見出し画像

EVが起点で生活が変わる? EVトランスフォーメーションとは

こんにちは。MaaS Hack編集部の横山です。

先日モビリティ×エネルギーの事業領域を「EVトランスフォーメーション」として定義し、「EVトランスフォーメーションカオスマップ」をリリースさせて頂きました。

昨今自動車のEV化と脱炭素化に向けた動きの進展を背景として、モビリティ業界とエネルギー業界で相互に新規参入を行う動きが北米を中心に活発化しています。
また日本でもその動きが始まっており、まさにモビリティとエネルギーの領域におけるビジネスが急激な変化を遂げている最中です。一方で本市場についてはまだ明確な定義がなされていないため、「EVトランスフォーメーション」の呼称にて定義しカオスマップを発表しました。

▼「EVトランスフォーメーション」のダウンロードはこちら▼


本日はこの発表にいたった背景や、事業化に向けた方向性をお伝えできればと思います。

画像1

・なぜ環境領域に取り組む必要があるのか?
菅義偉元内閣総理大臣による「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、「カーボンニュートラル」という言葉が脚光を浴びています。
カーボンニュートラルをすごく簡単にお伝えすると①温室効果ガスを減らす②排出せざるを得なかったぶんについては同じ量を「吸収」または「除去」する ことにより、差し引きゼロ、正味ゼロ(ネットゼロ)を目指しましょう、ということです。これが、「カーボンニュートラル」の意味することです。

・カーボンニュートラルに取り組む意味
 企業や自治体としてカーボンニュートラルに取り組む必要性は下記の2点だと考えています。
ひとつは「①持続可能な社会を実現するための企業責任」です。もう一つは「②大きなビジネスチャンスがあるから」です。
①の持続可能な社会の実現については、ESG投資や環境規制などイメージが湧きやすいと思いますが、②大きなビジネスチャンスというのは、イメージ湧かないのではないでしょうか?

カーボンニュートラルは世界が持続可能性を維持するために必要とされており、世界的に見てコミットしなくてはいけない市場となっています。いわば約束された市場なのです。
そのため各国が成長戦略としてカーボンニュートラルを捉えており、ボストンコンサルティンググループでは、2020年~2050年までの間で、世界で累計122兆ドル(約1.3京円)の関連投資が必要と試算しています。
また日本でも新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2兆円の「グリーンイノベーション基金」を創設し、企業を今後10年間、継続して支援することを表明しています。この2兆円の基金を呼び水として、約15兆円とも想定される、民間企業の野心的なイノベーション投資を引き出すことが狙いです。
そのためカーボンニュートラルは、CO2の排出削減によって経済活動にブレーキがかかると捉われていますが、実際は大きなビジネスチャンスが広がっているのです。

・カーボンニュートラルにおける事業機会
カーボンニュートラルにおける事業機会の大きさはイメージが湧いたかと思いますが、では日本における二酸化炭素の排出量に割合を見てみましょう。CO2の排出量を見た時に一番多いのは産業部門で製造などの過程で排出するCO2です。2番目が運輸部門でいわゆる皆さんがイメージするガソリン車を運転時に排出するCO2のイメージです。
産業部門の約14%が鉄鋼業で排出するCO2のため、運輸部門がすごく多いことはイメージが湧くのではないでしょうか?

それがEV車に置き換わっていくと、走行中のCO2の排出量はなくなります。もちろん火力発電がベースロード電源である日本では、走らせるための電気や製造時の使う電力が火力発電で賄われているためCO2を排出するのは事実ですが、将来カーボンニュートラルを目指すうえでは、EVへの移行は抗えない流れかと考えています。

画像2

・EVトランスフォーメーションとは
EV化の流れが増えていく中で、なぜエネルギーとモビリティの領域が融合していくのでしょうか?
それは単純にEVのエネルギー源が電気だからです。ガソリン車については、電力源がガソリンでしたが、電力になることで最適化が必要になるからです。
そのため本領域はEV化が進むことにより生まれる事業機会ととらえ、「EVトランスフォーメーション」と定義しました。

画像3

・エネルギー×モビリティの事業領域について
そのためこの二つの領域の事業化を考えた時に、サービス提供とマネジメント領域の2つの領域があると考えています。エネルギー源や移動手段を提供する事業からより高度化をしていく中で、マネジメント領域へと深化しながら、モビリティとエネルギーが融合していくイメージで捉えています。

画像4

・事業領域の見極め方
ではどうやって自分たちの事業にしていくのが良いのでしょうか。よくお話させていただいているのは、この領域はすごく大きな市場のため、一社単独でエコシステムが完結するのはすごく難しいと考えています。
そのためまず自分たちが事業化する事業ドメインを特定することが重要です。
その中で自社が不足しているアセットについてアライアンス先を見つけることが必要で、その考えるきっかけとしてこのカオスマップを活用いただきたいと考えています。

例えば自身がモビリティを提供している企業であれば、エネルギーのサービス提供領域へ広げていく方向性やモビリティ自体のマネジメント領域への事業へ幅だししていくなどが選択肢として挙げられると思います。

画像5

・今後の事業機会について
最後に今後の事業機会について私の考えをお伝えできればと思います。
今回EVトランスフォーメーションと定義づけした9つの領域については、どれも今後事業機会が広がっていくと考えています。
自分たちの事業機会を考えるときのポイントは、①事業の親和性②事業規模から選べるのではないかと思います。

例えば充電インフラやVtoH領域は、その商品自体の製造が必要であり、皆さんが事業化進めるには、大きな参入障壁があるのではないかと思います。
一方でEV導入サービスやEVフリートに関しては、EVのアセットを持っている企業からは参入しやすいですし、エネルギーマネジメント領域にアセットを持っている企業からしても、連携しやすいのではないでしょうか?

また事業規模について、今後伸びてきている業界のため考えにくいかもしれないですが、
直近の企業の動きをみえるのではないでしょうか。直近で進出が多い領域はEV+電力小売り・EV+MaaS・EV導入サービス・EVフリートの4領域だと考えています。
上記4領域以外は比較的以前より参入企業が多くPoCを実施しておりましたが、昨年より急激にこの4領域が加速していると感じております。今回読んでいただいている皆様は、モビリティもしくはエネルギーに関連している方々だと思いますので、ぜひ自社の事業との親和性とEV+電力小売り・EV+MaaS・EV導入サービス・EVフリートの4領域を重ね合わせて、自社の事業ドメインの決定の参考にしていただければ幸いです。

・直近の4領域の動き

画像1

・さいごに
今回ご紹介をさせていただいた事業領域について、それぞれのトップランナーがどのようなポイントで事業推進をされているのか?また今後の戦略などを皆さんにお伝えする機会を作りたいと考えております。1月の初旬にEVトランスフォーメーションのフォーラムを開催したいと思っております。

もしご興味がございましたら、弊社ホームページより「EVXフォーラム参加について」とお問い合わせ内容に記載いただき、ご連絡いただければ幸いです。

弊社HP:https://www.libcon.co.jp/abc/contact/

▼「EVトランスフォーメーション」のダウンロードはこちら▼

(記:横山)

――――――――――――――――――――――――――
株式会社リブ・コンサルティング
チーフコンサルタント
横山 賢治

同志社大学経済学部卒業後、大手電機メーカーを経て現職
モビリティ業界をメインコンサルティングとして従事
《主なコンサルティング実績》
大手自動車部品メーカー事業開発支援
MaaS(ライドシェア)の実証実験構築支援
ベンチャーにおける事業戦略立案・グロース支援
カーディーラー様向けCRM構築支援
カーディーラー様向けマーケティング戦略構築支援 など

いいなと思ったら応援しよう!