体の中のブリキの兵隊が剣を刺す。
いっそもうこのまま引き裂いてしまえばいい。
頭は大仏に拝まれて脳だけが極楽浄土へ運ばれるのだ。
腕と足はとうの昔に降伏をしていて、その国の国民はただ脱力をしている。ある人は縁石を枕にして、ある人は側溝に手や足をだらりとさせて、ある人は青信号で止まった車に轢かれながら。
ブリキを憐れんで、脳が大仏を忘れたことがあった。
国民は皆立ち上がり、体は血流を取り戻したが、脳が神自身とうの昔に絶望している事に気がついてからは、二度とそういうことはなくなった。
脳もブリキも世界を燃やし尽くすつもりだ。
失笑。
体の中から無数のブリキが飛び出して脳が頭蓋をぶち抜いたとき、それにまぶたが引っ張られて目が開いた。
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