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2021マイベスト映画編

毎年度自分の中での備忘録的なものを書いているけれど、2021年はかなりの豊作だった。観なくてもよかったと思えるがっかり作品に出会う率が少なくてストレスフリーなムービーライフを送れた。
劇場鑑賞:63作品
配信・レンタル:121作品(ドラマやリミテッドシリーズが多かった)
週イチに映画館がベースのはずなのに日にはしごをしているのがままあったんだと書いていて思った。前年が人生史上最も観ていたものが多いけれど、鑑賞時間的にはあんまり変わらなかった気もしなくない。
劇場観覧した中から10作品


①ミセス・ノイズィ

実話系の騒音問題。あのおばさんがモデルらしいけれど、主観的な判断が正しいとは限らないわけでメディアの切り取りや本質を突きまくる傑作。
新作が書けなくなってしまった作家が隣人のおばさんと対峙する。各視点からの普遍的な物語で始まる。
天野監督自身が出産を経て女性という立場での目線だからこそ描ける作品なのかな。事件に大も小もないけれど、加害者と被害者が主張する正義っていうものは歩み寄りをしなければ戦争だってこと。自分の思う常識が正しいとは限らないよね。
最終的な手打ちには感動したけれど、あとでよくよく考えると「あれ?」となったのでもう一度観たい。
去年はリアルな騒音問題に悩んだ末、バトルへと発展した私だけれども(ツキイチnote参照)、アタマの中でこの作品が過ぎったのは言うまでもない。
ちくしょう。「申し訳ありませんでした!」を言わせたかった。


②ヤクザと家族


年明け早々に劇場で号泣。ここ数年でも指折り数えに入る邦画作品になった。
90年代をリアルに生きた身でアンダーグラウンドカルチャーが大好きで雑誌の「GON!」や「BURST」なんかを漁って読んでいた。当たり前のようにそんな危なっかしい世界を面白がっていた子供だったので時代の移り変わりを目にしてきた分、触れることがなかった生々しい体感。
同じアウトロー作品で役所広司さん主演の「すばらしき世界」と比較ではないけれども、リアルな面を取ってこちらをセレクト。いやそれにしても「すばらしき世界」相当よかった。
ちなみに「ヤクザと家族」は普段レビュー的なものを書いていないのにあまりにも良すぎて書いたくらいだった。


③JUNK HEAD

どんな事例であれ消費者と生産者、観る側の裏には作り手の気持ちがあると思うんです。とにかく狂ってる。この時代にアナログなストップモーション(キャプチャーもある)で作り出すSF世界が素晴らしかった。デル・トロ風な面もあって個人的には好みが過ぎる。あらゆるオマージュ的な演出まで盛り込まれていて、完全に映画に憑りつかれた監督の狂気なんだけれども「やってくれた!」と劇場を出た後にドでかい”天晴!”の波が何度もやって来る。
語りたくても周りに観た人がいなくて少し寂しかった。

④ファーザー

羊たちの沈黙以来のアカデミー主演男優賞取ったアンソニー・ホプキンス。痴呆症で記憶と現実の境界線があいまいになっていく様が生々しくサスペンスとして至極な作品だった。特有の態度の急変、時間のズレ、子供返りに物忘れなど結末に向けての伏線も多数アリで映像だから描けるわけかと気付いた時に驚嘆。
アンソニー(役名)と言うだけあって本当にアンソニー・ホプキンスがそれに見えてしまって変な気分だったし、何より完璧に演じきっているのが凄すぎた。将来自分もそうなるのかと思うと怖い。疑似体験していたような気になる。
観終わった後に死んだじいちゃんを思い出した。ランチパックでテーブルを拭こうとしたのは渾身のボケだったのか確かめようがないのが今でも引っ掛かっている。

⑤キャラクター

漫画アシスタントが一家殺人現場と犯人目撃してそれを漫画に描いてみたら大ヒット。自分になかった悪面が生まれてくることで翻弄されていくという作品。
脚本自体が骨太サスペンスでなんなんだ!と思ったら浦沢直樹先生と共同制作をしていた長崎尚志さんが書いたと後で知った。なるほどね!
コミックを意識してのものなのかそんなカット割があったりまるで漫画を観ているような気分になれる。
本作はそんな中でもサイコパス的配役でSEKAI NO OWARIのFukasaeさんの演技が狂気じみていて物凄く印象深かった。というか怖かった。あぁそうだ、アーティストとして観ていてミステリアスを感じていたのはこれかも知れない。

⑥007  NO TIME TO DIE

ダニエル・クレイグのジェームスボンド最後の作品。007は子供の頃から観ている(もちろん後追い)大好きなシリーズだけれど、この6代目が一番好きだった。きっとそんな人も多いはず。ショーン・コネリーからの系譜をぶっ壊して再構築しているわけでシリーズ6作品が最もスタイリッシュな仕上がり。スペクターからの地続きでいよいよ結末というわけだけれども終わって欲しくなかった。「金髪に青い目のボンドなんか許せねぇ」と世界中で大ブーイングだったにも関わらずシリーズ最高興行収入になるまでの大逆転劇という所も込みで震える。
観たことない!という方には是非ともカジノロワイヤルから観始めてもいいので過去作との違いを比べて楽しんで欲しい。2021年であっという間の3時間。

⑦由宇子の天秤

女子高生殺人事件を追うドキュメンタリー制作に取り掛かる由宇子が自営学習塾経営の父親からとある事を告白されて、自分の貫く正義はどっちなんだと問う作品。
個人的なことでコロナ禍になってからやたらと敏感になったものがある。反射で物を口にするステレオタイプに嫌気が差している。良いのか悪いのか子供の頃からニュースや物事全てにおいて多面体で見る癖がある。それで自分なりの答えを出すわけ。真向からだと争いが起きるのでそこは計算しつつ易々とイエスマンになる事もあるけれど本心とは違う事がままある。折衝しながらそれが本当に正しいのかと考えるのが好きだったりする。要は物事を一方的な判断はしたくないなと思う。
実際問題、この作品のケースで当事者となった場合の正義はそれで合っているのか自信はない。きっとそんなもんだろう。
ジャーナリストとして由宇子の善悪に揺れる様、あの居心地の悪い空気感。完全に思考を持っていかれたラストカットまでどっぷり浸かった。
いったい贖罪善悪正義とは何ぞや。

⑧マリグナント

グロ要素てんこ盛りのホラーのはずがラストにかけて笑っちゃいけない!と肩を震わせて声を我慢していた。2021年ホラーでぶっちぎりの最高傑作。
悪夢の中の殺人現場と殺人鬼に怯えて過ごす日々が次第にエスカレートしていき、夢が現実になっていく中で自分の秘められたモノが分かってくる。
序盤は「なんだよこれ。だまされたわー」とつまんなそうに観ていたけれど、中盤の急展開からは「いいぞ!もっとやれ!」に変わっていた。
ジェームズ・ワンの過去作SAWや死霊館でホラーを軸にモータルコンバットでのアクション味をも織り込んで、これでもかとぶっ放す監督の集大成、お見事です。
あの戦闘シーンだけは定期的に観たいと思う。

⑨MONOS 猿と呼ばれし者たち

コロンビア内戦の少年少女ゲリラ部隊の物語。戦争映画ではあるけれど内輪が暴力によって変貌していく様が描かれている。
サバイバル極限状態の中の狂気。
愛や憎しみといったヒトとしての本能や本質。
大自然の美しい映像の中で人間の尊厳がこれでもかと問われていくような気がして、かなりヘビーな作品だった。
実際にその場に居合わせたならばどうなるんだろう。
政治的な理由にイデオロギーやナショナリズムを差っ引いても戦争には反対だ。平和とはなんなんでしょう。

⑩ラストナイト・イン・ソーホー

ベイビー・ドライバーのエドガーライト監督最新作と聞けば行くしかなくなります。
60年代ロンドンソーホー地区と現代のタイムリープサスペンス。ソーホー地区での殺人事件の犯人が生きているかもしれない事に気付いて翻弄されていくストーリー。
映像と音楽で"魅せる"エドガーライト作風なだけあってどこを切っても秀逸で名画へのオマージュも。解説を先に聞いてから観てもよかったかな!と思える。
名曲Down Town、Land On 1000 Danceなどなど原曲なのかカバーなのかもイマイチ分かり切っていなかったけれどこれがオリジナルだったのか!という発見も出来たりした。
(余談)アニャ・テイラー=ジョイが昔から好きなんだけど、今作もドストライクでこれまたたまりません。

■2021年劇場鑑賞作■

新感染半島 ファイナル・ステージ
ミセス・ノイズィ
スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち
花束みたいな恋をした
ヤクザと家族
哀愁しんでれら
ファーストラブ
ダニエル
すばらしき世界
あの頃
ガンズ・アキンボ
シン・エヴァンゲリオン
騙し絵の牙
あの子は貴族
ビバリウム
ホムンクルス
ザ・スイッチ
FUNNY BUNNY
ミナリ
ロードオブカオス
JUNK HEAD
ファーザー
地獄の花園
ジェントルメン
HOKUSAI
るろうに剣心 最終章 The Beginning
猿楽町で会いましょう
キャラクター
Mr.ノーバディ
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
RUN/ラン
ザ・ファブル 殺さない殺し屋
狂猿
ゴジラVSコング
バケモン
ブラックウィドウ
ライトハウス
犬部
ドンドブリーズ2
孤狼の血2
スーサイドスクワッド2 
ワイルドスピード ジェットブレイク
サマーフィルムにのって
シャン・チー/テン・リングスの伝説
オアシス:ネブワース1996
空白
マスカレードナイト
007  NO TIME TO DIE
由宇子の天秤
DUNE
サマーオブソウル
最後の決闘
燃えよ剣
アンテベラム
MONOS 猿と呼ばれし者たち
ビルド・ア・ガール
エターナルズ
マリグナント
ラストナイト・イン・ソーホー
ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ
マトリックス レザレクションズ
キングスマン:ファーストエージェント
ただ悪より救いたまえ



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