【映画評】 ペーター・ネストラー『良き隣人の変節』について
叙述することの困難。なにかを表現をしようとした者なら、誰もがその困難に遭遇したことだろう。歴史的真実を描く社会的共有の試みや、プライベートな事柄、たとえば自分の想いを好きな人に伝えようとするときでさえ、その困難はたえずつきまとう。その困難とは、何を伝えるのか、ということではなく、どのように描く(伝える)のか、ということである。描こうとした事柄がうまく描かれないとか、誤解されて受け取られたといったことがよくある。映画においては、アルフレッド・ヒチコックがこう述べている。「何をで