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映画の扉_cinema

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どんなに移動手段が発達しても世界のすべては見れないから、わたしは映画で世界を知る。
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#七里圭

《七里圭作品・鑑賞日記》 (Vol.4)『闇の中の眠り姫』

本文は《七里圭作品・鑑賞日記》(Vol.3)小品集の続きです。 2014年6月14日 『闇の中の眠り姫』@立誠・シネマ・プロジェクト ここで私が綴る言葉は、本文の後半に、記憶にまつわる私的な感情や経験の吐露を含むもので、必ずしも公にすべきではない内容もある。そのため、『闇の中の眠り姫』の作品論とはいくぶん位相を異にする言説となっている。 七里圭作品を知る者なら、その代表作として、どのような作品を思い浮かべるだろうか。私にとっては、『眠り姫』ということになる。その理由は簡

《七里圭作品・鑑賞日記》 (Vol.3)小品集『時を駆ける症状』『ASPEN』『To the light』〈〈自己〉を見る自己〉

(見出し画像:七里圭『To the light 2.0』「Kei Shichiri HP」から) これは《七里圭作品・鑑賞日記》(Vol.2)の続きです。 2014年6月8日 七里圭特集《短編作品集5篇》@立誠・シネマ・プロジェクト 各作品1000字程度に収めました。 * 『時を駆ける症状』(1984)8㎜*デジタル上映 七里監督が、高校の文化祭上映に向け撮った初の監督作品である。 タイトルから誰もが想像するであろう筒井康隆原作による大林宣彦『時をかける少女』(198

《七里圭作品・鑑賞日記》(Vol.2)『DUBHOUSE:物質試行52』

(見出し画像:七里圭『DUBHOUSE:物質試行52』) これは《七里圭作品・鑑賞日記》(Vol.1)の続きです。 作品タイトル以外に鑑賞した日付と会場を付した。それは、七里圭作品においては、同名の作品であっても、上映会場により内容が異なることもあり、また、上映形態や会場の光や音の回り方による印象の違いがあるからである。その意味で、七里圭作品ではタイトル、日付、会場は不可分である。 2014年6月5日 『DUBHOUSE:物質試行52』16分(2012)@同志社寒梅館ハ

《七里圭作品・鑑賞日記》 (Vol.1) 『眠り姫』アクースモニウム上映

(見出し画像:『眠り姫』アクースモニウム上映「Kei Shichiri HPから」) 七里圭監督作品をすべて見たわけではないが、時間が許せば意識的に見るようにしている。私に七里圭論を書くほどの分析力はないが、どの作品も私の映画領域や認識を刷新するほどの不思議な力がある。 以下は、鑑賞した映画の断片をとどめておくために綴っている『映画日記』から七里圭作品に関する記述を抜き出し、《七里圭作品・鑑賞日記》としてまとめたものである。七里圭作品の特質上、アート全般を横断する論考にな