泣いちゃだめ?⑧
「どうしよう」
コトちゃんは不安でいっぱいになりました。
「ぎゃーーーーーーー」
テクくんは泣き続けます。
すると、コトちゃんの横に、帽子をかぶったおばさんがスッと立って言いました。
「あの子ね、呼んできてあげる」
「え?」
おばさんは、コトちゃんが返事をする前に、改札を入っていきました。
「おじょうちゃん、電車好きなの? おもしろいよねー」
ニコちゃんはビックリしてぼーっと、おばさんの顔をながめました。
「お姉ちゃんがあっちで待ってるわよ。さっ行きましょ」
おばさんが、ニコちゃんの手をとろうとすると、ニコちゃんはあわてて手を引っ込めました。そして、いそいで改札をとおってコトちゃんのところへもどっていきました。
「きらわれちゃった」
もどってくると、おばさんは笑顔で言いました。
「お姉ちゃんのそばをはなれちゃだめよ? そうじゃないと、もーっとこわい人が、お手ひっぱっていっちゃうからね」
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