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特別なことは何もできないけれど、"おかえり"だけは精一杯
ガチャリ。
3時15分を少し過ぎた頃、いつもの音が玄関から聞こえてきます。
「ただいまぁ」
「おかえりー!」
私は必ず、精一杯の元気な声で応えます。
この「おかえり」という言葉、実は意識して大切にしているんです。
誰かに言われたわけでも、どこかで読んだわけでもありません。でも、この言葉には不思議な魔法があると感じているんです。
「おかえり」に気持ちを込めるのには理由があります。
息子に何気なくでも良いから、こんなふうに感じてもらいたいから。
「この家は安心出来る僕の居場所」
「お母さんは僕の帰りを楽しみに待ってくれてるんやな」
雨の日は、傘の雫を床に落としながら。
休み時間にサッカーを楽しんだ日の靴は砂まみれで。
遠足の日は、たくさんのお土産話を抱えて。
その日その日の「ただいま」に、私なりの「おかえり」で応えています。
「今日も元気に帰ってきてくれて嬉しいわ」
「今日は学校でどんなことがあったん?」
「話聞かせて〜」
そんな思いを込めて。
すると不思議なことに、息子も自然といろんな話をしてくれるんです。
ランドセルも下ろさずに、立ったまま両手を動かしながら。
「今日はな、こんな事があってん」
「それでな、そんでな」
そんな時は決まって、
「よし。まずはランドセル降ろそか。そっから話聞くで〜」
この何気ない時間が、私は本当に大好きです。
そういえば、絢香の「おかえり」という曲も大好きです。家族への想いがぎゅっと詰まった歌詞に、何度聴いても心が温かくなります。
息子は今、挨拶が得意な子に育ってくれています。
「おはよう」も「ただいま」も「おかえり」も「おやすみ」も、しっかりと伝えてくれる子に。(家族以外の人には照れることも多いのですが。)
ちなみに夫にも出来るだけ明るく「おかえり」って言うようにしています。
息子に対して100%の元気さなら、夫には80%くらいの元気さで...。
なんでそこはイコールにせえへんねん、というツッコミはさておき。
私は教育熱心なお母さんではありません。息子に何か特別なことをしてあげられている自信もない。
でも、「生まれてきてくれてありがとう」「帰ってきてくれて嬉しい」「そのままの〇〇が大好き」
そんな気持ちは、たくさん伝えていきたいと思っています。
それがいつか必ず、息子の心の中で温かな力になってくれると信じているから。
その思いの全てが、私の「おかえり」という言葉に込められているのかもしれません。
みなさんは、どんな想いを込めて「おかえり」と言っていますか?