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エンゲージメントの正体

世の中、毎年のようにビジネスのバズワードが現れ、しばらくすると消えていきますよね。
今回、会社で「エンゲージメント」向上施策の主管部署になりました。
知らない言葉ではないですが、ふわっとしたところのある言葉。
これから取り組んでいくにあたり、ちょっといろいろと考えてみました、というお話です。


「エンゲージメント」というバズワード

会社で「エンゲージメント向上」なんてキーワード、飛び交っていませんか?
うちの会社でも絶賛飛び交っており、冒頭に書いた通り、今期からその「エンゲージメント向上施策」の主管部署になりました。

ここ数年、経営層から発せられていたものの、「これ、発してる本人たちも何のことかちゃんとわかってないやろ」などと感じながらも、従業員サーベイの収集などに協力してきました。
それが今回、3か年計画だ中期経営計画だということで、ポコッと取組の中に放り込まれ、ひょいっとこちらに丸投げされました。
丸投げされながらも、「任されるなら、やぶさかではない」とか思いつつ。

ただ、先に書いた通り、従業員は一人残らず「エンゲージメントとはなんぞや?」状態です。
もちろんググればそれっぽい言葉は出てきますが、会社としてどういう定義付けをするのか、なぜそれに取り組むのかといった根本的なところには、これまで一切触れずにここまで来てしまいました。
なので、実質的には誰も理解をしていない、巷のバズワードでしかないのが現在地。

そうは思いながらも、主管部署となったからには「しらない」まま進めるわけにもいきませんから、さくっとググってみました。

「従業員エンゲージメント」は共感を呼ばない

自部署の中で定義付けして、経営層に投げかけていこうかと思いググってみたところ、HR系のサイトで堅苦しい定義がちらほら。

従業員エンゲージメントとは、従業員が会社の企業理念や方向性に共感し、業績向上のために、自発的に会社に貢献したいと思う意欲のことを指す。
従業員の企業に対する信頼度や従業員と企業とのつながりの強さといえます。

読み始めてすぐに閉じたくなってしまいますね…。
全然、共感できない…。
「自発的」に「会社に貢献したい」とか、怖い…。
「信頼の度合い」とか「つながりの強さ」とか、意識するのは経営層だけでは?

そりゃ従業員も、会社が嫌いよりは好きの方が良いですが、経営層が「エンゲージメントを上げましょう」と言って施策打てと求めてきているわけで、そのエンゲージメントが「信頼の度合い」となると、「会社をもっと信頼してください」というものを従業員に求めてるってことですよね。
ちょっと怖くないですかね。

経営層にとっては、そういった意味でのエンゲージメントが高まっていると、離職率が低下し生産性も上がるので利益にも繋がる~ということで気にされるのでしょうけど。
一従業員、管理職として、この意味で「部下のエンゲージメント上げてね」と言われたら、だいぶ違和感を感じます。
それならば、「説明もなく急に丸投げされた私のエンゲージメント」から着手していただきたいものです。

「忠誠心」から共通点を抽出してみる

冗談はさておき、主管部署のリーダーたる私が理解も共感もできないのに、他の従業員になんて広げられないなーと思いつつ、もっとかみ砕いて伝えることはできないものかと。

振り返ってみると、過去にもコミットメントとか忠誠心とかっていう言葉もありましたよね。
24時間戦えますかの時代なんて、きっとこの忠誠心いう言葉が平然と使われていたのでしょう…。
でも、忠誠心って、遡れば武士が主君に対して抱くものですよね。
そもそも武士って、なんで忠誠を誓っていたんだろう。
場合によっては主君と一緒に切腹して果てるまであるのに…。
でも、当時はそれが美徳で、武士たちは望んで、自ら進んで忠誠を誓っていた。
その背景にあるものはなんだろうと考えたとき、それは「やりがい」のようなものだったのかなと。
だって、「いやだけど、主君のせいでわし等も切腹じゃ」とはならなかったでしょうし。
嫌なら、刀もってるんだし、たぶんおとなしく切腹しなかったでしょうし。

自発的に忠誠心を育み、それが健全な武士、侍としてのありようと思い勤めていたからこそ、赤穂浪士のような出来事があり、さらに美談としてはやったのかも。
ちょっと飛躍しているかもしれませんが…。
でも、細かな定義はおいておいて、そう考えてみると、エンゲージメントの何世代か前の呼び方が忠誠心で、忠誠心の本質がやりがいならば、「エンゲージメント=やりがい」で、とてもそれっぽいし理解しやすいし、従業員にも落としやすそう。

これは!と思ってさくっとスライドを作って課員に展開。
わかりやすかったといってくれた部下もいれば、忠誠心のたとえはちょっと、という方も…。
うーん…。

上げるべきは「ワークエンゲージメント」=「やりがい」だった

うーんとうなりつつさらに調べていくと、エンゲージメントには「従業員エンゲージメント」と「ワークエンゲージメント」がある~というようなことが書かれたサイトに。
その中で、ワークエンゲージメントとは、「熱意」、「没頭」、「活力」が満たされた状態であり、「熱意」の定義には「やりがい」が含まれている、と。

これだ!と思い、再度スライドを追加して補足説明。
今度はおおむね納得していただけました。

結果的に、自分でいろいろと考えたことの答え合わせのような形になり、芯を外していなかったことにほっとしました。

「やりがい」は労働の対価と考える

付け足したスライドでもう一つ共感をいただいたのは、ワークエンゲージメントの定義とともに加えた以下の数式。

労働の対価=金銭的な報酬+「やりがい」

式とともに、以下のように説明しました。

従業員の労働の対価は、わかりやすいところでは金銭的な報酬。
ただ、実際にはそれだけではなくて、仕事に対する考え方次第で「やりがい」も得られる。
やりがいが得られると、それに夢中になるだろうし、スキルも上がるので生産性も高まる。
生産性が高まれば会社に残る利益も増えるし、会社からの評価も高まるので、出世して、「金銭的な報酬」も高まる。
労働の対価はさらに大きくなる。

どうでしょう?

仕事が楽しめれば、勝手にエンゲージメントが上がっていく

労働は一日のうちの三分の一を占めているなんていわれますが、実際には通勤時間や休憩中も仕事に拘束される時間ですし、残業があれば一日10時間~12時間になります。
つまり、一日の半分、起きている時間の三分の二を費やしていることになります。
そんな時間を「生活のため、稼ぎのため」と、割り切ってしまうのはもったいない。

やりがいを求めて仕事を楽しみつつ金銭的な報酬も増やして、さらにそんな環境ならこの仕事続けたいよねということになれば、結果的にそれは従業員エンゲージメントが高まっているという状態なので経営層もハッピー。

段階を追って読み解いてみると、つながってきますね。
エンゲージメントなんて小難しい横文字を使うより、シンプルに「やりがい」を得られる職場づくりを目指します、と言った方が従業員の理解も共感も得られやすい。

エンゲージメントに向けての最初の一歩を踏み出したばかりですが、何か眼前が開けたような気がします。

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まぁくん
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