという教訓を含んだ記録です。まだまだ若いと思っているあなたも、どうぞお気をつけて。
アテンドに張り切りすぎて、後期高齢者の父を歩かせすぎてしまって反省しきりの1日目であったが、
いよいよ最終日の2日目。
今日はもうできるだけ歩かせまいと、タクシー三昧の一日。
(とはいえ、街の散策がてら少しだけMRTにも乗った。懲りない私。)
朝食も、もともと外にローカル料理を食べに行こうかと思っていたが、移動を最小限にするためにホテルのCOLONYでの朝食に変更。
世界一の朝食と評判の高いリッツの朝食に、期待が高まる。
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↑公式ページはリンクがうまく貼れなかったので個人ブログをば。
朝食について詳しく知りたい方はこちらを参考にどうぞ。
小さな子連れ旅行では、朝食ビュッフェしか勝たん!と思っている私。
子供が好きそうな食べ物も豊富にあるし、子の食べ物さえ確保すれば、親も好きなものを食べられるのだ (その分、食事の確保は戦争のように忙しないが)。
今回も、父に娘を任せて、まずは真っ先に娘の好きなものを物色。
娘が食べそうなコーン、卵焼き、パンケーキなどを確保した後、父に好きなもの取っておいでと促す。
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ちらっと見た限りでは、バクテーやらキャロットケーキやら、ローカル料理も結構あるし外に行かなくてもそれなりに楽しめるかなと思っていたが、戻ってきた父の皿を見ると、サラダにサンドイッチ、なぜかインドカレーとチャパティ。
シンガポール料理もあったよ!と声をかけてみたら、よくわからないものは手が出ず、慣れたものにどうしても手が伸びてしまったとのこと。
折角の機会なのにもったいないなーと思いつつも、そもそもあまりビュッフェすら来たことがないし、お年寄りは冒険しないものなのかなと、それでも楽しそうに食べる父を見て、それ以上は言わないでおいた。
ちなみに、インドカレーは去年私たちが一時帰国した時にインドカレー店に行った際に初めて食べて親しみが持てたらしく、今回も取ったらしい。
敢えてのインドかよ!
と心のなかでツッコんでしまったが、まぁフィッシュヘッドカレーも名物だし、よく考えるとおかしくはないのか、と思い直す。
娘はさらにフィッシュボールヌードルと各種果物もたらふく食べた。
父もドラゴンフルーツを食べたが、やっぱりこの国のほのかに甘い感じの果物はお気に召さないらしい。
日本の果物は甘くて濃くて美味しすぎるものね。気持ちはわかるよ。
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十分食べてお腹を満たした後は、娘と一緒にプールへ。
娘が浮き輪で浮いてぱちゃぱちゃしたり、少し足を動かして泳ぐのを目を細めながら眺める父。
微笑ましい光景だなと眺めながら写真を撮る私。
父は数十年ぶりのプールで少しはしゃいだのか、平泳ぎできるかな?とか言いながら泳ぎ始める。
体が少し沈んでしまってはいたが、一応泳げてるなーなんて呑気に眺める私。
平泳ぎがなんとかできた、と満足気な顔の父。
楽しそうやなーと思いながら娘を浮かせつつ横目で見ていた私の目に次に飛び込んできたのは、水中でバチャバチャと水音を立てている父であった。
最初状況が吞み込めなかったが、どうやら背泳ぎにトライしたら沈んでしまい、水中で上下左右がわからなくなったらしい。
てか、溺れてるやん!!
少し深めではあるが足がつくプールだからか、人が溺れていても案外冷静な自分に驚く。
まず周りを見渡すが、ホテルのプールなのでライフガードはいない。
これは、自分で助けるしかないな。
そう覚悟を決める私。
頭の中で、最悪の事態の時のために海外旅行保険には入っていることを思い出す (おい)
娘もいるので自分が溺れ死ぬわけにはいかない。
確か溺れている人を助ける際、抱きつかれると助ける側も溺れるので、もし抱きつかれたら思い切り蹴とばそうなどと、酷いことを考えながら父に近づく私。
幸いなことに、近づいても父は自分でどうにかしようともがくだけだったため、冷静に水中を回転している父を見つめ、顔が水面に近づいたときに勢いよく顔が水面から出るように上体を起こした。
どうやら父は息を止めており水は飲んでいなかったらしく、水面から顔が出るとすぐに立って正気を取り戻した。
な、何とか助かった、、良かった。。
大きな安堵とともに、子供もいるのに無茶な挑戦やめろよ、、とちょっとイラっとした気持ちが浮かんだのも事実。私は母親なのだ。
娘の私も父の老いをちゃんと理解していなかったが、父自身もまた、自分の老いを正しくは理解していなかったのだ。
父を助けた直後、
は!!娘ちゃん大丈夫!?
と慌てて振り向くと、娘は満面の笑みでこっちを見ていた。
なんなら楽しくぷかぷか泳いでたし、そんな姿を見て安心した。
楽しいプールでの親子孫三世代の団らんが、悲劇にならず本当に良かった。
もし帰らぬ人になっていたら、シンガポールになんて連れて来なければよかったと一生のトラウマになっていたはずだ。
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そんな想像もできないヒヤリハットの後、チェックアウトして気をとりなおし、タンジョンパガーのThe Blue Gingerでプラナカン料理のランチ。
ビーフルンダンなど、昨日までの料理よりは甘くないものも多かったので、父の箸の進みも早かった。
昨日飲んだパパイヤのジュースや朝食のドラゴンフルーツは、薄くてほのかに甘い味があまり好みではなかったようだが、頼んだピンクグァバのジュースとカラマンシーのジュースはわかりやすい味で好みだったらしい。
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12時に行ったが、ランチ時間帯は結構席が埋まっていた (突然の観光情報)。
土日は予約していくのがオススメ。
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ランチの後は、定番マリーナベイサンズの展望台へ向かうことにした。
最初に入口で夜景の画像を背景に記念撮影。
「風景と合成じゃなくて、上で本物と撮ってくれたらいいのにな」と文句を言う父。
「大丈夫、上に登ったら私が撮ってあげるから」と宥める私。
そうこう言いつつ展望台まで登ると、午後の暑い時間帯だったが、父は独り言のようにこう呟いた。
上に登っても全然涼しくならんのやな。
そりゃそうだ、赤道直下だもの。
そんなことを言いつつも、マリーナエリアの美しさもさることながら、反対側にはたくさんの船が停泊する壮観な風景に目を奪われていた。
その後、出口に進むと、先ほど撮影した写真の購入スペースがあった。
マリーナベイサンズの夜景と私たちが合成された写真を見て、あれだけ本物と撮ってほしいと言っていた父が、一言。
こんな写真はなかなか撮れないよなー!
手のひらがくるっと返った瞬間だった。
折角なのでお土産にと、一枚購入してその場を後にした。
ちなみに、マリーナベイサンズの展望台は、夕方以降とそれ以外で入場料が異なる。夕方以降は夜景が見られるため、料金が高くなるのだ。
また、Marina Bay Sandsの会員(無料)になってチケットを購入すると30%オフになるので、おすすめだ (突然の観光情報再び)。
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MBS周辺はショッピングモールが広いため、どうしても歩く距離が長くなりがちだ。
そこで、父ご所望のBACHA COFFEEで一休みすることにした。
なぜ行きたいのか尋ねると、本場のコーヒーが飲みたいからとのこと。
2019年創業でブランドとしての歴史はそれほど長くないんやで。
なんて思いつつ、がっかりさせるのも可哀想なので、黙っておくことにした。(TWGと同じグループのコーヒーブランドだから、TWGのパッケージと同じようにパッケージに書かれている年と創業年は…(ゴニョゴニョ))
ちなみに、日曜の14:30頃に訪れると、並んでいたものの意外と回転が速く、15分ほどで店内に通された (観光情報アゲイン)。
大量のコーヒーのメニューの数に圧倒され、英語のわからない父は私に丸投げ。
あまり酸味が強くないものがいいです!
なんて大阪のおばちゃんの押しの強さばりに日本語で通そうとしたら、店員さんに
in English, please!!
なんて苦笑いで言い返される始末。
慌てて英語で説明して、オススメを教えてもらい、インド系の銘柄を注文。
確かにあっさりしていて酸味も少な目で飲みやすかった。
対照的に私が頼んだマチュピチュの銘柄は、結構酸味があったように感じた。
父は生クリームを溶かして飲む珍しいコーヒーを楽しそうに堪能していた。
ブランド自体はいろいろツッコミどころはあるが、珍しいコーヒー体験としてはよかったと思う。
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その後、さすがにこのまま晩御飯に行くには早いので、ガーデン・バイ・ザ・ベイへ向かうことに。
昨日からずっと、マリーナエリアをタクシーでぐるぐる回っている私たち。
あまり時間がなかったので、スーパーツリーを横目に通り過ぎ、涼を求めてクラウドフォレストへ。
大きな滝の前で、これがクライマックスやから!なんて叫びながら、写真をたくさん撮影。
時間もなかったので他のエリアは足早に通過することにした。
父は、自撮りをしている化粧っ気のない人たちを見て、「撮った後の写真を加工するのかな?」と、なんとも失礼なことを言っていた。
今のご時世、そんなことを言ったらSNSでは炎上ものだ。
クラウドフォレストやフラワードームは屋内で涼しいので、暑いシンガポール観光で疲れた時に涼を取りに行くのがオススメである。個人的には、滝があるクラウドフォレストが、涼しさ的にも、珍しさ的にもオススメだ (小さな観光情報)。
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ディナーはマリーナエリアが一望できるLeVeL33へ。
外席が用意してもらったのだが、テーブルの高さが高くベビーチェアでは高さが全然足りない。
大人の席にクッションを重ねて置いてくれたのだが、うちの娘はおとなしく座っていられるタイプではないので断念。
結局夫がだっこ紐で抱いて食事をすることになった (夫ありがとう!)
娘は夜景を指さしながら楽しそうに見ていたし、父も世界一高い場所で醸造されたという触れ込みのビールの飲み比べをしながら、美味しい料理に舌鼓を打っていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1729226933-cbrTm6KQhWGBngL0pOajfxI4.jpg?width=1200)
やはりLeVeL33はアテンドには鉄板だと思う。
他のルーフトップバーも悪くはないが、美味しいビールとマリーナエリアからガーデン・バイ・ザ・ベイ方面まで見渡せる景色は格別だ。
その後、夫と娘とはお別れし、マリーナベイサンズのカジノを少し見学したのち、チャンギ空港へ。
カジノは外国人は無料で入場でき、ソフトドリンクも飲み放題なので、暑い観光の合間に立ち寄るのをおすすめしたい(貧乏根性)。
父はカジノが初体験だったため、賭けには挑戦しなかったが、ジュースを飲みながらルーレットの機械や画面を見て、賭けの進行を楽しんでいた。雰囲気だけでも満喫できたようだ。
チャンギ空港に着き、そういえばジュエルの滝を見せてないな!と思ったが、
もう正直これ以上は歩きたくない。
と珍しくぴしっと断られた。
そりゃそうだ。ごめんよ父。
今日もタクシーを使ったとはいえ、それなりに歩いてしまったのだ。
出国する父を見送りながら、次に会えるのはいつかなと、少しセンチメンタルな気分になった。
今回は、娘と父とを連れた親子旅。
娘はホテルでも何度も歩く練習をし、あらゆるものを指さして物の名前を言おうとしたり、プールでは自分から少し泳いだり、本当に成長を感じた旅であった。
一方で、膝の痛みを抱え、思った以上に歩けず、バランス感覚も弱っており、背泳ぎができなくなっていた父。
眩しいほどの成長を見せる娘と、老いを感じさせる父。
そのコントラストが、どこか切なかった。
一方で、父はシンガポールでの滞在中、面白い変化も見せた。
たった約2日、英語の環境にいただけなのに、コーヒーを飲むときに砂糖はいるか?と聞くと、「シュガー」と英単語が自然に口をつくようになった。
ただのルー大柴である。
そんな姿に笑いながらも、昔の英語の記憶を少し取り戻す父に希望を感じた。
まだ新しいことを吸収できるのだ、と。
また、今回の旅では娘がいつも以上にベビーカーを嫌がり、だっこ紐で移動することが多かったのだが、ベビーカーに娘を載せようと悪戦苦闘するときに、父がお菓子で釣ろうとしたりしながら、
俺は孫も娘も大事で、娘にも楽してほしいんや!
なんて言い出して、娘が生まれてから自分が誰かの娘であるということを忘れかけていた私は少しハッとした。
いつまでたっても親は親で、子は子なんだな。
と。
今回の旅では、父の老いを感じる一方で、その中に小さな成長も見つけることができた。これからも元気で長生きしてもらうために、遠く離れていてもできる限りのサポートをしていきたいと思う。
できるだけ長く孫の成長を見守ってあげてね、お父さん。
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