書く習慣Day2: ダブルワークで見えてきたこと
私は今、全く異なる2つの仕事を掛け持ちしている。
本業である1つ目の仕事は、接客業だ。
世界中の老若男女、ありとあらゆるお客様を相手にしている。
新卒で入社して約5年が経つが、新人期間を終えいよいよこれからキャリアを積んでいこうというところで、コロナに阻まれ突然仕事が激減した。
そこで新しく始めた副業の勤務先が、地方のローカルテレビ局である。
地域の魅力をYouTubeや番組で発信するのが主な業務だ。本業を続けながら縁もゆかりもない土地に引っ越し、食べ物や方言、文化をゼロから学んでいった。
温かく応援してくださる地元の方も増えていった。第二の故郷と呼べる場所ができたことがとても嬉しかった。
そんなダブルワーク&二拠点生活をスタートしてまもなく1年。
1つの会社にいたら見えなかったことが見えてきた。
本業では、個人の売上額や営業利益など数字として目に見える成果が存在しない。自分は社会人として一体何ができるようになったのか実感しづらく、もどかしい思いも抱えていた。
ところがテレビ局で働き始めると、突然カメラの前に立たされても動じずに話ができること、姿勢や声の通りの良さに驚かれた。「接客のプロ」という視点で見られるから取引先にもウケが良かった。
料理や飲み物を効果的に勧めるため訓練してきた経験が役に立ち、物事の良い面を探してアピールするのは得意になっていた。だから地域の魅力発信も楽しんで行うことができた。
長年の夢だった「多くの人に伝える」という仕事を素人ながら体験させてもらった時間は、間違いなく財産になっている。
一方で、地方企業というのは常に人手不足である。当然ながら、突然やってきたバイト社員がやりたいことを全てやれるわけでもない。
さらに、コンセプトもターゲットもゴールも一切決めずにその場の思いつきで事業を始めては失敗し、部下を振り回す上司がいた。私はうんざりしてしまい、一時はやる気を失った。
しかし、仕事の進め方は人それぞれである。
クリエイティブ色が強い個性的なマスコミ業界では、カリスマ社員の鶴の一声でお金が大きく動く、なんて事例もあるのかもしれない。
または振り回しているのは上司当人の意思ではなく、さらにその上からの指示によって板挟みにされているのかもしれない。
では、その上司のやり方になぜ私が憤慨したのか。
本業では一緒に働くチーム内で必ず具体的な目標を定め、行動の根拠を徹底的に追求し、何より目の前のお客様に寄り添い考え抜く、という文化がある。
起こりうる様々な状況を事前に洗い出し、多種多様なお客様の要望に柔軟に応えられるようシミュレーションするのだ。そして試行錯誤しながらPDCAサイクルを回していく。
それが時間をかけて体に染み付いていき、物事を始める前にまず環境を整えるということを、私は無意識にできるようになっていたらしい。
社会人になって初めて習得した唯一知っている仕事のやり方を実践できなかったから、こんなにもイライラしたのだ、と気づいた。
やがて、どうしたらこの組織とこの上司の下でやりたい仕事ができるのか、どうしたら自分も貢献することができるのか、従来のやり方を変え、上司の性格や考え方もよく観察しながらさまざまな方法を検討するようになった。
視点を変えると、上司は悪い人ではないことが分かった。上からの無謀な要求になんとか応えながら、部下のことはトラブルに巻き込まないよう矢面に立ってくれる人でもあった。
ひとつの環境にいるだけでは気づけないことがある。
自分が知らない世界はまだまだたくさんあるし、想像もつかない価値観を持つ人もいるのだろう。
しかし、きっとそれぞれに思いがあるのだ。
頭ごなしに否定していては、自分も成長できない。
これからも、できないことよりできること、できるようになったことに目を向けながら、学びを続けていきたい。
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