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お金好きシンガポール人に学ぶ、Kiasu精神が支える合理的な文化。

シンガポール在住歴約8年弱。特に駐在員として過ごした6年間は、ローカルの人々と公私ともに密接に関わる機会が多くありました。その経験を通して得たシンガポールらしいエピソードを紹介していきます。内容は雑多な記事が多いですが、気軽に読んでいただけると幸いです。

シンガポール人は、お金の話が大好きだ。

シンガポールに来て約8年。
特に駐在員として働いていた6年は、ローカルの人と関わる機会が多かったので、その中で感じたシンガポール人のお金好きなエピソードを紹介したい。

同僚の給与額まで把握!?個人情報駄々洩れのシンガポール人コミュニティ。

普通、日本では少なくとも同僚と給与の詳細な話をすることはないであろう。
もし同様のポジションで給与額に差があったりすると、後々の関係性がギクシャクすることもあるからだ。

ちなみに私は無邪気な新入社員時代、最初の給与を見せ合いっこしたところ、年齢などで微妙に給与額が違い、揉めてはないが、どうして!?と議論になった記憶がある。

しかし、シンガポール人は違う。

特に昇給の時期になると、彼らは互いにいくら昇給したかを詳らかに話す。
おそらく、他人と比べて自分の昇給額が劣っていないか、すなわち損していないかを確認するためだ

これは、シンガポール人の"Kiasu (キアス)"という、自分の利益を追求する考え方によるものなのかもしれない。

そして、どうしても昇給額に納得いかない場合、「あいつは○○ドル上がったのに、なぜ俺は△△ドルしか上がらないんだ?」と上司に訴えるので、会社としてはなかなか厄介だったりする。

ちなみに、これは駐在員に対しても同じだったりする。
私は赴任時は管理職ではなかったので、ローカルメンバーと近くて話しやすかったのもあったのか、給料やボーナスの額、コンドミニアムの家賃や車のレンタル、各種待遇などを事細かに質問された。
もちろん、できるだけ誤魔化すのだが、○○ドルくらいか?」といい線をつかれるとたじろいでしまうこともあり、少しはバレていたのかもしれない。
特に、駐在員は日本の仕組みに応じて2回あるが、シンガポールの会社は大抵ボーナスは1回なので、2回が当たり前だと思って話していると墓穴を掘ったりすることもあった。

また、旧正月などで人との集まりが多い時期になると、昔の友人などとお互いの待遇などを話したりするらしく、相手より給与額が少なかったりすると嫌になって仕事を辞めたくなり、旧正月あたりは離職率が高くなったりする

ただ、相手の方が給与額が高かったりすると、相手に嫉妬したりしそうなものであるが、少なくとも周りのシンガポール人はそんなことは少なく、会社側に不満を向け、本人同士の仲は悪くならないのが良いところなのかもしれない。

できるだけ安く!関西人のメンタリティに近いシンガポール人。

私は関西出身だが、関西人は「これいくらやと思う?○○円やねん!安いやろ!」と安値自慢をすることがよくある。

シンガポール人も、誰よりも得をしたいという”Kiasu精神"なのか、どんな話をしていてもすぐ値段の話になるのだ。

最近食べた美味しかったご飯や新しく買ったものの話をすると、すぐに「いくらだった?」と聞いてくるし、自分から話を振る時も、「これを〇〇ドルで買えたんだ!」と一種の安値自慢をしてくる。

Kiasu精神から、誰かが得しているのが気になるし、自分が得していることをアピールしたいのかもしれない。

ちなみに、シンガポール人はTOTOが好きだ

コロナ渦で外出制限が解除されたときも、TOTO売り場のSingapore Poolsには長蛇の列ができていたのを覚えている。

職場でもよく、いくらのTOTOを買ったなんて話をしているし、前回のW杯の時は「日本勝ったね!」とあまり話したことがない同僚から声をかけられて、よくよく聞いてみると、TOTOでその試合で日本が勝つ方に賭けていたらしい。だから上機嫌で話しかけてきた訳だ。

ちなみに私も前回のW杯の時は初めてアプリをダウンロードして、TOTOに挑戦した。幸い日本戦で日本勝利にベットしていたので、予選突破したのでなんとか勝ち越したのだった。

なんでもビジネスにつなげようとするシンガポール人。

ある日、職場近くのフードコートで食事をしていた時、このフードコートはどれくらい儲かるのだろうという話になった。

そうこうしているうちに、ローカルメンバーの一人があるテナントの店主と話しかけて戻ってくると、「ここのテナント料は月○○ドルらしい。」と話し始めた。

一応それなりに通っているお店だとはいえ、急にテナント料を聞いて、更に相手が答えてくれるなんて、日本ではありえない話だと思う。

シンガポール人が明け透けにお金の話をするのは、近しい同僚だけではなく、ほぼ無関係の他人でもそうらしい。

その後、何人くらいの客が来て、経費はいくらで、と細かい計算が行われている間に、昼休みの時間は終了したのであった。

それ以外にも、色々と逸話はある。
うちの部署には車で通勤しているローカルメンバーが何人かいた。基本的にうちの会社は送迎バスを出しているので、車通勤には交通費の支給がない。
大半のメンバーはそれでも自分で運転して出勤しているのだが、ある一人のローカルメンバーは、帰り道の道中でグラブのドライバーやLaLaMoveの宅配をすることで、ガソリン代などの交通費を帳消しにしようとしていた

確かにうちの会社は副業規定はないので、副業は自由である。
ただ、仕事で疲れた帰り道でもなお、儲けてやろうという精神が素晴らしいなと感じた。

これは一部の例だが、基本的にビジネスの話が好きなのか、よくリタイアしたら〇〇をするぞなんて話をしているし、お菓子を作ってきた同僚に、店を開けばいいと具体的なビジネスの話をしていたりして、お金に貪欲なシンガポール人らしいなといつも感じていた。

最後に。

シンガポール人の「お金」に対する意識や行動は、日本とは大きく異なっていると感じる。彼らのKiasu精神(損をしたくないという精神)やビジネスへの情熱は、単なる個人的な利己心を超えて、非常に合理的で効率を重視する文化そのものを象徴しているといえる。

お金の話題をタブーとしないオープンさや、常に得をするために行動する姿勢には驚かされることも多いが、学ぶべき点も多い。例えば、昇給や待遇について積極的に話し合う姿勢や、どんな場面でもビジネスチャンスを見出そうとする発想力は、効率的な働き方や競争力のある社会を生み出す原動力となっている。

また、彼らの価値観には、家族や友人間での嫉妬を避けつつ、会社や組織に不満を向けて改善を求める合理性が見られる。個々が自身の利益を守るだけでなく、周囲と協力してより良い環境を築こうとする姿勢が、シンガポールの発展を支えている要因の一つであると考えられる。

こうした文化の違いを理解することは、異文化での生活における醍醐味だ。

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まちゃ@シンガポール自営駐在妻
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