泣いちゃだめ?⑤
「ねぇ、もういいぃー?」
ニコちゃんは、玄関とテクくんの間を行ったり来たりしています。
「靴下はいた? ちょっと、はだざむいから上着ももって」
コトちゃんはテクくんをだっこして、玄関で言いました。
ニコちゃんは、はいた靴をぬいで、靴下を持ってきました。
「それ、ちがうでしょー?」
コトちゃんは黄色のうさぎの靴下を片方もってきて、ニコちゃんにわたします。
「黄色は黄色、ピンクはピンクで合わせるの」
ニコちゃんはだまって靴下に足をいれようとします。
「あーん、はーけーなーいー」
ニコちゃんは、靴下につま先だけいれて、ねころがりました。
「はけるでしょ。ほら、ここの青色がかかと。ニコちゃんのかかとはどこ? はい、ひっぱって! うんとこしょっどっこいしょっ」
「できたー!!」
「はいっ、はんたいも。コトちゃんが上着持っていくね」
「できたー!!」
「やったぁ!すっごーーーーい! 」
ニコちゃんとコトちゃんは手をぱちんとたたきました。
コトちゃんは、ベビーカーを出して、テクくんをのせます。
「あーん、ニコちゃんがやるー」
「じゃあおねがいね」
「しゅっぱーっつ」
ニコちゃんはベビーカーをおして、ぐんぐんすすんでいきました。