システムアーキテクト試験(2):小論文を攻略
システムアーキテクト試験の2回目の記事です。今回は、午後2試験の攻略法について。なお、前回の記事(受験動機〜午後1対策)はこちらから読めます。
5.合格への戦略(後編)
5.1 何よりも握力が大事!
さて、午後2問題ですが、3問から1問を選び、その中の設問に小論文にて解答する形式です。設問は3問あり、合計で2200 〜 3600字を制限時間の2時間以内に書き切る必要があります。受験後の当方の感触としては、午後2の厳しさは、小論文の内容や文字数・時間制限ではありませんでした。
デジタル化が進む令和時代に、手書き!って点が辛かった。
書きたいことはあっても、手が痛くて書き続けられないんですよ😂
5.2 模範論文から合格基準を読み取る
握力の話はさておき、先ずは、合格教本 の解答例をお手本模範論文として書き写す作業を行いました。合格基準を超えるコツを自分なりに掴むためです。
次の2点が、この書き写し作業を通じて得たコツ。
自分の「経験」を書く(or 一般論に終始しない)
設問で 問われていること を解答する(話を噛み合わせる)
① 自分の「経験」を書く
書ける「経験」が無い人はどうすれば良いのか?と突っ込まれそうなコツですが、実のところ、システム開発の経験である必要性は問われていません。
設問は、次のとおりです。
上は、2022年度の設問からの引用ですが、設問の言い回しは毎年同じ。
問われているのは「経験と考え」であって、システム開発の実務経験を語れ!という設問ではないのです。
例えば、貴方(受験者)の勤務先が小売店なら販売管理システム、運送業なら車両管理システム。その開発を主導した経験はなくても、利用経験ならあるはず。経験に基づいて、システムアーキテクトとしての考えを論文で語れっていう出題だったのでした。
なお、合格教本 には以下のような受験テクニックが紹介されています。
教えに従い、私も「私はシステムアーキテクトである!」と論文内で言い切ることにしたのでした😅
② 設問で問われていることに解答する
問われた内容に解答する!は極当たり前の話に思えますが、2時間で3000字近くを記述してると、つい夢中になってしまって忘れるんです。なので、自分は、問題文には必ず、忘れそうな箇所に下線を入れてました。
余談ですが、書くべき事項を失念するのは他の受験者も同様のようです。採点講評からその傾向が読み取れます。
5.3 午後2 戦略のまとめ
①で記載したように、「経験と考え」を語る必要がありますが、経験しているからといってシステムの紹介文や苦労話に終始しては、システムアーキテクト試験 午後2問題の論文としては不十分なのでした。
6.論述ネタを探せ!
戦略が見えたら、次はネタ探しです。
小売店向けは身近ではあるが・・・
合格教本 では、スーパーマーケット向けの業務システムを解答例に挙げていました。令和時代にスーパーを利用しない人はほぼ皆無でしょうから、POSや在庫管理システムは、誰にとっても身近なシステムといえます。
教科書の題材にはよくても、自分自身の経験として語るとなると…当方にはハードルが高い印象がありました。ここは、製造業の設計やR&D業務からの「あるある」から題材を選びます。
以下に具体的なネタを一つ紹介いたします。
例: ワークフローシステムの導入
例えば、書類の審査承認をデジタルで行うワークフローシステムの導入。
在宅勤務対応からのペーパレス化が求められた(目的と背景)が、関係者をヒヤリングすると一部の図書では図書内容の厳格な確認記録の提出も求める顧客要望もあることがわかった。そのため、手書きのチェックマーク✅入りの図書の保管管理も必要で、ペーパーレス化を推進しても、紙媒体の印刷需要は一定規模で残ることがわかった(例外事項)。
ここで、ワークフロー導入後の紙媒体による図書管理を考慮すると、審査承認履歴がシステム側に残されるため、印刷した紙媒体では審査承認履歴を確認できない。完全にペーパレス化できるなら良いが、前述の通り、一定規模では残るため、今のままでは業務が混乱する可能性がある(課題)。
そのため、私は、システムアーキテクトとしてワークフローシステム導入後も、電子の承認スタンプをシステム側で図書に追加する機能を加えることにした(検討内容)。
論文ネタまとめ
勿論、上のワークフローシステム単独だけでは論文ネタとして不十分です。字数が圧倒的に不足します。同様のネタを3〜5個は準備。当日の課題文や設問に合わせて再構成してやります。
自分が用意したネタと課題テーマの相性次第な所はありますが、ここまでの対策を行えば、2時間以内に3000字程度の論文は書き出せるようになります(但し、握力の問題を除く)。
7.あらゆる課題テーマに対応する
7.1 野球とは違うが…
これまで合格に向けた戦略を立案。戦略に沿って手持ちのネタも準備しました。野球で言えば、バッティングセンターなら打てる状態。しかし、それは自分の得意な球(相性の良い課題テーマ)に対応できるというだけです。試合本番(試験当日)では、どのような球(課題テーマ)が飛んでくる(出題)のかわかりません。
7.2 副読本を準備する
野球なら試合。システム開発者ならプロジェクトで実践するのが一番ですが、自分は、副読本で経験値を補う道を探りました。前記事の「4.4 副読本で勘所を掴む」とも被りますが、要は、システムアーキテクト(上流工程のSE)が経験しそうな内容を語った書物を探します。
自分が読んだものを何点か紹介します。
①:新人エンジニアのためのインフラ入門
実務者視点で語る応用情報レベルの内容といった所でしょうか。新人向けとあり気軽に読めます。例えば、顧客や社内の利用者要望を踏まえて、サーバー類をどんな構成にするのか?オンプレミスかクラウドか?その時、何を心配すれば良いか?的な話が(少しだけ)書きやすくなります。
②:システム設計の先導者ITアーキテクトの教科書
実際のプロジェクトの流れに従って、ITアーキテクトはどのような視点で働いてるか?が記述されてます。教科書的というか、現場で働く人の息遣いまでもが聞こえるような書き方ではない点が少々残念ですが、プロジェクト全体を俯瞰する視点のようなものができた感触があります。
③:ソフトウェアテストの教科書
前の2冊では、テストの出題がされても対応できそうにもなく、探した本です。細かくは読みませんでしたが、テストを論述する場合、自分の持ちネタに対して、どのようなテスト技法をどのような理由で盛り込んだのか?を書けるように準備するのに役立ちました。
④:SPRING FRAME WORK超入門
システムアーキテクトは、開発のフレームワークを選定したりもします。前述のテストと同様に細かくは読みませんが、フレームワークが出題されても良いように、持ちネタと絡めて語れる程度には学習しておきます。
⑤:システム開発・刷新のための データモデル大全
データベーススペシャリスト試験がありますから、システムアーキテクト試験では、データベース設計は出題の対象外です。しかし、業務システムに欠かせないのがデータベースの設計。
システム開発者の視点を学ぶために、読んだのでした。
なかなか良いことが書いてあります。
というより、システムアーキテクト試験の前にデータベーススペシャリスト試験を受験すべきでしたネ😅💦
まとめ
以上、2回に分けて、システムアーキテクト試験の話を記載しました。
当方は、受験テクニックに頼りすぎず(全く頼らない訳ではないが)、純粋にシステムアーキテクトとしてのスキルを向上させての合格を目指してます。その場合の最適な戦略は、以下になるのかな?と思ったのでした。
学習時間は最低250時間(半年)位必要
午前1は免除を得る、免除がなくても応用情報技術者の午前と同様
午前2は、応用情報技術者の参考書や過去問、解説で概ね対応可能
午後1は、副読本でシステム設計の勘所を掴んでから過去問を解く
午後2は、模範論文分析後、論文ネタを探し、副読本で論述の幅を広げる
当記事を執筆してる5/4時点では合否発表がまだなんですが、忘れないうちに記事化したのでした。