【海外移住】海外インターンシップ(無給)に参加した場合の注意点とは
アメリカでは昔から、多くの学生が大学・大学院在学中に企業のインターンシップ・プログラム(有給と無給)に参加しています。
その最たる目的とは、企業での就労経験と大学での単位取得のためのトレーニングです。
私が経験したアメリカでのインターンシップは、開始当初は無給でしたが、途中から少額の有給に変わりました。
結論として、米インターンシップ・プログラムに参加するには、次のことが重要になります。
プログラム内容をしっかりと把握すること(どんな仕事になるか、住む場所はどうなるか、本当に無給なのか、時間外勤務はあるか、インターン終了後に採用はあるのか等)
無給の場合、十分な貯蓄が必要
その当時の経験から、無給インターンシップに参加する注意点や良かったことなどを記載していきたいと思います。
アメリカのインターンシップとは
米インターンシップは、1906年に米国オハイオ州シンシナティ大学工学部部長ヘルマン・シュナイダー博士が、自身の学生数名を地元の企業で「実践的かつ専門的なスキルを得る事」を目的として就業体験させたのが始まりとされています。
一定の期間において、学生が企業で従業員と一緒に働き、就労経験を得ることが目的です。
米インターンシップは就職に直結するケースが多いため、大学・大学院在学中に希望する企業にて就労経験を積むことは、実質的に採用の一部になっているような印象を受けます。
就労経験を得るために学生は夏休みや放課後をインターンの時間にあてたり、またはインターンシップに参加することを卒業条件としている学校もあります。
米インターンシップでは従業員とほとんど変わらない職務内容が提供され、学生は在学中にその職務を体験することができます。
学生は将来自分が希望する仕事をイメージしやすくなり、大学1年生の頃から複数のインターンシップに参加する学生も多くいます。
米インターンシップには有給と無給の二種類があり、金融・エンジニアリング・IT系には有給が多く、マスコミや政府系には無給のインターンシップが多いようです。
日本でも、1997年頃からインターンシップ制度が浸透し始めました。
現在、多数の企業がセミナー中心の短期インターンシップを採用しており(中には長期インターンシップもあります)、短い期間ながらも学生に就業経験を提供しています。
短期インターンシップにより、日本ではより多くの企業や業種を体験できるので、どの仕事が自分に合っているのかを見極めるとても良い制度だと思います。
インターンが最低賃金及び残業代を受け取ることはできるか
インターンが最低賃金及び時間外労働に対する賃金を受け取る権利があるか否かについては、米労働法である「公正労働基準法(「Fair Labor Standards Act」、1938年に米国で制定された連邦法律)」が基準となっています。
この労働法では、営利目的会社(for-profit companies)が従業員に対して仕事の報酬を支払うことを求めていますが、インターンはこの労働法のもとでは「従業員」とならないため、基本的にインターンの仕事に対する報酬が発生しないとしています(例外ありです)
ですが、「インターンが実際に(ある特定の条件を満たしているので)従業員である」と判定された場合、そのインターンには最低賃金及び時間外労働に対する賃金を受け取る権利が生まれます。
実際は、契約書などであらかじめ双方向でのしっかりとした合意(無給でのインターンシップ・プログラムに参加する、従業員の指導ものとによる補完的な作業など)がなされるはずなので、ホスト企業もインターン側にも問題は起こることはないと思います。
日本でのインターンシップ・プログラムではなく、海外でのインターンシップの場合は、プログラム参加費用(無料もあるそうです)とは別に渡米費用や居住費用が発生するので、インターンシップ・プログラムの内容をしっかりと把握したうえで参加する方ことをお勧めします。
参加した無給のインターンシップ・プログラム
米国公認会計士(USCPA)の勉強をしていた頃、通っていた学校から『アメリカでビジネス・インターンシップに参加しませんか?』と案内を受けました。
いわゆる留学エージェントのような団体にインターン先をピックアップしてもらい、そこで就労経験を積むというインターンシップ・プログラムでした。
そのプログラムの面接を受けた際に、インターン先から提示された条件は次の3つでした。
無給インターンシップ
居住先の提供(部屋代、水道光熱費、オフィスまでの送迎込み)
米国公認会計士の補完業務(給与計算、仕訳入力、試算表の作成、電話対応、ファイリング等)
エージェントに支払うプログラム費用もあるので、居住先を提供してもらえるインターンシップというのは、とても魅力的に感じました。
正直『無給』であることがかなり気になりましたが、ラッキーなことにインターンシップに参加してから数か月後にホスト企業側に報酬の交渉ができ、一か月100ドルの報酬を支払ってもらえるようになりました。
アメリカでは「気持ちを察する」といった日本の奥ゆかしい文化がないため、自分から何でも行動しないと道は開けません。
この報酬交渉にしても、ダメもとでも自分から交渉したことがホスト企業の所長さんに評価されたようで、少額ですが一か月100ドルの報酬を約束してもらえました。
一か月100ドルでロサンゼルスで生活はできませんけどね。。。
私がインターンとして働いていた会社は日系会計事務所で、そこでの就労経験は後に現地税理士法人で勤務する上で大いに役立ちました。
アメリカで税務・会計経験のない私に、少しでも報酬を支払ってくれたことは本当に有難いことだなと思います。
インターンシップ・プログラムに係る費用
プログラムに参加するにあたり、やはり気になるのがその関連費用です。
今ならネットでインターン先を自分で探して応募することもできますが、当時はインターネットもそこまで整備されていませんでしたから(私の記憶では)、エージェントを介したプログラム参加となりました。
主な費用は以下になります。
エージェント費用(インターン先の選定、ビザ申請、現地サポート、その他調整費用など総額90万円くらい)→自分で全部できれば、この費用はかかりません!労力は大変ですが。。。
航空券は、別途自分で手配したような記憶があります。
渡米した当初は滞在費(住居費、水道光熱費、交通費)はかからず、後で後述しますが、引っ越ししてから主に以下の費用がかかるようになりました(金額の記憶は、かなりあやふや。。)。
住居費(水道光熱費込み)で月額約9万円
通信費で月額1000円~2000円ほど(渡米当初はプリペイドしか持てないため)
食費、日用品費で月額約1~2万くらい
車両費(友達の紹介で約30万円くらいのトヨタ中古車を購入)、ガソリン代1回約20ドル前後くらい
現地企業に正社員として就職するまで1年かかりましたので、その間の食生活はとても厳しいものでした。。。
慣れてきた頃に引っ越し&転職活動開始
インターンシップに慣れてきた頃に(たぶん渡米してから半年後ぐらい)ロサンゼルスの地理観や生活感が把握できたので、自分の置かれた環境を客観的に見れるようになりました。
そこで、新しい部屋への引っ越しと現地での就職活動を始めることにしました。
現地での勝手が分かる頃になってから、次のステップとなる就職活動や、自分に合った生活環境を見つけることが良いのではないかと思います。
とにかく生活環境を変えたかった
用意してもらった部屋は、暖房設備が朝・夜一時間くらいしかつけてもらえないセントラルヒーティングのみだったので、冬場はとても寒い思いをしました。
ロサンゼルスとはいえ、冬場は10度近くまで冷え込みます。
インターン当初(2月)は夜も朝も寒くて、おまけに毛布もなかったので、薄いシーツのような布団1枚に包まって震えながら寝ていました。
「タダで家に住まわせてもらって文句言っちゃあいかん」と思いましたが、これだと風邪ひくので、すぐにWall Mart(日本でいうところのニトリみたいなお店)に毛布を買いに行ったのを覚えています。
また、居住環境も、こう言っては何ですが、良くなかったです。
シャワーブースのタイルはカビだらけで掃除されておらず汚い状態、小さなキッチンの前にトイレがある等、衛生面でも良くないなと思いました。
この部屋には3~4か月間ほど住まわせてもらい、後に友達の紹介で部屋を借りて、すぐに引っ越ししました。
履歴書とカバーレターをたくさん作って就職活動
その当時は今のようにメールではなく、郵送での応募が主な就活方法でしたので、履歴書とカバーレターをたくさん用意して、片っ端から現地企業の人事部へ郵送しました。
手当たり次第に郵送する一方で、少し変わった方法を取ってみようと思いました。
『もし応募したい企業に東京事務所があれば、そこの人事部にロサンゼルス事務所で空きがないか見てもらったら、話は早く進むんじゃない?』
なんて思って履歴書とカバーレターをWordで作成し、某企業の東京事務所に当てに電子メールで連絡してみました。
これが功を奏して、ある日、某企業ロサンゼルス事務所のある部門から連絡がきました。(正直連絡がきたときは、メールを送ったことすら忘れていました。。。)
その後は、面接、採用、ビザ発行ととんとん拍子に話が進み、渡米してから1年後に転職することができました。
転職して良かったと感じたこと
現地で就活をして良かったことは、アメリカという国の企業文化を肌で感じる事ができたことだと思います。
就職した企業では、アメリカ人だけでなく外国人も多く採用されていたので、いろんな国の人たちと一緒に仕事をすることができました。
またアメリカの企業は成果主義なので、パフォーマンスを上げないと即クビになってしまうハードな世界。
パフォーマンスを認めてもらった時の喜びはとてつもなく大きなもので、自分の自信にもつながりました。
インターン企業は日系会計事務所だったこともあり、従業員は2名のアメリカ人を除いて全員が日本人でした。
仕事している場所はロサンゼルスなのに、日中は日本語を使って仕事ができたので、まだ自分は日本にいるんじゃないかって思うことが多々ありました。
現地企業に就職して仕事はかなりハードだったので、繁忙期には睡眠時間約4時間くらいの生活でしたが、やりがいのある内容の濃い数年間を過ごすことができました。
今の自分があるのはその当時の経験のお陰なので、いろんな人に出会って、いろんな仕事に携わることができて、インターンシップから始まったアメリカでの業務経験は大きな財産になっています。
まとめ
私の場合は無給だったインターンが有給となりましたが、収入面では最初の一年はとても苦労しました。
無給の海外インターンシップに参加する場合は、収入面で苦労することは確実です。
できれば有給のインターンシップがあるホスト企業を探すか、インターンシップ期間に無収入でも生活できる貯蓄を日本にいる間に準備することをお勧めします。
今は留学エージェントやインターンシップ・プログラムを斡旋するエージェントも多いので、数社からの見積りを取り、プログラム条件を比較検討して、一番条件の良いプログラムを探すことが成功への近道だと思います。
インターンシップ・プログラムの参加だけでなく、海外での就労経験を得るにはワーキングホリデービザを利用することも一つです。
友達がワーキングホリデービザを取得してニュージーランドに行った話をよく聞いていましたので、ワーキングホリデーも良いなあなんて思った記憶があります。
若い時にいろいろ経験できるって、本当に良いですね!
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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