1982年の夏休み
1982年の夏。僕は高校1年生だった。
映画「波の数だけ抱きしめて」の時代設定も同じ年。
小麦色のマーメードを彷彿とさせる中山美穂のような子はまわりにいるわけもなく、自宅でゴロゴロしていた夏だった。たまに一人で公営プールに泳ぎに行く程度……。
あッ、そうそう。親父の伝手で発泡スチロールの成型工場でアルバイトした。成型された発砲スチロールを一定量ずつつみ上げていく仕事だったが、つみあげが遅れてくるとサイレンが鳴り出して「急げ、遅てるぞ」と機械に管理される職場だった。
家業の手伝