#私を構成する9枚(後半5枚)
こんにちは。今回の記事は#私を構成する9枚のハッシュタグ企画に参加した私が選んだ9枚のうち、後半5枚についての個人的エピソードを書こうと思います。
前半の記事から読みたい方はこちらからどうぞ💐
⚫︎5枚目、クラムボン・ベスト/クラムボン
クラムボンとの出会いは大学1年のとき。同じ専攻の友達と喋っていたときに好きな音楽の話題になって。私が「安藤裕子さんの楽曲が好きなんよ」というと「それならクラムボンもおすすめやで」と彼女が紹介してくれて。そのとき彼女が持っていたiPodの画面上に表示されていたのが《クラムボン・ベスト》のCDジャケットだった。クラムボン、面白いバンド名だなくらいの軽い気持ちでチラッと見せてもらっていたら<シカゴ>というタイトルが妙に気になって聴かせてもらった。イントロを聴いた瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。何これ、めっちゃかっこいいと思ったら原田郁子さんの柔らかくて丸い声が聴こえてきて「安藤裕子さんの声とどこか似ている」と直感的に思った。クラムボンとシカゴの2単語だけを必死に覚えて帰ってYouTubeで検索して聴き始めたと思う。
私が大学生時代の思い出をあげるとしたら、そのなかに「クラムボンのコピーバンドを組んだこと」は必ず入れたいと思う。私が所属していた軽音サークルは、シーズンごとに学内や学外でライブ企画が開催され、ライブ毎に好きな人たちとバンドを組むことができ、同じメンバーで同じバンドを続けるもよし、新しいメンバーで新たなバンドを結成することもできた。
1回生のときの夏合宿の帰り道、バスで隣の席に座った同回生のドラマーの友達に「冬のクリスマスライブ、もしよかったらクラムボンのコピーを一緒にしない?ただ、スコアはないみたいやねんけど」と声をかけた。「どんな曲?」と言われてシカゴを聴いてもらった。正直、断られるかなと思っていたのに「いいやん!やろ〜」という明るい言葉が返ってきて驚いた。同回生の友達もう1人にもダメもとでベースに誘ったらすぐにOKをいただき、女子3名でクラムボンのコピーバンド(クラムチャウダー)を結成することなった。
コンビニで印刷できる<シカゴ>のピーススコア(ピアノ弾き語り)だけ幸い発見できて私はなんとかいけそうだったけど、ベースとドラムの2人には耳コピをしてもらうことになり。耳コピが結構大変だったから、もう1曲はスコアが手元にあったチャットモンチーの<手のなるほうへ>を演奏した。初めての学内ライブに同回生3人だけで構成されたバンドで挑むのは難易度が高かったように思うけど、好きなクラムボンの音楽を演奏できることが嬉しくて、何より毎回の練習が楽しくて、3人で音を合わせるときの空気感が私は好きだった。
それからちょっとしてクラムボンのバンドスコアが発売されることを知り、ようやくスコアを見ながら練習に励むことができた。スコアを手にしてからは原曲の再現度もぐんと上がった気がしたし、クラムボンの3人はこうやって弾いていたんだ!という発見が、耳コピを答え合わせするようで面白かった。クラムチャウダーはその後も継続的に活動を続けていき、大学卒業後も大阪や京都のライブハウスの企画に呼んでいただいた。
まさかあの日偶然耳にした1曲によって、私の人生がこんなに大きく変わるとは思わなかった。クラムボンのライブには今まで何度も参戦してきたけど、ライブでシカゴが演奏されると毎回きゃーというほど興奮するし、郁子さん、ミトさん、大ちゃんの3人が奏でる音はすんばらしくて。どんなに追い求めてもやっぱりあの3人が生み出す音には敵わないなと思う。
⚫︎6枚目、Shabon songs/安藤裕子
安藤裕子さんを教えてくれたのも兄だった。高校生のときに<のうぜんかつら>と<TEXAS>を兄が教えてくれて私も聴き始めた。この間、兄に会ったときに安藤裕子さんは何で知ったのかと聞くと「ラジオで初めて聴いたときにいい曲だなと思って他の曲も聴き始めた」とのこと。
私、高校生のときに片思いを2年間していて。高1から高2の終わりまで。隣のクラスの男の子にね。彼とはほとんど話したこともなくて、一目惚れに近かった。彼が友達と会話しながら登校する姿を遠くから眺めるだけで胸がバクバクしてた。私の完全なる片思いで終わったけど高2のバレンタインでチョコを作って渡した。そのときに数秒間だけ話したくらい。当時の私がよく聴いていたのが<隣人に光が差すとき>。ある日、彼が女の子と下校する姿を見かけたことがあった。その子の顔を見たい気持ちもあったけど見なかった、というか見る勇気がなかった。彼のことはいつも遠くから眺めることしかできなくて、今思えば恋と言えるのかよく分からないほどの関係だったし、勝手な理想像を仕立てあげて彼に恋していただけの気もするけど、安藤裕子さんの歌が自分の気持ちと重なって毎日聴いていた。当時の淡くて、甘酸っぱい感じを今でも湧き出るように思い出す。
そういえば、大学生になってSoundCloudに弾き語り音源をUPしはじめたことは前半の記事にも書いたけど初めて歌って上げた曲が安藤裕子さんの<シャボン ボウル>だった。安藤裕子さんみたいに心がぎゅうっと掴まれるようなコードを使った音楽が作れたらいいなというのが私のなかにずっとあって、そういう憧れの気持ちもあって最初の1曲目に歌ったんだと思う。以前テレビかなんかで、安藤裕子さんがプロデューサーかな?ある人に「君の歌はそのままでいいよ」って言われたっていうのを話していたと思うんだけど、そのエピソードが強く印象に残ってて。そんな全肯定、なかなか人に言えないし、歌を歌う者にとってそれ以上の救われる言葉ないよなって思った。
⚫︎7枚目、魚図鑑/サカナクション
7枚目はサカナクション。これは8枚目のPerfumeにも通じるんだけど、私が学生のとき取り組んでいたMV研究で追いかけていた映像作家の1人が関和亮監督で、関監督がディレクションしたサカナクションとPerfumeのMVは数え切れないくらい観てきて、楽曲もよく聴いてきたから9枚のなかに両者は必ず入れようと思った。東京の専門学校で関監督がMV制作講座を開催したときも、親に無理を言って1人で新幹線に乗って参加したこともあった。あれが私の初めての東京だった。(御茶ノ水駅で降りたとき、人の歩くスピードが思っていた以上に速くて、人に酔いかけたのはいい思い出)
サカナクションの<アルクアラウンド>のMVは関和亮監督がディレクションしたなかでも有名な作品なんじゃないかな。同作品は第14回文化庁メディア芸術祭でエンターティンメント賞を受賞していて、平成26年の高校生の美術の教科書(光村図書)にも掲載されている。ミュージックビデオが美術の教科書に載る日が来るなんて。
サカナクションで好きな曲はたくさんあるけどおそらく1番聴いているのは<夜の東側>かな。ギターの音が好きで、電車のなかでぼんやり窓の外の風景を見ながら夜の東側を聴いているとなんだかいいことが起きそうな気分になる。
あと『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session』のライブはほんとすごかった。いや、すごかったという言葉では言い表せられないな。6.1チャンネルの音は思わず声が出たほどで、今まで眠っていた感覚が飛び起こされたようなものだった。エンドロールで流れた世武裕子さんによる<ユリイカ>のCOVER、あれはとんでもなくよかった。たぶんあの会場にいた全員が息を呑んでユリイカを聴いていたと思う。ライブ本編もすんばらしくてお腹いっぱいだったけど、エンドロールのデザートがさらに極上だった。
サカナクションがきっかけでMV監督のことやMV制作の舞台裏を知ることができたし、ローディーさんや衣装デザイナーや振付師など色んな仕事についても興味をもつようになった。山口一郎さんの曲作りに対する一切妥協のしない姿勢にはほんとうに敬服する。映像やレーザー光線などのライブ演出もこだわりがあって、次は何を体験させてくれるんだろうとワクワクさせてくれて、その期待に応えてくれる。「音楽×何か」にいつも挑戦していてサカナクションはかっこいい音楽家であり、芸術集団だなと思う。
⚫︎8枚目、The Best “P Cubed”/Perfume
8枚目、Perfume。Perfumeを初めて知ったのは公共広告機構のCMだったかな。さっきも言ったけど、大学生のときに関和亮監督の映像を漁り始めてからPerfumeもたくさん聴くようになった。きゃりーぱみゅぱみゅとPerfumeのコピーバンドを組んだことがあってチョコレイトディスコを演奏したんだけど、打ち込み楽曲のバンドアレンジはキーボードの音作りに苦戦したし、ボーカルの声をボーカルエフェクターで加工したので、その声がかき消されてしまわないようにギターとベースの配分も見極めないといけなくてバランスも音の棲み分けも難しかった。
PerfumeのMVはどれも好きだけど、関監督が手がけたPerfumeのMVで1番好きなのは<Magic of love>かな。関監督が撮るPerfumeは可愛くて、とにかく表情がいい。「関監督は女の子を可愛く撮るのが上手」ってPerfumeが言ってた気がするんだけど、私もそう思う。女性アイドルのMVを観ていて、表情がいいな〜これ関監督かなって思ったらそうだったこともある。もちろん映像技術の扱い方やストーリーテリング、被写体をどう魅せるといいかというアイデア、企画力が優れているお方なんだけど、演者ひとりひとりに対する距離感というか、撮影時の空気作りから上手な方なんだと思う。星野源の<SUN>のMVで最後に聞こえる「はあーい、カット!」の監督の声に、そういうのを感じ取れる。私のなかにMVというもの、関監督という存在は大きい割合を占めていて、それを語るのにPerfumeの音楽は欠かせなかった。
Perfumeで好きな曲は<無限未来>かな。映画『ちはやふるー結びー』の宣伝でよくテレビで流れているのを聴いて、幻想的なシンセの音と次第に盛り上がるサウンドが気に入って繰り返し聴いていた。Perfumeはもとより、中田ヤスタカさんという存在に憧れていた私は2018年にDTMを始めようと思いたち、中田ヤスタカさんがNative InstrumentsのKomplete Kontrol S61を使っていると知り、安易に買った笑。DTMは難しくて今でもいろんな機能を使いこなせているとはいえないけど、そのキーボードで曲を作っていると私も頑張ろうという気持ちになる。
実はPerfumeのライブにはまだ行けたことがなくて、ぜひとも行ってみたいと思っている。ちょうどこの記事を書いている数日前にPerfumeが神戸の国際会館こくさいホールでライブをしていたことを知った。ここ1、2年は、ライブというもの自体に参戦できておらず、どのアーティストのライブ情報もほとんど調べてすらいなかったから、また少しずつチェックしていきたい。
⚫︎9枚目、Nurture/Porter Robinson
9枚目はPorter Robinson。彼を知ったのは2021年の春のこと。YouTubeで「今流行りの洋楽BEST100」みたいな、数秒間のサビが次々と流れていく動画を偶然観ていて、こういうのが流行っているのかくらいの気持ちで途中からながらで聴いていた。でも<Get Your Wish>が流れた瞬間はっとして、急いで一時停止をした。確認するとPorter Robinsonという方の楽曲だとわかり、YouTubeで検索して初めてフルで聴いた。
どことなく影を感じさせるメランコリックなPorterの佇まいが魅力的で、MVやCDジャケットなどのアートワークもかっこよくて。私は彼をすぐに好きになった。(この記事にその動画を載せたくて探したけど見つからなかった…残念)
話がちょっと脱線するけど、前に宮崎駿さんの本を読んでいて、インタビューで宮崎駿さんが映画のことについて語っている部分があってね、”たまたまテレビでやっていた『ストーカー』という映画を途中から(後半のみ)見たときのエピソード”なんだけど、宮崎駿さんは「それでもその映画が「すごい映画だなあ!」と思った」とおっしゃっていて。
たぶんだけど、そういう感覚に似たものを私もPorter RobinsonのGet Your Wishを聴いたときに感じた気がした。数秒のサビしか聴かなかったのに、キャッチーなメロディーで、なんか心にグッとくるものがあって、思考を巡らす前に感覚的に「あぁこれはいい曲だ」って思った。
2021年に私が出会えてよかったと思える人を上げるならPorter Robinsonだと思う。彼の音楽を聴くと美しくて、正直苦しくなる。でもその苦しさって、普段の私が押し殺している無意識の領域に触れているからなんだと思う。苦しいんだけど聴き終わったらスッとする。彼がつくる音楽には祈りみたいな、魔法がかけられている、きっと。
Porterの「美しいと思う楽曲」のリスト(上の記事)を聴いてBBHFやA.G.Cookをはじめ、多くのアーティストのことも新たに知った。私はこういう人が作ったリストを聴くのが好きだ。そういえば、colormalのイエナガさんも楽曲ができた際に影響を受けた楽曲の情報をTwitterでシェアしていたりするけど、作り手の人がどういう音楽を聴いているのか、どういう音楽が好きなのかという話に興味がある。昨日の自分が知らなかったものを知ったときはワクワクするし、その興奮をまた誰かに伝えたくなる。
この#私を構成する9枚の記事を書いてきて気づいたけど、私自身、兄や友達から教えてもらった音楽に出会って、自分の好きな音楽がぐんと広がったと思うし、誰かと「これいいよね」って話すことで人の心と繋がれる瞬間が好きなんだと思う。
さてさて。前半・後半に分けて書いてきた#私を構成する9枚に関する個人的エピソードですが、このあたりで終わろうと思います。うまくかけたかわからないな笑。
でも、今回このツイート企画に参加して、自分の過去の思い出や好きな音楽について振り返る時間を作ることができて楽しかった。今回9枚のうちに取り上げきれなかった好きな音楽はたくさんあって、またそれについてもnoteなどで書いていけたらいいなと思っているので、もしよかったら読んでもらえると泣いて喜びます!笑
また、noteのコメントでもTwitterのリプライでもなんでもいいので、あなたの好きな音楽があれば、教えてもらえたら嬉しいです。ぜひ好きな音楽について語りましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
またね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?