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【CIA】琉球諸島とその重要性~THE RYUKUYU ISLANDS ANDTHEIR SIGNIFICANCE~

琉球諸島とその重要性の概要


1.琉球諸島の処分は、極東問題の解決において最も議論の多い問題の一つとなるかもしれない。これらの島々、特に沖縄を領有または支配すれば占領国は、(a) アジアにおける防衛または攻撃のいずれの作戦においても有利になる、(b) 中国中部、北部および朝鮮への海路を監視する監視所となる、(c) 沖縄を中心にした広範囲の航空監視基地となる。

2. 米国が琉球諸島を支配すれば、(a) 条約締結後に非武装となった日本とフィリピンおよびその他の太平洋諸島にある米国の基地を防衛するための作戦拠点を米国に提供する、(b) 琉球が潜在的敵国の支配下に入る可能性を回避する、(c) 千島列島、朝鮮および満州におけるソ連の拠点をある程度無力化する、(d) 日本側のいかなる軍事侵略の復活も阻止する立場を米国に提供する。

3. 中国と日本の両国は、諸島に対する領有権を主張するだろう。英国と自治領は米国の支配を支持するかもしれないが、ソ連は米国の支配に激しく抗議するだろう。

注:この報告書は、1948年8月5日時点のものである為、「中国」とは、蒋介石率いる「中華民国政府(国民党)」のことであり、現在の中華人民共和国のことではありません。

1.琉球列島とその意義


琉球の重要性 南西諸島は、九州の南端からフォルモサまで775マイルの長さで連なっている。 この列島では、琉球という言葉は沖縄郡と奄美郡を構成する島々、あるいは北緯24度45分と北緯28度30分の間にある島々を指す。 経済的には住民以外には何の価値もなく、内政的には比較的静かなものである。 琉球列島の中心に位置する沖縄の価値は、第二次世界大戦で実証された。 島嶼部には合計22の飛行場と水上機基地があり、そのうち11が戦時中に沖縄に建設された(6つはB29を収容可能)

隣接する島々を沖縄と一緒に開発すれば、中国内陸部、日本と朝鮮半島の一部、ウラジオストクを含む東シベリアの一部、フィリピン諸島全域、グアムとマリアナス諸島、東南アジアとオランダ領東インド諸島の一部を、重爆撃機が射程内に収めることができる優れた基地となる。 理想的とは言えないが、琉球には天然の港となる湾や入り江がいくつかある(那覇港、バックナー湾、慶良間諸島)

しかし、年間3~6個の台風が島の真上を通過し、甚大な被害をもたらすことが予想されるため、これらの場所を長期的な海軍補給や戦術作戦に使用することは限られている。 日本と韓国からの撤退に続いて琉球から米軍が撤退すれば、太平洋における米軍の防衛ラインはマリアナ諸島に戻ることになる。

このような状況下でアジア紛争が勃発した場合、琉球は米国の利益と敵対する勢力の支配下に置かれることになるかもしれない。 琉球を占領し、十分な航空戦力を持つ国であれば、非武装の日本を支配することができる。 さらに、米国に敵対的な国による琉球の支配は、明らかに米国の太平洋基地に対する脅威となり、西太平洋で活動する米軍の将来の行動を制限することになる。

2. 現在の状況


琉球列島は旧日本帝国の一部として、1945年春以来、米国の占領下にある。 カイロ宣言でもポツダム宣言でも、琉球諸島の将来の地位は明確に定義されていない。 したがって、琉球諸島を日本に返還するか、他の国に移譲するか、信託統治下に置くかは明らかだ。 琉球諸島の人々は、米国の保護下に留まることを望んでいるようだ。 とはいえ、極東における将来の決着を見越して、中国はすでに領有権を主張しており、日本は悲願を唱えている。

3. 日本と中国の主張の根拠


中国が琉球と最初に接触し、琉球は中国に「貢物」を送り、その見返りとして「贈物」を受け取ったが、その手続きは、「中王国」と辺境の「属国」の間で結ばれていた伝統的な「宗主国」関係の典型的な商業的側面を持っていた。 17世紀には、琉球は中国と日本の両方に朝貢していた。 1874年、中国は日本と協定を結び、琉球人は "日本の臣民 "と呼ばれるようになった。 1879年までに、日本は琉球諸島の完全な政府責任を引き受け、1945年まで日本固有の領土として統治を続けた。

4. 起こりうる展開と利害関係国の立場


中国の領有権を認めることは、とてつもないリスクを伴う。 中国の支配は、米国による基地の使用を容易に拒否し、国民党軍が共産党に最終的に征服された場合には、ソビエトに諸島への容易なアクセスを与えるかもしれない。 このような事態は、日本にとってソ連の侵攻という深刻な脅威をもたらすだけでなく、事実上、太平洋地域におけるアメリカの戦略的立場を危うくする。

終戦後、中国国民党がフォルモサで失敗したことは、米国が沖縄に基地を維持することで国民党に琉球を与えることが現実的でないことを示している。 そのような合意のもとでは、中国に対する琉球人の恨みと中国政府の混乱が相まって、この地域の安定を維持しようとする米国の努力を著しく阻害する可能性がある。 さらに、中国が同諸島の領有権を主張しているのは、領有権の主張が満足されることを本当に望んでいるというよりも、極東アジアの和解が成立したときに自国の交渉力を高めるのに役立つ議論としてなのかもしれない。 この場合でも、中国世論の圧力によって、中国は米国を非常に困惑させるところまで主張を押し進めざるを得なくなるかもしれない。 日本人の政治的、歴史的、民族的主張が相当なものであったとしても、現在の状況では、日本は連合国のいずれかが後援する以外の主張を展開することはできない。 とはいえ、日本が米ソの対立を利用して諸島の支配権を取り戻し、極東における日本の野望を推進しようとすることは予想される。 しかしアメリカは、日本への返還を支持すれば矛盾に陥る。 軍事的に弱い日本が島を支配することは、極東全体の不安定化につながる。

一方、日本の侵略的パワーの再発を防ぐという米国の決意とコミットメントがあれば、琉球の安全を維持できる日本に島を与えることはできない。 中国、ソビエト連邦、英国、ドミニオンは、日本への返還に強く反対するであろう。 ソ連は、日本を「主要4島に限定する」という方針を厳格に堅持する意向を示している。 ソ連が米国の支配に反対するのは間違いないため、ソ連が受け入れられる選択肢は、琉球の独立か、共産主義の支配に急速に屈しつつある中国への移譲である。 ソ連はおそらく後者を選ぶだろう。 


1947年8月のキャンベラでは、英国は同諸島に対する米国の信託統治を支持していた。 また、英国は太平洋の安全保障を米国に委ねる方向に傾いていたため、おそらく同諸島を米国の管理下に置く計画に賛成するだろう。



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