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久し振りに挑むという感覚で創作している

今書いている小説が完成に近付いてきている。今月か遅くとも来月には完成するだろう。今年は織田作之助青春賞に応募できる最後の機会なので、出来るだけ沢山の作品を書くつもりだ。しかし、今書いているこの小説がダメなら絶対に賞は取れない。そんな予感がする。

昨年の年始に私は鬱病の診断を受けた。そのとき、自分の心の中の膿を出すつもりで桜井晴也の文体を意識し文章を書いていたら驚くほどの勢いで言葉があふれた。私はいつも乾いた雑巾を絞るように文章を紡いでいたからこれには自分自身でも驚いた。出来たいくつかの文章を元に一編の小説が出来た。友人をいじめによって失った少年が悪魔を召喚していじめっこに復讐する話だ。現在書いている小説も同じ作風で書いている。

私はそれまで読みやすくて明るいコミカルな作風のものばかりを書いてきた。意識的に、グロテスク、下ネタ、暗いだけの話を禁忌にしてきた。そういうものは書きたくなかったし、自分には向かないと考えてきたからだ。

鬱病になった直後に書いた小説ではそのタブーを全て破った。物語は後味が悪く終わるし、ここでは書けないほどのおぞましいシーンがいくつもある。

個人的には自分の中でかなりの手応えを感じた。内容が内容だけに深い関係の友人にしか読んでもらっていないが、高評価だった。ただ、今も交流がある大学時代の教授には不評だった。

スランプなんじゃないかと心配されたし、この小説にはあなたの小説の美点が全く見当たらないとも言われた。

この教授は大学1年の頃から現在まで、私が全力で書いた小説は全て見てもらっている。だから、教授の言葉は重く受け止める必要がある。しかし、どうせダメだとしても今は書きたいものを優先させたい。例え、駄作にしかならないとしても現時点で自分の直感を信じたいし、自分でこの作風はダメだと納得するまでは挑みたい。

読者に一泡吹かせるつもりで、死力を尽くすつもりだ。ワクワクしているなんていう楽しいものではないが、武者震いしているのは確かである。


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