ポツポツポチャン⑥
犬は、風をきって走ります。
セキレイのサンバイザーは、いつの間にかふっとんで、どこかへいってしまいました。
セキレイはあきらめました。
もう、顔も体も雨にぬれてびちゃびちゃで、今どこにいるのかもわかりません。
すると、なぜだか楽しくなってきました。
「雨って、こそばいのね」
セキレイはクスッと笑います。
「ぴよちゃーん」
ニコちゃんの声が聞こえました。
ビクッと驚いた犬は、セキレイをポトッと落として、走って行きました。
「ぴよちゃん!」
ニコちゃんはかけよって、セキレイの上にかさをさしました。
「ごめんねー、テクくんがね・・・あれ、ぼうしはー? 顔に虫がついてるよー?」
「虫!?」
セキレイはとびおきました。
「なぁんだ。わたしのつけまつげじゃない」
「もういいの?」
「ねぇしってる?わたしの名前はぴよちゃんじゃなくて、オッチョよ。ねぇしってる? 雨ってきもちいのよ~♪ 顔にファッサーってかかるの。そうかいだわぁ」
セキレイは目をかがやかせて言いました。