忙人は走り、閑人は酒を煖む師走
はや、十二月。京の錦の賑わいが一層高まる頃、魚も一段と旨味が増す。今年も高値で口に入るか心配な松葉蟹。うす造にあさつきをちらしたポン酢で食べると酒とぴったりの目痛蝶。雪降る炉端に鍋で酒、中味は云わずとしれた鱈と白子の味噌仕立て。河豚。鮭。鮃。牡蠣。鰯。鰰。鰤。鮟鱇。等々、数え上げれば限りなし。喰いしん坊には、幸せの季節。
錦をあちこち見て、いろいろ買って、年越の酒肴をつくり、除夜の鐘を聞きながら、百八煩悩を忘れつつ、古い年と別れつつ、新たな年を迎えつつ、酒を静かに愉しむの