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窓辺に立つ人

※自死を含む記事です。ご了承の上、読み進めて下さい。

関西のとある場所で工事していた時のことです。
現場は細い路地の先にあり、アパートと民家の間を通り抜けてたどり着く場所にありました。

少々大がかりなリフォームで、2週間ほど日に何度もこの路地を行き来していました。

そして、ある日気がついたのです。
途中にあるアパートの一室に。

その部屋はいつ通っても電気が点いていました。
ただ、狭い路地に面しているアパートの1階です。
日当たりは悪く、晴れた日の昼間に電気を点けていてもおかしくありません。

なので、しばらくはその違和感に気づくことはありませんでした。

一度気になると目がいってしまうもので。
そして、目がいってしまう理由がもうひとつありました。

いつも窓辺に人が立っているのです。

曇ガラスのため表情などはわかりません。
ただ、シルエットで人が立っているとわかります。

最初は工事に対して、もしくは人が路地を通ることに対してよく思っていないのかな?と考えていました。
クレームにならないよう、同僚と話しながら路地の前を通らない等の予防策も取りました。

それでも毎日、立っている。

さすがにこれはおかしい。
まずは先輩に話してみました。先輩は全く気がついておらず、「マジで?」と返事しながらも路地を通る度にアパートを確認してくれるようになりました。

その日のうちに、これはマジでヤバいんじゃないかという話になり、意を決して近くの交番に相談しました。

後日、その部屋の住人が亡くなっていたと報告がありました。
立っていたのではなく、立っているように見えていたのです。

亡くなった方が働いていた会社の方も無断欠勤の続く住人を心配して何度か訪問していたそうなのですが、玄関のインターフォンを鳴らすのみでベランダの方には回っていなかったとのこと。

その方は以前も1週間ほど無断欠勤をした挙げ句にケロッとして出社してきたことがあったようで、「またか」と会社側も思っていたそうです。

ご家族ともずっと連絡を取り合っていなかったそうで、あなた方がおかしいと思ってくれなかったら発見はもっと遅れていたと言われました。

早く下ろしてくれ、とメッセージを発していたのかもしれません。

これは実話です。

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