シマの記憶を記録スル
この建物を見て「おーっ、懐かしいねぇ」とおもって下さった方、友だちになりましょう♪
なんて、冗談はいいとして。
この三角屋根の建物は、座間味島の港に建っていた。
私は島に通い始めて15年以上経つが、初めて訪れた時には既に年季の入った感じで鎮座していた。
座間味島をだいすきになってからは、この三角屋根が私にとってランドマークとなり、“ざまみ”と聞いて真っ先に浮かぶ風景だった。
島に向かう船の中から三角屋根が見えてくると、何度訪れてもうれしくてドキドキしたし、島を去る時には三角屋根を見て涙ぐんだりもした。
観光客ながらも、座間味島が大好きな私にとって三角屋根は愛着ある建物だった。
常宿のさつきさんから老朽化で取り壊されると聞いた時に、自分でも手に負えないくらいショックを受けた。
数年前に老朽化で取り壊しになり、三角屋根の跡には観光案内所ができた。
沖縄らしい赤瓦の建物で、カフェも併設されている。
港を一望できる絶好のロケーションだ。
ワーケーションするなら絶対にここ!と決めているのだが、残念ながら私の仕事はワーケーションがない。(ワーケーション、永遠の憧れ。)
この記事を書くにあたって、ここ数年に座間味へ訪れた時の写真を振り返ってみた。
意識してなかったのたが、三角屋根が取り壊される前は毎回のように出航した船から座間味の港を撮っていた。名残惜しく景色を眺めたことも覚えている。
しかし、新しい建物になってからは全くと言っていいほど船から港の写真を撮っていないのだ。
代わりに毎回、港を出てすぐに通過する大好きな海が写されている。
不思議なもんだな、と思った。
実はそこまで三角屋根がなくなってしまったことを自分が寂しく思っていると自覚していなかった。
三角屋根がなくなって寂しいと言うのが正しいのか、つまらないというのが正しいのか。
郷愁を感じていたのは確かだ。
小綺麗になった赤瓦の建物には郷愁を感じない。
こちらの方が沖縄を意識して造られているのに。
なんて、生意気な事を言っているが新しい観光案内所は正直言うと便利でありがたい存在で、島を訪れた際は何だかんだで必ず利用している。
そんなこともあって、私は新しい建物にすっかり馴染み、三角屋根のことを寂しく思い出すことも減っていた。
だけども確実に、船から眺める港の風景は三角屋根があった頃の方が愛着を感じていた。
なぜなら、失くなった今、港の風景を撮らなくなったから。
代わりに愛着のある海を毎回、惜しむように撮っている。
三角屋根だけでなく、愛着のある風景は、いつか古ぼけて形を変えていく。
くたびれていくだけではなく、新しいものにとって変わられることもある。
愛着のある風景をたくさん撮っておこうと思った。
また会えますように、という願いも込めて。