世界一酷い毛孔性苔癬肌を持つ女
それが私、まあまあふうふうだ。
実際に世界一かは知らんけど。しかし、リアルにおいて自分より重度の毛孔性苔癬持ちさんにお目にかかった事がないのだ。
毛孔性苔癬、いわゆる鮫肌はわりとポピュラーな良性の皮膚疾患で、ほとんどの場合二の腕に発症するらしい。
ところが私の症状はと言うと、肩周りから手首のきわっきわまでぎっしりみっちりブツブツ。下半身はお尻から太ももにかけてブツブツブツブツ。膝下は毛穴の隆起は無いものの、色素沈着あり。ノースリーブ着れないどころの騒ぎではない。
思春期はひたすら地獄の季節であった。制服なんて夏服は大地獄、冬服でも油断するとブツがチラ見えしてしまう。プールの授業でスクール水着を着れば、肩と太もものブツまで露わになる。生来コミュ力が低く大人しい性格だった私は当然いじめの対象となり、暗黒の日々を過ごした。
いきなりガッと腕を掴まれシンプルに一言、「気持ち悪い」と言われた事もある。わ!こういうどストレートなのわりと傷付くんだよね〜。まぁ家族からも気持ち悪いと言われるくらいだし仕方ないよね〜。と、顔で泣き心でも号泣した。
また、意外と困るのが「その肌どうしたの?」「カミソリ負け?」「なんで暑いのに鳥肌立ってんの?」といった、嫌味のない純粋な質問。非常に返答に迷う。きょとんとした顔するんじゃないよ。こっちが知りたいわい。
大人になるにつれ、面と向かって気持ち悪いと言われたり疑問を投げかけられることは無くなった。制服がある仕事もいくつか経験したので、毛孔性苔癬はバレてただろうけど。
もちろん無抵抗でこの肌を受け入れていた訳ではない。思春期の頃から人生最大級のイベントである結婚式の日を迎えるまで、しぶとく居座る毛孔性苔癬と熱いバトルを繰り広げてきた。
だが、最終的に今の私が辿り着いた答えは「諦める。毛孔性苔癬と共存する。」である。あらゆる手を尽くしても私の毛孔性苔癬は良くならなかった。(僅かながら変化が見られた方法もなくはなかったので、別の記事にまとめる予定)
「30を過ぎると自然に薄くなり目立たなくなっていく」ともよく言われるが、これには正直全く期待していない。私の父もまた、重度の毛孔性苔癬持ちだ。父はもうすぐ還暦を迎える歳だが、若い頃から現在に至るまで色濃いブツがしっかりある。
毛孔性苔癬は遺伝性の疾患と考えられている。毛孔性苔癬、顔、足の臭いまでそっくり父を受け継いでいる私は、恐らくこのブツと一生付き合っていかなければならないのだろうなぁ、と覚悟している。