役割と敗北
麻雀を友人の家に毎週のようにやり始めてからしばらくの時間がたっていた
最初の頃はポンと鳴きさらして聴牌したらリーチまでかけていた俺たちはもういない
役がわからなくて対局中に本を読みだすこともなくなっていた・・
点数計算はまだまだしていなかった・・・(全部30符計算だった)
牌山を積むのはめちゃくちゃ早くわなかったがそれなりに形にはなっていたと思う
でも俺は皆に比べて遅かった
やり始めた当初は皆いろんなアガりや役が見たくて白、發、鳴いているやつに中を切って役満を見ようということもやっていた。
ロン!!言われて倒されても大体、小三元だったW
ツモ四暗刻も、みんな「うーん・・ロ、ロン・・」みたいな感じでアガり
おーい、もう出すなよ・・↘見たいな感じで笑いあっていた
しかし、人間ある程度上達してくると次のステージにのぼりたくなるものである・・・
しばし真剣勝負になることがあった・・
俺も勝ちたいと牌を強く握った・・・
話はそれるが俺はその時まで勝利することや勝ち取ること称賛されることが一切ない人生を送ってきた
運動は身体がきゃしゃだったので得意とは言えなかった。駆けっこはいつもビリだ、勉強に関しては得意分野などもあったが小学生の時、あるテストで高得点を取ったとき先生が「お前がこんな点数とれるわけがないだろ、誰のカンニングしたんだ。」とクラスでさらし者にされた
カンニングなどしていないので抵抗もしたが大人の口に小学生ごときが勝てるわけもなくあまり言いすぎるとあとでリンチにあって殺され山に捨てられる恐怖から言い返すことはやめていた・・以来、勉強すること自体が嫌になっていった(今の時代では考えられないが当時の先生は最恐でおそらく何をしてももみ消すことができ無敵だった。いやそえれくらい当たり前だったかもしれない)
このことに関しては親にも話したが「先生を悪く言うのはやめなさい!」で終わった
ゲームも厳しい家庭の事情でうまくなることもなかった格ゲーも弱いアクションゲームもすぐ死んでしまう
たまに友達でやる桃鉄とかはいじめる対象として俺は呼ばれていた・・・運良く悪魔のようなアイテムを手に入れても使うことなど許されなかったのである。そういったゲームはいつもビリで苦虫をかみつぶした表情をいつもしていたのではないかと今は思う
今で表現するなら「ぐぬぬ・・・」みたいな感じだw
かわいいねって言われて年上の先輩の女子にモテていた時嫉妬した奴らに執拗異常に陰湿なことを言われ先輩が俺のことを嫌いになるようなこともさせられてきた。当然その女の先輩やそのほかの女子にまで嫌われた
そんななか麻雀だけは俺に勝利することを許してくれた勇逸のゲームであった
話を戻そう
俺はこのゲームでは人生においてはじめて勝つことをゆるされたのである
だからこそ心は勝利することに飢えていた
しかし俺は今までの人生で周りの人間に対しての負け役というものを担ってきた無意識に負けなきゃいけないモードに入っていったのである
一緒に麻雀打ってるやつも無意識にそれを理解してリーチをかけたら
「おい!頼むよ!!一発高目でよろしく!!」
と口々に言ってきた。当時の俺はその言葉に操られるように全く振り込むことのない手牌から面子を壊し抜き打って振り込んでいた・・・
当然、皆、気持ち良くロン!!といった。
それを振り込むたびに何か大切なものを失っていく気がして気持ちはどんよりしていた・・
プライド、自信、尊厳・・・失いかけて麻雀も少し嫌いになってきていた・・・
当時俺は多くの敗北を心に刻んだ
でも麻雀には呼ばれていた。皆が気持ちよくなるための役割を当時の俺はやらされていたのである
始めたばかりの成績表には△500と俺は記されていた・・・・
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