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【エッセイ】キーを打つ音と、焚き火の音。
ここ最近、ずっとお家で仕事や作業をする時のBGMに困っている。
音無しでも集中できる時もあるのだけど、ほとんど大半は何かの音がないと気が散ってしまう事の方が多い。
だから“この音がなっている時は集中する”という切り替えのスイッチになってくれるようなものを探し続けている。
好きなアーティストの曲、、、だめ。
浮かんだ言葉が、大好きなその歌詞に飲み込まれていってしまう。
ラジオやYouTubeの誰かの雑談、、、だめ。
おもしろくて、つい聞き入っちゃう。
大好きでもう何十回観たかわからない映画、、、だめ。
すっかり覚えてしまっているストーリーやセリフをもう一度なぞりたくなってしまう。
言葉が理解できない海外のラジオ、映画のサウンドトラック、カフェの雑踏のが入ったBGM、
色々試したけれどぴったりくるものは見つからない。
模索中の今日は焚き火の動画をBGMにしてみることに。
頭に浮かんだ言葉を逃すまいとキーボードでその言葉を打ち込んでいく。
無心で言葉を探し、ふぅ。と息をついて画面に映る炎をぼんやり見る。
しばらく見て、すぅ。と息を吸い込んでもう一度言葉探しに戻る。
ぴったりの言葉はなかなか見つからず、探しまわる。
ありがたいことに集中は途切れない。
とはいえキーを打つ音は、まだまだぎこちなく不規則。
何かの拍子に、焚き火の音がキーを打つ音とシンクロしているような一瞬を感じる。
そういえばなんとなく似ている音。
ある一瞬強くて短い乾いた音が不規則に、小刻みに、その場に響く。
無心で作業できたのは、この不思議なシンクロのおかげかもしれない。
それからここ数日は、焚き火のBGMとともに作業する日が続いている。
不規則な火の粉が弾ける音は、まだまだ未熟なわたしのキーを打つ音に寄り添ってくれている。