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さよならオリンパス

オリンパスが映像事業を譲渡だそうな。かねがね噂はあったが、いよいよとい言うべきか。でもそんなに悲観するものではない気がします。

カメラ市場は急激に縮小。オリに限らず総負け状態

ここ数年、オリの映像事業は営業赤字が続いていましたが、生産拠点の集約など構造改革を進め、直近の赤字幅は縮小(つまり増益)していました。反面、カメラ市場はこの2年で実にその80%が消失し、小さなパイを複数のプレイヤーが取り合う構造になっています。

この急激な市場縮小には某新型ウイルスの影響もありますが、もともとカメラ需要はスマホに押されており、新型ウイルスショックが収まったところでV字回復する目はありません。ムービーに強いソニーやパナはZV-1やG100のようなVLOGカムを投入し市場を広げにかかっていますが、尊い取り組みとはいえ、即効性は期待できなそうです。

需要に対して供給が圧倒的に過多なのですから、直近の各社決算は惨憺たるものでした。キヤノンは赤字転落スレスレ。ニコンは赤字が大幅拡大し中期的にはBtoBの工作機械メーカーになることを表明。その中で赤字縮小できたオリンパス(の映像事業)は相対的にまだマシな決算内容だったため、いまが売り時と言えるかもしれません。

良くも悪くもオリンパスという企業にとって映像事業のインパクトは少なく、売上構成比もざっくり6%程度。カメラはオリンパスの祖業ではありますが、今は既に医療器具メーカーです。あってもなくてもいいうえに、今は赤字続きとくれば、ここを放置するのは経営者として考えられないです。

今回譲り受けるのは日本型ファンドのJIPで、VAIO株を独立させたり、BIGLOBEをNECからKDDIに橋渡ししたりしたファンドです。オリンパスとはITXの事業譲渡を通じて過去のよしみもあるようです。譲り先として、まずは穏当なところに落ち着いてよかったと思っています。

他マウント用のZUIKO DIGITALを期待

今後の展開をポジティブめに想像するなら、まずボディは高付加価値モデルに集約。E-M1系とPEN-F系だけでいいのでは。その上で他マウント用のレンズを展開する。元オリユーザー、現ソニーユーザーって多そうですし。「ZUIKO FE」とか目にしただけで買っちゃう人いそうです。カメラボディはレンズを売るためのプラットフォームなのに、エントリーのレンズキットだけ買われてしまい交換レンズが売れないというのがオリの悩みでした。でもサードとしてレンズを供給するなら、自らが安いボディをラインアップして消耗することはありません。

はたから見ているとオリンパスの映像事業は過去からのしがらみが多そうで、そのわりには社内での発言力もなく、製品展開とマーケティングがちぐはぐな印象がありました。事業譲渡は大ナタではありますが、それでも変化はチャンスでもあります。それこそVAIOのように、しっかり存在感を回復してほしいです。

新会社名は……ZUIKO株式会社を推しておきます。さよならオリンパス、でもこんにちはズイコー。うん、悪くない。


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