④『ティール組織』をざっくりまとめてみる‐多元型(グリーン)組織(p52~p63)



達成型(オレンジ)パラダイムの「成果主義」に対し、多元型(グリーン)パラダイムでは、「人生には成功か失敗か以上の意味がある」という価値観に変化する。

多元型では人々の感情に極めて敏感になり、あらゆる考えは等しく尊重される。そこでは、公平・平等・調和・コミュニティー・コンセンサスが求められる。

多元型の見方で自発的に動くためには、だれとでも密接で協調的なつながりを築く努力が必要だ。

多元型は、ポストモダニズムの学術思考、非営利組織、社会事業家、地域社会活動家の中によく見られる。

人々にとっては仕事の成果よりも人間関係のほうが価値が高い。多元型組織はボトムアップのプロセスを取り入れ、メンバーの総意に基づく決断を目指す。リーダーは自分が率いる人たちのために奉仕するべきだと主張する。気高く、寛容で、他人の気持ちを理解し、相手への思いやりがある。

ただし、多元型では、寛容性が悪用される危険性がある。だれかのとんでもない意見も平等にあつかわなければならないからだ。また、多元型の活動は理想主義的とみなされ、他のパラダイムから何かが返ってくることはない。

そして、多元型ではルールに対するスタンスが曖昧になる。ルールとは最終的に裁量で決まる不公平なものである。しかし、平等を重んじる多元型組織とはいえ、ルールをすべてなくしてしまうと現実は回らなくなる。

多元型は、古い構造を壊すには強力な力を発揮するが、実践的な対案をつくりだすのは得意ではない。

多元型組織の特徴は以下の3点だ。

①権限の移譲

多元型組織にも、実力主義に基づく階層構造は残っている。しかし、意思決定の大半は最前線の社員に任され、経営陣の承認を得る必要はない。

多元型組織のリーダーは、サーヴァント・リーダーとして部下に耳を傾け、権限を移譲し、モチベーションを高め、育てなければならない。

マネージャーは360度フィードバックにより評価され、上司からではなく、部下から指名される場合もある。


②価値観を重視する文化と心を揺さぶるような存在目的

多元型組織で最も重要なのは、会社の文化である。組織のCEOは企業文化と共有価値を育て、守ることが最も重要な仕事であると考える。

企業文化を重視する活動には、HR部門が中心的役割を果たし、社員中心主義に基づいた様々な活動を行う。


③多数のステークホルダーの視点を生かす

多元型組織は、投資家だけでなく、経営者、従業員、顧客、サプライヤー、地域社会、社会全体、環境に対する責任を負っていると考える。多元型組織におけるビジネスの中心は、自社の社会的責任を果たすことにある。


そんな多元型組織のメタファーは「家族」である。


「衝動型」から「多元型」へ至るまで人の意識と組織の進化は加速しており、加速のスピードも増している。

人類の歴史の中で、衝動型、順応型、達成型、多元型の組織が隣り合わせに活動し、複数のパラダイムをもつ人々が生きていた時代はない。


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