【いたくないもん⑧】
「ねーねーなんか楽しそうだねー」
ニコちゃんがいいました。
「楽しくなんかないやい! もうボクはかえるんだい!」
クリスはニコちゃんの頭の上でいいました。
リスたちの列はじわりじわりと前へすすんでいきます。
「なんでかえらないの?」
うしろのリスがいいました。
「そうだそうだ、もうかえろう!」
クリスがいいました。
しかし、ニコちゃんはもじもじしています。
すぐ先に、おうちが見えました。ニコちゃんが入れないくらい小さなおうちです。
2つ前のリスがよばれて、ドアをあけると、中から声がきこえました。
「きゃはははははは! きゃー!」
「ねぇ、楽しそうだよ」
ニコちゃんはそれからそのまま列にならんで、かえろうとしません。
「ニコちゃんかえるよ! ぼくかえるよぉー! ニコちゃんひどいよー」
クリスは泣きはじめました。