心の絆創膏

「ねえ万理華、進路志望書いた?」
「うん、私は亀大に行く!」
「万理華、頭良いもんなぁ~」
「そんなこと無いよ。行きたい学科があるだけ。」
「私はこのまま上がるわ。やりたい事とか無いし。」

私は、2年の時から亀大に行きたかった。

1年の夏、
下校中に、万理華は突然の雨に降られた。
小雨なら走って駅まで行っちゃうが、あいにくのザーザー降り。
1人雨宿りをしていたが、やむ所か小降りになる気配も無い。
(一か八かで走るか。あそこの信号のタイミングだな、、、)
「ねえ、どこまで行くの?」
突然声をかけられた。
「どこまで行くの?傘入ってく?」
「駅までです。でも、大丈夫です。」
「良いよ、入りな。いくら夏でも濡れたら冷えちゃうよ。」
万理華は、お言葉に甘える事にした。
(同じ学校だ。リボンの色は3年生だな。道理で見かけない顔な訳だ。)
「1年生だね。持ち上がり?外から?」
「高校からです。」
「名前は?」
「永田万理華です。お姉さまは?」
「万理華ちゃんかぁ。良い名前だね。私は大杉実里。」
「実里さまですね。」
「外からだと『お姉さま』に抵抗無かった?」
「実は、個人で呼んだのは、今のが初めてです。」
「だよね。私も外からだったから、なるべく避けてたよ。名前に『さま』もね。」
「上に上がってもそうなんですかね?」
「噂だと半々みたい。上はさすがに外からの人が多いから。」
「実里さまも、上に上がるんですか?」
「私は外に出る。お嬢ちゃまでいられるのは、高校まででしょ。」
「確かに。社会に出てから大変そうですよね。」
2人でクスクス笑う。

話しながら歩いていると、駅に着いた。
「実里さま、ありがとうございます。おかげで濡れずに済みました。」
「いやぁ、万理華ちゃんと話せて楽しかったよ。」
「実里さま、肩濡れちゃってる!ごめんなさい!」
万理華が実里の右肩をハンカチで拭く。
(私が濡れないようにだ。)
「万理華ちゃん、大丈夫。私が肩幅広いだけだから。」
実里が笑顔で万理華の頭をぽんぽんした。

万理華と実里は、こうして出会った。

学年が違うから、頻繁に会う事は無かったが、駅から学校まで一緒に歩く事が多くなり、その内、駅や校門で待ち合わせするようになった。

「万理華ちゃんは、何で鈴蘭に入ったの?」
「母の母校なんです。本当は中学から入れたかったのを私が拒否して。そしたら高校だけでもって懇願されて。」
「だよね。私はお婆ちゃん。『私が死ぬ前に鈴蘭の制服を来た実里を見せておくれ!』って。まぁ、偏差値もソコソコで進学に困らなそうだったから。」
「ソコですよね。他大学への進学率も高いから、諦めもつきますよね。」
実里はハハハと笑い、
「確かに諦めだね。思いの外授業の進みが早くて、受験には困らなそうだしね。」
「どこか狙ってるんですか?」
「亀大かな。」
「亀大ですか。すごいなぁ実里さま。」
「すごくは無いよ。学びたい学科が有っただけだし、まだ受かってもいないし。」
「何の学科を目指してるんですか?」
「児童、少年心理学。虐待やイジメって無くならないから。」
「そうですね。鈴蘭は比較的平和ですけど、よそは分からないですからね。」
「実はね、私の家がそうなの。だから私お婆ちゃんに育てられたんだ。」
「えっ!ごめんなさい。私余計な事をペラペラと。」
「万理華ちゃんは悪くないから謝らないで。万理華ちゃんに言いたくなった私が悪い。ごめんね。ま、そんな理由で心理学を学びたいんだ。」
万理華は、言葉が出なかった。何を言ったら良いのか分からなかった。

ある日の放課後、
「万理華ちゃん、今日予定有る?」
「いえ、特に無いです。」
「じゃあ、ショッピングモール行こうよ。」
「良いですね。私、『ハニー』のパフェ大好きなんです!」
「じゃあ、行こう!」

モールに着くと、意外にも実里の方がはしゃいでいた。
ワンピースを万理華にあててニンマリしてみたり、アクセサリーも万理華に似合う物を選んでいた。
「実里さま、ご自分の物は見ないのですか?」
「自分の物?、、、ここでは自分の物を見るの?」
「もちろん相手の物も見ますが、ご自分が欲しい物も見て良いんですよ。」
「自分の物、、、、、万理華ちゃんとお揃いの物!」
「でしたら、、、キーホルダーはどうですか?」
「うん、それが良い!」

2人は、お揃いのキーホルダーを買い、『ハニー』でお茶する事にした。
万理華は、もちろんパフェ。
「さっきはごめんね。私、お婆ちゃんとしか来たこと無いんだ。お婆ちゃんは、自分の物買わないで私の物しか買わないから、そういうもんだと思ってた。」
実里が話すのを、パフェを食べながら聞く万理華。
「両親はね、小学校には殆んど行かせてくれ無くて、代わりに家の事やらされてた。お酒買いに行かされて、種類を間違えると父親から殴られて。掃除が出来てなければ母親に殴られた。自分達だけ飲み食いして、私は残り物を食べてた。」
「だからお婆様に助けられたんですね。」
「うん。学校にも行かせてもらえるようになったんだけど、人付き合いが分からなくて。学校が終わると、真っ直ぐお婆ちゃんの家に帰ってた。」
「それまで同級生と関わって無かったからですね。」
「多分そう。あ!パフェ溶けちゃうよ!」
万理華は急いで食べた。
「唇の端にクリーム付いてる。」
「えっ、どこですか?」
実里は、指でクリームを取ると、自分の口に入れた。
その行為に驚いた万理華は、
「、、、ありがとうございます、、、、」
としか言えなかった。

「パフェ食べてる時に話す事じゃ無いね。ごめん。」
「いえ、実里さまが胸の内を吐き出したいのなら、私いくらでも聞きます。聞かせてください。」
「ありがとう。何故か万理華ちゃんには話せるんだ。」
「今まで誰にも?」
「うん。話して無い。万理華ちゃんが初めて。『自分は恵まれてるのにかわいそう』的な、見え見えの同情が嫌だったから。」
「実里さま、キーホルダーはどこに着けますか?」
「キーホルダー!そうだなぁ、、、カバンの内側!」
「え、外側じゃ無いんですか?」
「無くしたくない、、、、、」
悲しそうな子供の目をする実里。
「そうですね。折角のお揃いですものね。私もカバンの内側に着けます。」
万理華の言葉に、安堵の顔を見せる実里。
(友達とお揃いなんてした事無いんだろうな。)
万理華は実里を抱き締めたいくらい、いとおしく思った。

モールからの帰り道、実里は万理華の手を繋いだ。
実里は、ご機嫌な笑顔だった。

翌日の昼休み、実里が万理華の教室に来た。
「実里さま?どうしたんですか?」
「何となく、万理華ちゃんの顔を見たくなった。」
と、ニンマリ笑う。
「実里さま、ちょうど良かった、ちょっとお待ちください。」
万理華は自分の机に戻り、教科書を持って実里の元へ戻った。
「ここの部分が、何で過去形じゃなく現在進行形なのか分からなくて。」
「ん?ああ、これかぁ。これは、ここにもう実は過去形が隠れてるんだ。その後はその過去に遡ってるから現在進行形になるんだよ。」
「ああ、ここの過去形が引っかけですね。」
「そう。入試にもよく出るから覚えておくと良いよ。」
「実里さま、ありがとうございます。」
「万理華ちゃんの役にたてて嬉しいよ。」
実里はニッコリ笑って万理華の頭をぽんぽんした。

実里が教室へ帰った後、万理華はクラス中の子に囲まれた。
「何で実里さまと知り合いなの?」
「何で実里さまから万理華を訪ねるの?」
「何、あの頭ぽんぽん!」
「みんな、何で実里さまの事知ってるの?」
万理華が聞くと、
「実里さまは、全学科、学年1位の才女で、同学年でもあまり人を寄せ付けない孤高のお方よ!万理華知らないの?」
「、、、知らないです。」
みんなから御叱りの言葉が飛んできたが、チャイムに救われた。
(有名な方なんだ。キーホルダーと手を繋いだ事は内緒だな。)

ある帰り道、
「万理華ちゃん、今から家に来ない?」
「今からですか?ご迷惑じゃないですか?」
「お婆ちゃんも会いたがってるんだ。」
「お婆様が?分かりました。伺います。」
万理華は途中でお茶菓子を買った。実里は「?」という顔をしていた。
実里の家に着くと、お婆ちゃんが万理華を大歓迎してくれた。
「せっかくだから写真撮ろう!」
と一眼レフと三脚を持ってきた。
「実里さま、あのカメラは、、、、」
「お婆ちゃん、カメラが趣味なんだ。鈴蘭に入学した時、さんざん撮られた。他にも写真展に応募したりしてる。」
てきぱきセッティングしているお婆様を唖然と見つめる万理華。
3人で撮影すると、ご満悦なお婆様。

3人でお茶を飲みながら少し話をした。
昔の鈴蘭の話や、今の学校生活は楽しいか?など。
「写真、よかったら送るよ。」
「良いんですか?是非!」
万理華はスマホのアドレスをメモに書き、お婆様に渡した。
少し不満そうな顔の実里の後について実里の部屋に入った。
一度退室して、飲み物やお菓子を持ってきた実里は、やはり不服そうな顔だった。

「実里さま?どうされました?」
「、、、、、、、、メール」
「え?メールがどうかしましたか?」
「私は万理華ちゃんのメール知らないのに。お婆ちゃんには教えた。」
「あ、そう言えばそうですね。毎日会ってるから気付きませんでした。」
「、、、、、、、、、、」
ご機嫌斜めな実里。子供みたいにむくれてる。
「実里さま、私の携帯にアドレスを入力してください。」
万理華が自分の携帯を差し出す。
実里が万理華の携帯の電話帳に、自分のデータを入れていく。
入力が終わると、そのアドレス宛てに万理華がメールをした。
『実里さま、大好きです』
実里は狂喜乱舞し、万理華に抱き付いた。
その勢いで、万理華は実里と共に倒れた。
倒れてもなおはしゃぐ実里。万理華にすりすりしている。
(実里さまが欲しいのは、お揃いのキーホルダーでも私のアドレスでも無く、愛情なんだ。)
そう思ったら、実里の事が心からいとおしくなり、万理華は実里を抱き締めた。

ひとしきりはしゃぎ終わると、実里は万理華を見つめた。
万理華も実里を見詰め、視線が絡み合った。
そっと重なる唇。
唇が離れ、再び絡み合う視線。
「万理華ちゃん、嫌じゃないの?」
「実里さまなら、嫌じゃないです。」
再度重なる唇。
重なるだけのキスから絡み合うキスへと深さを増していく。

しばらく何度もキスをしていたら、
「ここから先のやり方が分からない。」
実里が言った。
「お婆ちゃんに聞こうかな?」
「実里さま!それはダメです!」
「じゃあ、誰に聞けば良い?」
「、、、わ、、たし、、、です、、、、よ、、、、、ね、、?」
「万理華ちゃんが教えてくれるの?やったぁ!で、どうするの?」
『さあ、これから始めまぁす!』
みたいな空気はちょっと避けたかった万理華は、
「後日にしましょう。実里さま。」
「後日っていつ?」
「ん?、、、週末?ですかね。」
「今度の週末?どこで?」
「わ、、た、、、く、、し、、、の、、う、ち?」
「万理華ちゃんの家?行って良いの?」
「それは、いつでも大丈夫ですよ。」
「やったぁ!週末って事はお泊まり?」
「お泊まり?、、、、そこは、、、両親に確認して、後程メールします。」
「うん!分かった!」
(この無邪気な顔には、勝てないなぁ、、、)
はしゃぐ実里を見ながら万理華は思った。

お泊まり当日。
万理華は実里と待ち合わせしている、自宅の最寄り駅に向かった。
すると、実里がすでに立っていた。
(え?私時間間違えた?)
走って実里の元へ行った。
「実里さま、お待たせしてすみません。」
「ううん。嬉しくて1時間早く着いちゃった。」
ニッコリ笑う実里。
(孤高のお方ねぇ、、、)
「ところで万理華ちゃん。何でこの間お菓子買ってたの?」
「ああ、よそのお家に伺う時は、何か手土産を用意するんです。」
「決まり事?」
「まあ、習慣ですね。お手洗いを借りたりしますし。」
「なるほど。じゃあ何か買っていこう。何が良いの?」
「受け取る方の好みだったり、季節の物だったり。」
駅ビル内をキョロキョロしながら歩く実里。
突然立ち止まり、目を輝かせて万理華を見ながら何かを指差している。指先に有ったのは、金魚や水草が綺麗に透けて見える羊羹だった。
「わぁ、可愛らしいですね。両親、甘いもの好きなので喜びますよ。」
万理華の言葉に気を良くした実里は、その羊羹を10本買おうとした。
「ちょっと待って!過剰な手土産は、逆に失礼ですよ、実里さま。」
「危なっ!2本ください。」

実里の手土産は、母に好評だった。
また、我が子がお姉さまを家に連れて来た事もご満悦だった。
「仲良くしてくださるお姉さまが居るなんて、万理華は幸福者ね。私の時は、、、」
「実里さま、私の部屋へ行きましょう!」
万理華は母の語りを遮って、実里を引きずって行った。
「母は話が長いんです。」

夜、万理華は服を全て脱いでベットに入った。
「実里さまも。」
その言葉に、実里も服を脱ぎ万理華の隣に入った。
向き合う2人。
どちらともなく唇を重ねた。
(実里さまのキスって、ちょっと強引だけど優しくて甘い。脳みそが溶けちゃいそう。)
万理華が唇を離し、実里の首筋に舌を這わせた。
「ハハハ!くすぐったいっ!」
実里の反応に、色気は無かった。
「実里さまは、どちらが良いですか?」
「どちらって何?」
「する方とされる方。」
「何それ?」
「攻める方と受ける方ですってば!」
「私は万理華ちゃんを、よしよししたい。」
「では、これから私がやるのを、まねしてください。」
「わ、分かった。」
万理華は、首から肩、脇腹や胸に唇や舌を這わせた。
実里はくすぐったいのを我慢して、万理華を受け入れていた。
(私って、下手なのかな?)
万理華は、とりあえず上半身は、一通りやってみた。
「今、私がしたことを、何となくしてみてください。」
「分かった!」

実里が同じように唇や舌を万理華の首筋に滑らした。
万理華は笑う事無く、心地好く受け止めた。
(実里さま、本当に初めて?)
万理華がそう思うくらい実里の唇や舌はゾクゾクした。
万理華の口から、言葉にならない吐息が漏れる。
吸い付かれたり、あまがみされたり、止まる事の無い攻撃に、万理華は翻弄された。
「万理華ちゃん、この次は?」
「実里さまがムズムズする場所を、私の身体で触ってください。」
「ん~と、ここ?」
悲鳴を上げそうになるのを手で押さえて万理華は頷いた。
実里は、初めてで無いみたいに万理華のムズムズする場所をゆっくり、優しく、時に激しく撫で続けた。
その間も、実里は万理華の首筋や胸に唇と舌を這わせた。
やがて、万理華は実里に抱き付き、声を殺して大波に飲まれた。

万理華が目を開けると、実里にしっかり抱き締められていた。
「万理華ちゃん、大丈夫?」
「、、、はい」
「気持ち良かった?」
「実里さま、そういう事は言わないでくださいよ。」
「だって、気になるじゃん。」
「、、、気持ち良かったです、、、、、」
「良かった!」
実里は万理華に抱き付き、何度もキスをした。
「これで全部?」
実里が万理華に聞いた。
「、、、、全部では無いです、、、でも今日はこれで、、、、」
「全部知りたい!」
「ん~、ムズムズする場所の下に有る入り口から入ってみてください。」
「分かった!」
実里が万理華の中に入ってきた。
実里は、初めてなのに、扱いが丁寧だった。万理華が1番感じる場所もすぐ見つけた。
万理華はまた快楽の渦に巻き込まれた。
すると突然、実里が万理華のムズムズする場所に舌を這わせ始めた。
万理華は実里の頭を押さえて止めようとしたが、快感が上回り、逆に実里の頭を抱き寄せていた。
万理華は2度目の快楽の大波に飲まれた。

「可愛かったから、舐めたくなっちゃった。これってアリ?」
「実里さま、本当に初めてですか?」
「うん、処女だよ。あ、もう違うけど。」
万理華を抱き締めてニッコリ笑う実里。
(何でも出来ちゃう人って、本当に居るんだ。)
万理華も実里をしっかり抱き締めた。

数日後、実里と万理華2人で帰っていると、突然中年の女性が現れた。
実里は「あっ」と足を止めた。
「実里、寂しい思いさせてごめんね。お母さん来たから、もう寂しく無いよ!」
実里は全身を硬直させ、何も言えない状態だった。
(あの母親だ!でも、接近禁止命令が出てるはず!)
「さぁ、一緒に帰ろう!昔みたいに仲良く暮らそう!」
実里の母親は、実里の腕を掴み実里を連れていこうとする。
万理華が間に入り、
「実里さまから手を放してください!あなたは、もう母親では無いはずです!」
と実里から手を放させた。
「何だよこの子は、邪魔するんじゃないよ!」
実里の母親は、振り払うように万理華を殴り、その勢いで万理華は倒れた。
「万理華ちゃん!」
実里が万理華に寄り添おうとした実里を、実里の母親は、
「実里!行くよ!」
実里の腕を掴み引っ張った。
実里は何も言わず、実里の母親の手を払った。
すると、実里の母親は、今度は実里を殴った。
「昔からあんたは気に食わないガキだったけど、今でも変わらないねぇ!育ててやったんだから、そろそろ親孝行ぐらいしろってんだ!」
「あなたは児童虐待で逮捕されて、実里さまには接近禁止命令が出てるはずですよ!」
「うるせえよ!お前に何が分かるんだガキの分際で!」
実里の母親は、倒れている万理華の側に来て、万理華を蹴ろうとした。
間髪入れずに実里が万理華に覆い被さった。
構わずに蹴り続ける実里の母親。

しばらくすると、パトカーのサイレンが聞こえた。
実里の母親は逃げようとしたが、実里が今度は母親にしがみついた。
「放せよ!このくそガキ!邪魔ばっかりしやがって。お前なんか産むんじゃなかった!」
そう言いながら、実里の母親は実里を蹴り続けた。

パトカーが何台も到着。何人も警察官が降りて来た。
実里の母親にしがみついたままの実里に、
「実里さま、もう大丈夫ですから」
万理華は実里の背中を優しく撫で、実里の母親を掴んでいた実里の手を放させた。

母親は暴行罪の現行犯の疑いがあり、警察官に色々質問されていた。
「あいつらが『金を出せとインネンつけてきた』主張していたらしい」
実里と万理華は、座り込んだ実里を万理華が抱き締めたまま、有りのままを万理華が伝えた。
実里はショック状態で、過呼吸を起こしていた。
2人の鈴蘭の生徒が警察官に近付いた。
すると、両者言い分が違う事件が、スルスルと解決した。
聞くと、たまたま実里と万理華の後ろを歩いていた2人が、何か起きてると動画を撮り始め、万理華が殴られたのを見て、慌てて110番してくれたらしい。

この動画がきっかけで実里の母親は、接近禁止命令を無視した上、未成年者への暴行罪の現行犯で逮捕。
実里は過呼吸も有るし、複数回蹴られているので、念のため病院に運ばれた。

病院でも、実里は万理華にしがみついていた。
過呼吸は、だいぶ治まった。
「実里さま、何か飲みませんか?」
実里は万理華にしがみついたまま頷いた。
自販機の前で、
「実里さま、どれが良いですか?」
実里は万理華にしがみつきながら1つの飲み物を指差した。
万理華はそれを買い、その後は自分の飲み物を買った。
元の場所に座り、実里のペットボトルのふたを万理華が開けて渡し、万理華もふたを開けて飲んだ。
「実里!」
声のする方へ向くと、実里の祖母が居た。
「実里、薬飲んだ?」
実里は首を横に振った。
「持ってきたからね。これでもう大丈夫だよ。万理華ちゃん、実里支えてくれてありがとうね。」
「いえ、私は庇われた方ですから。」
実里の祖母が薬を実里に渡した。
実里は震える手で薬を無事に飲んだ。
「この子はね、暴力を見たり暴言を聞いたりすると、発作を起こすんだよ。鈴蘭に入ってくれたから安心してたんだけどね、まさかあの女が現れるなんて。」
万理華にしがみついている実里を見ながら実里の祖母は言った。
(私が少しでも実里さまの力になれたら、、、、、)

数日後、
「万理華ちゃん!おっはよ~!」
「実里さま、おはようございます。もう、大丈夫なんですか?」
「うん!元気!大丈夫!」
「良かったぁ。ずっと心配でした。」
「本当?それって好きって事?」
「朝から何言ってるんですか。」
「えっ、違うの?私の事好きじゃ無いの?」
万理華の顔を覗き込む実里。
「、、、、好きですよ。」
「やったぁ!よっしゃぁ!」
実里ははしゃぎ、どさくさに紛れて万理華にキスをした。
「実里さま!何してるんですか!」
万理華が実里の腕を叩こうとしたら、実里はサラリとかわし、
「私はここだよぉ~ん!」
「待てっ!実里さま!許すまじっ~!」
「あはは、古文かぁ?」
万理華は実里を追いかけた!


                         おわり













































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