感動の建築に出会うこと
良い建築とは何か?良い空間とは何か?
建築士にとっては
永遠の問いなのではないかと考えている。
そんなことを考える中で
つい最近、これはいい建築だ!
と言える建築に出会った。
そんな
「THE TOWER HOTEL NAGOYA」
についてまとめたいと思う。
「THE TOWER HOTEL NAGOYA」
とは?
「THE TOWER HOTEL NAGOYA」は
地デジ化で電波塔としての役割を終えた
名古屋テレビ塔が
リニューアルされ誕生した
世界でも珍しい電波塔に泊まれるホテルである。
その3階にレストラン
4階にロビーや客室が設けられ
地元アーティストの作品が溶け込んでいる。
そんなローカライズされたホテルとなっている。
と概要的な情報はここまでにして、、
私が体験から、
学んだこと・良い建築だと考えた理由を
下にまとめていく。
また運良く、
ホテルの女将からもお話が聞けたので
その内容も書ければと思う。
1.シンボルと記憶を残しつつ、
新たな体験を生む
2.ローカライズを目指す
3.「公共の空間を独り占めできる」という体験
4.真のタワーホテル
1.シンボルと記憶を残しつつ新たな体験を生む
名古屋テレビ塔は日本で初の電波塔であり
戦後復興の名古屋と
名古屋の人々にとって大きな感動を与えた施設。
ホテル内部は
そんなタワーを支え続ける無数の鉄骨を
内部に露出させる空間になっている。
バリアフリーの観点からすると
「障害」になりうるが
実際に体験すると
空間をやさしく区切る役割を持つことがわかる。
むしろ鉄骨自体が
生きたアートのように存在している。
よく見ると鉄骨はボルトではなく
大きな釘のようなもので留めてある。
これらは
手作業で打たれており
地上30mにいる職人さんが
下から投げられる熱した留め具をキャッチし
一つ一つ打ち込んだものだそう。
その留め具を現在、
目の前で見られることの
違和感と感動を覚えた。
建設当時の記憶の一片に触れることができる。
2.ローカライズを目指す
東京、大阪に比べ
名古屋は文化性が弱いと感じる。
東京や大阪は
商業(人の活動)で発展
名古屋は工業で発展してきたからだと
個人的に考える。
名古屋では地域性を押し出したビジネスが
かなり少ないと感じる。
このホテルでは
愛知のローカライズの発信を押し出しており
地元アーティストの作品の展示
地産の食材を使った食事が用意されている。
名古屋のシンボルである電波塔から
名古屋でのローカライズビジネスを
発信していくこと。
そこに強い意味があると考えた。
3.「公共の空間を独り占めできる」という体験
良い体験を作るという点で
ここでの体験は学びとなった。
その体験とは
公共の場として多数の人が利用する空間を
特定の人だけが利用できる体験。
展望台は
現在も営業しているが
通常の営業時間後は
宿泊者限定の展望空間になる。
感情が高揚すると同時に、
こういう使い方ができる建築では
良い体験をしてもらうことができる。
と知ることができた。
4.真のタワーホテル
言葉の話。
よく「タワーホテル」
という言葉が宣伝で使われたりしているが、
そこでのタワーは高層という意味だろうし
ホテルにするためのタワー
と考えると「ホテルタワー」ではないか。
この「THE TOWER HOTEL NAGOYA」こそ
タワーにあるホテル、つまり
「タワーホテル」であると思う。
5.最後に
私は地元が名古屋であるが
地域性に欠ける土地だと考えていた。
この「THE TOWER HOTEL NAGOYA」は
そんな名古屋のイメージを
少しずつ、着実に塗り替えてくれるのではないかと考えた。
とても良い建築の一つだと考える理由です。
読んでいただきありがとうございました。
※宿泊する前に予習した記事です。施工時の話も面白いです。