『告白』中学生ぶりに再読してみた
あらすじ
幼稚園の頃、祖父に夜な夜な絵本を読み聞かせてもらってからというもの20年以上読書はずっと好きなものでした。
本格的に好きになったのはある国語の先生との出会いがきっかけ。
小学校の弟の担任の先生で、本当ならそれほど関わりがなかったはずなのに
好きとしってから家庭訪問のたびにおすすめの本を持ってきてくれたのです。
「ぜひこの作家さんを読んでほしい」とお薦めされたのは湊かなえさん。
それで読んでみたのが「告白」でした。
母に頼んで買ってもらい、ドキドキし読んだのは今でも覚えています。
ホームルームの教師の独白から始まるのですが、まるでその場にいる生徒になった気分で…興奮と恐怖と驚きとごちゃ混ぜの感情が一気に押し寄せました。
ページを捲る手が止まらず、1日で読み切ってしまい、読了後の夜はよく眠れなかったのを今でも覚えています。
先生がなぜ薦めてくれたのか、その理由は定かではないのですが、この本をきっかけにさらに読書にのめり込んだのでした。
『告白』との再会
10年以上経って、書店でたまたま見つけた限定カバーの『告白』
再読したら何か変わるだろうかと読んでみることにしました。
当時は衝撃が強過ぎて繰り返し読むことができなかったこの本、アラサーになり、当時の学生の年齢も超え、どちらかといえば先生側の年齢に近くなった今だからこそ読んでみたいと思ったのです。
読んで意外だったのは内容をかなり覚えていたということ。それくらい衝撃的だったんだなと実感しました。面白さは変わらず1日で読み切ってしまいました。
でもこの本の登場人物に対する印象はかなり変わったなと思います。
登場人物が思った以上にピュアで真っ直ぐということ。そして思っている以上に自分に近い部分を持っているということ。大人ってそんなに綺麗なものじゃないということ。
当時は学校の先生って全てが正しくて、素晴らしくて完璧ってどこかで思ってました。両親に対してもその感情に近かったかなと思います。
だからこの本に出てくる大人達って変わった人たちで尖った人たちって何となく差別してたと思うんです。
でも学生生活を経て社会人になっていわゆる大人になった時、子供の頃と何ら変わらない自分がいて、そんな急に素晴らしい人間になれるわけじゃないんだって気付かされました。自分も含め大人って残酷な一面もたくさん持ってるんだなって大人になって初めて知ったと思います。
この本に出てくる人達はかなり過激なことをしているようでその思考は誰でもしうるよなってようやく共感できるようになったんです。
もちろん私は事件を起こそうとか復讐しようとかは微塵も思わないのですが、ここに出てくる登場人物の振る舞いや言動の意味が理解ができるようになったというかより近くで感じられるようになった気がします。
それは10年間私自身にさまざまな経験があったからなんだろうなとそんな自分に何だかホッとしました。
改めて『告白』とは
10年ぶりにこの本に出会えて、当時の自分を思い出せましたし何よりいろんな経験をしてきたんだなと感慨深くなりました。当時お薦めしてくれた国語の先生には感謝しかありません。どちらかと言えばハッピーエンドを好んで読んでいた私によく薦めたなと今になって思いますが、そのセンスが本当に素晴らしいなと思います。読書の幅を大きく広げてくれた大切な一冊です。そして10年経った今、新たな学びをくれた本としてさらに大好きになりました。
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