劇場で溶けた疑問
劇場での喋り客への強烈な怒りを経て数か月、僕は今こんな心境に至っている。『彼女が一心に踊る姿を見て僕は気が付いた。彼女は踊っている今、どんなに騒音をたてられたとしても、絶対に僕みたいに心乱すことはないだろう。
たとえ爆弾が落ちようとも、彼女は命賭けて真剣に踊っていることだろう。誰かが喋ったとか、小さなことで心乱していた自分が恥ずかしくなった。心を入れ替えよう。彼女に負けないくらい、真剣に踊りを見つめよう。音が立てられたら、しかしそんな音に一切乱れない彼女の踊りを見届けて、乱れないことに感心しよう。』
心を乱したり、手に口を当ててそいつにシーッとやる時点で、踊りの空気を乱していたんだ。そう気がついた。
ここに至る心の経過をしたためる。
ネットでは踊り子さんも劇場も口を揃えて「客同士で注意するのはトラブルの元だから、スタッフに言って欲しい」と書いている。しかしスタッフに言っても取り合わないことが多々あるのが悲しい事実。私は実際にスタッフに何度も言っているから事実として知っている。別の劇場2軒での体験。演目中に喋る客がいるので(客同士で諍いたくないから)スタッフに通報したら、何のかんの理由つけて注意してくれなくて絶望した。(注意する所も中にはあったが)踊り子さんから劇場スタッフへ、スタッフに言ったら知らんぷり。まるで役所のたらい回し。スタッフが放置するのが劇場の方針なら、客は我慢するしかない。これが現実です。スタッフに言えってのは結局、我慢しろということの言い換えでしかない事実が多々あるのだ。ほんとがっかり。だから私は近頃、劇場に行くのが嫌になりつつあった。
劇場にもつらい事情があるのは察している。実際、関西のある劇場ではもう長いこと、パンツ着衣のままの上演しかできてない。一度でも手入れが入れば、東京オリンピック時期に綱紀粛正の見せしめにされたU劇場の二の舞となり、長期休業、下手すれば閉鎖に追い込まれる。劇場は常にギリギリで踏ん張っているから責める訳にいはいかないのだが、、、、、、
つまり、逆恨みした糞客に一度でも当局に通報されたらもうお仕舞いなんだ。だからかな?と想像している。だとしたら一概に劇場を責めるわけにはいかない。(閉鎖した広島第一劇場を描いた映画でも、この客が自分たちの首を絞める、近視眼的な糞通報は描かれている。詳しくはそれを参照して欲しい。詳細を書くと真似する糞が出てくるだろうから。)しかしそれを思った上で書いている。糞客をのさばらせていれば、それは確実に今いる良客を五人十人と遠ざからせ、ついには劇場は糞客だらけと成り果てて誰も寄りつかなくなる。たまらなくいらただしい。踊り子さんに言っても、仕方ないと言うだけで我慢しろと言われてしまう。ほんとに行く気が失せていく。イライラするために金を払ってる気がしていた。
劇場での喋り客の大半は、仲間連れ。その中でも男女の連れの喋りは次のパターンをよく見る。最高のシーンで、劇場中が固唾を呑んで見入る中、最も静かに集中したシーンで必ず男の方が女に向かって、なんてことない世間話めいたことをボソボソッという。この心理はありありと見透けている。神代の如きエロチックなシーンを見て、連れの女に自分がエロに心よろめいていることを気取られたくない。平気だよアピールをしないと不安で仕方ない。それでどうでもいい一言をボソッと呟いて、こんなシーンでも俺は平気だよアピールをして、女との関係を平静に保ちたい。もちろんとても仲良しでHを許し合っているカップルならこんな下らない会話はなかろうが、そこまで行ってないカップル?は、とかく男の方が愚鈍な平気だよアピールをしてしまう。そして、ご本人には小さいつもりのその呟きは、神経を極限まで集中させている観客全員に丸聞こえとなる。壊滅的な破壊だ。入場料をこいつらに請求したくなるが、ちゃんと踊り子さんたちのポストを見ている客たちは、トラブルが劇場を破壊するわかっているので仕方なく黙って我慢する。喋り客は図に乗ってますますペラペラやる。スタッフに通報しても、その時その場でないと対処したくないらしい。
そんな不満を、実はある踊り子さんに手紙に書いて届けた。スタッフに言っても埒があかないからだ。しかし、そこには気にしないでほしいと書かれていた。
確かに、演目の最中では気にしてはいけないのだ。これはわかってきた。自分が気にしていることは人に伝染するのだ。しかし、演目中以外の時間で、対策を練ることはできると思うし、これからもやっていきたい。
伝染することの例について記す。
その劇場で演目中、私の目の前に席に一人の落ち着かない男が来た。何かの物音が気になるのか、何が気になるのか、キョロキョロと始終左右を見ている。私は気が立って仕方がない。そうだ、彼女が手紙に書いていた。声を出す客に「シー」と僕がやると、その動作の方が周りの集中した客を却ってかき乱すかもしれない。まさにそのようにして、僕の目の前で、男がキョトキョトしていて、僕の集中を乱している。前に僕が、静かな時に声を出した客に指で「シー」とやったこと、それは既にその声を出した奴の方に気が散って、そして何より大事な彼女の踊りから気が逸れてしまっていたのだ。そのことに気が付いた。それでは僕の負けだ。音がしてもそれに負けずに、大事な踊りに集中していないと、僕の方こそ何のために劇場に来ているのか。彼女の踊りへの集中を乱すために来たのか、うるさい客の相手をするために来たのか。そうではない。どんなにうるさくても、踊り子さんを見に来ているのだから、それだけを見るのだ。そんな思いで次の彼女の踊りを見つめていた。彼女は満足そうな顔をして踊ってくれたような気がした。証拠に、横で手をたたいていた男が、あまりのみんなの集中に、拍手すら忘れて真剣に見つめる空気にとうとう彼も拍手もやめて静かになってしまった。
もちろん、今までの自分の言ってきたことは変わらない。入場前に一見客さんには一言注意してほしいというのは言い続けたい。また、他の劇場で見かけたのだが、条件客で平気で喋る輩にも対策したい。
でもだからと言って、踊りから、踊り子さんから注意が逸れているようでは僕は失格だ。踊り子さんを見に来ているのだ。うるさい客の相手をしに来ているのではない。もちろん僕は全方位の音が聞こえてしまう発達特性を持っている。でもそれでも、踊り子さんの望みは踊りを見てほしいことだ。うるさい客など見てはならない。相手してはならない。そう自分に言い続ける。僕は劇場に踊りを見に来ている。
◆◆◆この先、未推敲◆◆◆
彼女の踊りには、時おり神が降りてくる。だから僕はチップを渡すときについ手を合わせてしまう。彼女は磁針をエロイと思ってほしいし、可愛く思ってほしいみたいだ。彼女はただの人間の女性だ。そんなことは僕だってわかりきっている。でも、本当に彼女の踊りの中にいる神に、時おり僕は導かれてここにいる。どうしても彼女の踊りを崇めて崇拝してしまう。もう一度言うが、彼女はただの人間の女性だ。そんなことは知っている。踊りの中に、時おり神が降りてくるんだよ。僕にとっての神のおわします所なんだよ。だから彼女に手を合わす。そんな俺を気持ち悪いとでも何とでもいう奴は言え。俺の神はそこにいる。
ある踊り子さんに渡した手紙から引用する。僕がスタッフに、喋りが嫌だと通報してもダメで、スタッフの一人からは「では、我々がずっと演目にへばりついて喋る客を見はってなきゃならなくなるよ。」と拒否されました。それでママに直接言うと、ママは「喧嘩にならんごと、すみませんがと言って手を合わせるように丁寧にお願いしたらどうね?どうかよしなに……」と言われ、僕によしなに頼む(つまり劇場はやらない)ということでした。
この言葉を受けて、多くはポラタイムに下記のように温和に和やかにお願いしています。(シーをやることは実は少ないのです。)
こないだのこと。舞台中にコソコソ声がした。初見らしき男2人連れ。Twitter助言を元に対話して大成功。ポラもチップも弾んでくれた。こんな会話
舞台後ポラ前に
🕯兄ちゃん達初めてやろ?
2人👨はい
🕯️気を利かして小さな声で話してくれよったんやろ
2人👨ええ(笑)🙂
🕯️ありがとうね😄
👨(とっても嬉しそうに笑って)😄はい
🕯️(やった!今が伝えるチャンス!)
でも、みんなに丸聞こえなんよ。
👨あ、黙るんすね
🕯️うん、舞台中だけ黙ってな。終わったらなんぼ喋ってもいいから
👨はい(その後嬉しそうに質問の嵐。ばんばんポラ、どばすかチップ、また来ると💖)
🕯️(ええ若者や!) 午前0:11 2023年3月23日のポストより
この若者達は、本当にストリップがうれしかったようで、劇場のシステムや踊り子さんについての質問を僕に滝のように浴びせてきて、ポラをバンバン買って、山のようにチップをくれて、絶対また来ると言っていました。そんなことが何度もありました。どの人も本当にストリップを喜んでいたし、すごく興味持ってました。
そしてその中で確信したことは、たったほんの一言「天井ライトが暗いときは黙る」と、彼らは全く知らされていないこと。
知ってさえいれば、実に協力的で静かに観劇を楽しんでくれることです。こんな簡単なひと言、劇場が入場の時に知らせないので、善良な一見客さんが知らずに喋る。白い目で見られる。とても悲しいことです。
「上演中はお静かに」と小さく書いて貼ってあるけど、たくさんの注意事項、入場前にいちいち全部読む客はほぼいません。
横浜ロック座に行ったときだけは、「ここは初めて?」と最初に聞かれて、きちんと簡単にルールを伝えてくれました。何一つ不快なことはなかった。そんなことが劇場に頼めたらと思うけれど、客の言葉では動きそうにない。
実は近頃、しゃべり客に対処しないいくつもの劇場に愛想が尽きて、ストリップに行くのがかなり嫌になっていました。でも、ある踊り子さんがかぶり席の荷物を勇気と覚悟もって取り去ったのを見て、とても勇気づけられ、また劇場にやってきました。(かぶり席の荷物は、ここ2年ほど、多くの踊り子さん達がTwitterで声を上げて下さったお陰で、複数の劇場が動いたと思います。他の劇場にも張り紙ができました。)
一人で暴走ではなく、劇場に相談していること、丁寧なお願いの方が主なこと、でも、客では1年中対処できないから悲しいこと。
Xでは踊り子さんも劇場も、口を揃えて言ってます「客同士で注意するのはトラブルの元だから、スタッフに言って欲しい」と。しかしスタッフに言っても取り合わないことが多々あるのが事実。まるで役所のたらい回し。
こうした思いをしたためました。ポストしたら避難ばかり来るからうんざり。ひっそりとここに置いてます。
スタッフは喋り客を注意しなかった|ともし火 @tomosibitomose #note https://note.com/macchataishoku/n/nb7fcf6b55fd0
喋くり客、多くは不安だから喋くる|ともし火 @tomosibitomose #note https://note.com/macchataishoku/n/na676059b5428
クソ客への対応事実記録|ともし火 @tomosibitomose #note https://note.com/macchataishoku/n/n5c5b215ef709
劇場のしゃべくり客に、6千円賠償請求したい!|ともし火 @tomosibitomose #note
劇場での喋り客の大半は、仲間連れ。その中でも男女の連れの喋りは次のパターンhttps://note.com/macchataishoku/n/ne10190954ba8