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ビジネス書でよく言われる「アート」とか「デザイン」について考えてみた。

おはようございます。

昨日はひさしぶりに読みたかった本をたくさん読んで、ひとりでわくわくしていました。「晴耕雨読」ってたしかにいいかも。ふだん耕してないけど。

この前、私の『キンコン西野さんに勉強を教える会』をみてくれていた友達と話していて、「ハード(技術)じゃなくて、ソフト(心)からのまちづくり」、「アート的な視点をとり入れた公園、広場作りっておもしろいよね」となりました。

そして、ビジネス界隈とかでよく言われる「デザインとアートのちがい」みたいな、「デザインは問題解決で、アートは問題提起だ」みたいなのをあらためて考えていて。

自分の中で「アートっぽい体験ってなにがあったかなあ」と思って、ひとつ思い出したエピソードがあったので、今日はそれを書いてみようかと思います。


それは、オーストリアのリンツにあるレントス美術館という現代美術館に行った時のお話。

私は、とあるアートフェスに参加していて、その会場のひとつになっていたレントス美術館に行こうとしてました。すると、近くの交差点でいきなりギリシャ人のある男性に、「美術館どこか知ってる?」と話しかけられて。

「あれやで。これから私も行くけど」と言うと、「あ、ありがとう!じゃあ一緒にいこ!」となって、ひょんなことから一緒に行くことになりました。

話を聞くと彼は、「ヒューマンコンピューターインタラクション」というロボットと人間のコミュニケーションについて研究している人で、すごく説明してくれたけど、半分くらいしかわからなかった。

そして、無事美術館に着いて、入館してばいばいかと思いきや、なんとなく一緒に回るみたいな感じになって、写真を撮ったり、話したりしながら回ってました。

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クリムトとかめっちゃ素敵だったなあ

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そしてぐるっと一周しかけた時、彼がいきなりとある部屋を見つけて、「ちょっと!こっちきて!」と言ってきました。

入ってみると、そこは落書き部屋。

部屋の真ん中にカラーペンが置かれていて、壁一面にいろんな人が絵を描いた跡が残されていました。

で、なぜかそれにめちゃくちゃテンションが上がったらしく、「僕らも描こう!!!」と言って、どんどんカラーペンを選びはじめました。

で、私の持っていたトートバックに「HARINEZUMI(ハリネズミ)」と書かれていたのをみて、なぜか「Keith Haring(キース・ヘリング)」のデザインと勘違いして、「ヘリング描こう!!!」と言ってきました。

「HARI」と「Haring」

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「まあ、いっか」と思いながら、描いているとだんだん本気になってきて、結局30分くらいガチでふたりで絵を描きました。

そして、できあがったのがこれです。

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大した出来栄えではなかったけれど、なぜか「アーティスト写真みたいに撮りたい!!!」と言われたので、かっこつけて他のお客さんに撮ってもらいました(笑)

そして、描き終わったら満足したのか、彼はすいすい出口に向かって行きました。


「あれはなんだったんだろう」と、帰国してからもしばらく笑い話にしていたのですが、あらためて考えると、すごくおもしろい美術館体験だったなあと思います。

まず、「美術館で絵を描いたのは初めてだったなあ」と言うこと。

美術館なのでもちろん絵には触れているけれど、あくまでそれは「観る」もので、自分で「描く」っていう発想はなかったなあと気づきました。

日本の美術館に行くと、説明文の前にめちゃくちゃ人が溜まっているのをよく見ます。私もそうなのだけれど、みんな「説明」を読んで、「理解」しようとする。

でも、あんまりドイツやオーストリアの美術館で、そういう場面に遭遇したことはありません。

いろんな楽しみ方ができるのが美術館の良さだと思うけれど、説明を読んで、年号や歴史背景を入れた上で、作品と照らし合わせるって、「いい国作ろう鎌倉幕府」と覚えるみたいな、教科書っぽい鑑賞体験だなあ、と思いました。

その一方で、自分が絵を描くスペースが用意されているって、「アートを覚えるんじゃなくて、アートしてね」って、その空間に言われているような気がして、すごくおもしろかったです。

私が知らないだけで、日本の美術館でもそういうスペースが用意されている美術館はあるだろうけど、少なくともレントス美術館は、「キッズスペース」って感じではなく、他の作品展示の部屋と同じように、あくまで展示の一部のように配置されているのがおもしろかったです。

そして、あんなに絵を描きたがっていた彼が、ゴリゴリの理系の研究者(おそらく博士号持っていた)だったのも、とてもおもしろかった。

美術館のあとは、「街でいちばん高い塔にのぼろう!!」と誘われて、時間がなくて断ったけれど、テクノロジー系の人があんなに楽しそうにしているのは、「アート×サイエンス」をちょっと垣間見た気がして、興味深かったです。


そんなわけで、ふと自分の中の「アートっぽい体験」を思い出しました。たぶんあれは「デザイン」っぽくはないなあ・・と。

単に、「Art Museum」だから「アートだ」というわけではなくて、「知識を仕入れた」というよりも、「遊んだ」という感覚に近かった。

そして、こうやってふと思い出すくらいには印象に残っている。

言葉の定義自体をあれこれ考えても仕方がないけれど、少なくともみんながよく言う「アート思考だ」「ビジネスにはアートだ!」という「アート」には、こういった「遊び」や「余白」が結びついている気がして。

単に、「絵」とか「彫刻」とかのアウトプットの見た目のことじゃないんだろうなあとは思ってます。


というわけで、今日から6月も折り返し!

がんばりましょう〜〜!!!



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