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青年は、ついに志村という亡霊(ゴースト)から解き放たれた
以前Wordpressでゴーストオブツシマのクリア後感想をなかなかの長文で吐き出したので、なんかもったいなくてこっちにインポートしました。ネタバレあります。
さんざんロジカル思考を気どっといて最後にサクッとあの決断をした辺り、自分が思いのほか復讐の鬼と化してる感ある。今読むとちょっとホラー。思考の記録として。以下本文です。
戦闘楽しかった! フォトモード楽しすぎた! 物語に一喜一憂した! 最後は泣いた! いやはや、よかった。やってよかった。書きたい事、たくさんあります。うまくまとまるか分かりませんが、何はともあれいっちょ綴ってみます。おそらく長くなると思うので、先に土下座しときます。
あ、あと、ストーリー1周しただけなので、細かいところに記憶違いがあるやもしれません。その際はご指摘いただけると助かります。
嵐のような、焔のような、息つく暇もない情愛の物語
ちなみに私のクリア状況はこんな塩梅。難易度普通、トロコン未達成、拠点全解放、浮世草全クリ、伝承全クリ。
上県の半分ぐらい解放した辺りでスキルは全解放状態になったので、その辺りで難易度「難しい」に変えたら後半の戦闘にもっとハラハラ感が出たかもしれない。とか言って、ちょいちょい一騎討ちしくじってましたけども。
それはさておき。特筆したいのはストーリーであります。悲喜こもごも、と言いたいところだけど、思えば「喜」なんぞほとんど無かった。どれもこれも悲しい末路ばかりでした。竜三も、たかも、政子殿も。
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みんな大好き石川先生の幕引きも、個人的にはなかなか興味深かった。あんなに執着し続けた巴を、意外な程あっさりと見送った石川。船でまんまと逃げられたとは言え、屈指の弓取りなのだから浜から射殺すぐらいたやすかったはずなのに。そう言えば巴と連携している時の石川の嬉々とした戦いっぷりも、なんかもう微笑ましかったなあ。
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つくづく石川先生って、心底弓のとりこなのだなと。巴に固執したのじゃなくて、巴の弓の才能に執着したんだよね。巴自身に情だとか愛だとかいう情緒めいたものは無かったんだと思う。だからこそ巴が戻らないと確信した途端、スンと冷めたんじゃないかなと。よもや100が0になるほど急速に冷えたわけじゃなかろうけれど、少なくともそれぐらいの後腐れの無さを感じました。心を忘れた弓取り、石川。いかにも天才肌で、面白い人だった。
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かたや典雄は少し期待外れに終わった感が。まあ何と言おうか、僧の風上にも置けないと言うのか。若い(ように見える、お肌とぅるんだから)とは言え、あまりにも怒りに身を任せすぎだった気がする。
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だって「怒り」って、仏教の教えをまるごと無に帰するってぐらいネガティブな感情ですよね、たぶん。蒙古の非道にも、いかにして怒らず我を保つか、それこそが教義なのじゃないかと思うのですよ。そして、それを諭すのが典雄の役割なのじゃないかと。
周りが怒りに満ち満ちていた(特に政子)からこそ、典雄が救ってやって欲しかった。未熟者なりに、せめて救おうとしてあげて欲しかった。モブに紛れている時の典雄は、合掌したりして、それっぽい事やってたんだけどね。ま、個人的にはもうちょっと仏教の凄みを見せて欲しかったなーなどと思った次第です。
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そして。何と言っても百合之譚。百合がこの物語で果たした役割はきわめて大きいと思います。みなさんきっと同じ事を感じたんじゃないかなあ。
末期の最中にあって、現在と過去の境界があやふやになっていく百合。百合の言葉が哀愁を増すごとに、ますます鮮やかに輝く対馬の風景。実に映画的な演出だったなあと。シンプルに感動しました。
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仁が掴み取ったハッピーエンド - 誉の呪縛から解き放たれて
で、いよいよ志村殿ですよ。最後の選択肢、やってくれましたね、サッカーパンチ。最後に究極の選択っぽいのはあるんだろうなと思ってはいたけど、いやはや、そうきたかと。ブラボー。
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ちなみに私は斬りました。ほとんど迷いなく。斬らないパターンはYouTubeでチェックしました。そして両方見た後、何故か急に感極まって泣いてしまいました(謎。斬った人、斬らなかった人、十人十色の想いがあることでしょう。どちらが正しいという話でもないですしね。少なくとも私は、どちらの結末もハッピーエンドだったような気がします。仁がようやく誉の呪縛から解き放たれたという意味で。ようやく志村という亡霊(Ghost)をかき消したという意味で。
仁は父の死にトラウマを抱えていましたね。思えば父の最期の言葉、ひどいもんだったなあと。まだ子ども(12、3歳ぐらい?)で甲冑も着ていない仁に向かって「手を貸さんか」と。まだ敵がうろついている状況で。あそこで実際に仁が出て行ったとしても、深手を負った父を担いで逃げられるはずもないでしょう。おそらく仁もろとも殺されていたであろう事は容易に想像がつきます。父なら、いや境家の当主なら「そこに隠れていろ、絶対に出てくるな」と言うべきだったのじゃないかと。境家存続のために。つくづく、この時の父の言葉は意図が分からない。
おかげで仁は大きな嘘を抱えて生きる事になってしまった。「父は私をかばって亡くなった」という嘘。かばうどころか命を投げ出して俺を助けろと言った、ある意味当主あるまじき父の最期を、ひっそり闇に葬った。そして同時に「父を見捨てて死に追いやった」という、道理に合わない罪悪感を背負う事にもなりました。見捨てたわけじゃ決してない。むしろあれが境家存続の唯一の方法だったはずなのに。可哀想ですね、改めて。ただただ優しい男なんですよ、仁は。
で、このトラウマ。志村の誉の毒牙にかかるには十分すぎる理由になってしまったと思います。誉の毒牙、あえてそう言い切ってしまおう。だってあれは仁を囲い込むための呪いだったと思うから。だって全部志村のエゴだと思うもん。
子どもの頃の仁が「叔父上にご子息が産まれたら、私は捨てられますか」と志村に問うシーンがある。首を傾げた。捨てるってどういう事? 仁は子どもだったけど、すでに境家の当主だったはず(だよね?)。志村城に入り浸っていたっぽいけど、青梅に家だってある。百合みたいな従者もいる。捨てるとはいかに。
父・正(ただし)よりも優しくしてくれる志村を実の父のように慕う仁の気持ち、分からなくもない。だけど当主なんだから。当主はかくあるべきという教育を志村はすべきでしょう。そこで志村はどう返したか。
「わしは生涯続くこの道をお前と歩んで行くぞ、何があろうと。」
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ん? どういう事? 首を傾げすぎて一周するかと思った。「捨てまいよ、ずっと一緒だよ」って事なんだと思うけど、いや、そうじゃないだろと。「お前は境家の当主だ。だが、もし息子が産まれたとて、わしはお前を子のように思っている」そう言ってやれよ、と思ったわけです。それが真っ当な愛だろうと。
志村は早い段階で仁に家督を継がせようと決めていたのかもしれないけど、そんなの志村が勝手に思ってただけで、仁が望んだわけじゃない。仁はただこれからも志村に優しい父親の振る舞いを続けて欲しかっただけ。志村は仁のその寂しさにつけ込んで「家督継げ〜」の呪いをかけただけ。
その呪いが解けないように、志村はさらに「誉」の呪いをかけた。裏切り、抜け駆け、反逆、そのような誉れを欠いた行いはしてくれるなよ、の呪い。志村の言う「誉」は、言い換えれば単に「俺を裏切るなよ」なのだ。仁の心や立場なんてちっとも慮ってないのだ。
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だけどそこに「優しさ」だとか「父親」だとか「武士道」だとかの皮を着せて、チンしてホカホカに温めてくるから、ホクホクかぶりついちゃう。タチが悪い。でも、蒙古襲来という未曾有の危機が訪れなければ、仁はそのホカホカのエゴまんじゅうを死ぬまで美味い美味いと頬張っていたかもしれない。たぶんきっとそう。仁がまんじゅうの毒に気づき始めたのは、嘘やまやかしの通じない命の危機に瀕したおかげ。なんとも皮肉な事です。
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志村の覚悟なき武士道を、正もハーンも見抜いていた
それにしても、志村の「誉」はあまりにも独りよがりでした。そういえば、正も生前こう言ってましたね。「志村は城に執着しすぎだ」(百合談)と。つまりは地位にしがみついていると。正は最期に謎の言動を残したけれど、生前のこの言葉には非常に納得できます。志村が優秀な仁に家督を継がせたかったのも、元はと言えば志村家を強固にするためだと思うし。(繰り返すようだけど、本当なら仁を境家当主として育て上げるのが道理かと。)
加えて、志村の「誉」は生ぬるかった。すでに小茂田で大敗し、これまでの正攻法がまかり通らない事を痛感した対馬勢。戦える武士もほとんど残っていない。そんな中、蒙古は民に悪逆無道を振るっている。あげく志村自らは囚われ、命を握られている。この状況下、仁の冥人たる戦い方は、もはや正攻法だと言ってしまっていいと思う。
そもそも、たとえ背後から斬ろうが毒を盛ろうが、それ自体が罪になる事はない(はず)。中世の法律にそれほど詳しくないけれど、少なくとも御成敗式目にその手の罰則はない(はず)。卑怯者のレッテルを貼られる事はあるかもしれないが、「背後から斬りかかるは卑怯」という概念は明治以降に生まれたものだという説も聞いた事ある。とにかく仁は悪くない。
それでも志村が誉、誉とうそぶくのなら、誉なき冥人に救われた己が命は何だというのか。誉なき命なぞ無きに等しい、とか言って腹を切るぐらいの覚悟はなかったか。その程度なのだ、志村の誉は。ぬるい。そのぬるさ、ハーンにもバレてたっぽいし。
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繰り返すが、仁の戦い方自体は刑罰に値しない。なのに何故罪人となったのか。そこが一番の疑問でした。考えられるとしたら、志村が「仁は謀反を起こした」と上申したからとしか。謀反はれっきとした罪だから。だけど謀反とは、君主を殺すべく兵をおこすこと。仁の行為とは相反している。むしろ仁は志村を救おうとしたわけで。解せぬ。
だからやっぱり、志村が「あいつは謀反人だ」と騒いだからとしか説明がつかない気がします。たしかに志村にとっては裏切りだったかもしれない。とは言え謀反ではないし、武士の身分や命まで奪われる類の行為じゃない(はず)。専門家じゃないので断言できないのだけど、たぶんきっとそう(間違ってたらごめんなさい)。つまり実際には罪に問えるはずもないのに、むりやり罪だと押し通してしまったというわけなのでしょう。お得意の方便で。ご自慢の劇画顔で。
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とかく、どこまでも独りよがりなのだ。仁の気持ちにまで考えが及ばないのだ。では、志村本人にその自覚はあったか。無かった気がします。だから、最後の最後に涙を流した。こうなったのは自分のせいだと、ちっとも思ってない。
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あの状況で涙を流したら仁がどう感じるか、少しでも考えただろうか。無用の罪悪感を植え付ける事になるのではないかと思わなかったのか。てか、ここへきて何の涙だよ、と正直思った。やはり解せぬ。
自覚ないな、うん。と思って、えいやっと斬りました。ここで生かしたら、きっと志村は死ぬまで仁を恨むだろうと思ったから。真理なんてどこ吹く風で、永遠に裏切られたと信じ続けるだろうから。だとしたら、きっと生き地獄を味わう事になると思ったから。その瞬間、まるで自らが斬られたかのような悲鳴を上げた仁。まさに断末魔だった。あの時、仁は完全に生まれ変われたと思う。間違いなくそう思う。
一方でもし、志村が泣かなかったら。斬らなかったかもしれない。おや、自覚があるぞ、と。自覚があるなら、この悲劇を教訓にしてくれるかもしれない。その先に、志村自身の幸せを見出してくれるかもしれない。あと「生きて悩み抜け」という、ささやかな復讐も込めて。
はてさて仁さん、晴れて自由です。罪人として追われる立場なのは変わらないけど、心は解き放たれたと思う。誉の呪縛から。志村という名の父の亡霊から。
永い道のりでした。でも歩む価値はあった。仁にはこれから絶対に幸せになってほしい。ゆなもね。対馬の蒙古を一掃したら、二人で本土に渡ってよ。何なら巴追っかけて京都行ってよ。みんなで何でも屋とか開業しちゃおうよ。あ、なんなら賢二も。な。
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ふう。語った語った。だいぶスッキリした。いやはや、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。記憶違い、歴史認識違いなどもろもろあるかもしれませんので、その際はご指摘いただけると助かります。
あれやこれやと思考を巡らせてくれた「ゴースト・オブ・ツシマ」。感謝です。素敵体験ありがとう。そして、こんなに気合入った作品をクリエイトしてくれたサッカーパンチ、重ね重ねありがとう。願わくば同じぐらいクオリティ高いやつ、また作ってねー。(おわり)2020/10/1記
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