0330023確定前前戯

(ガタンゴトン)
「次は品川  品川」

「ねぇーこれケータイだ」
爪先にピンクや青のネイルを施した指で、目の前に立ちはだかるカーキ色の微妙な凹凸をなぞりながら、茶髪の女が言った。
「そうだよ」
ある有名ミュージカル映画のタイトルから1文字抜いた、あるお笑いコンビのデカい方に似ている男が言った。

しばらくすると、女が、ねえねえと、水滴が跳ねた時のように男の手に触れた。なんだよと男が膝で反応を返す。手に触れて、膝でつつく、触れて、つつく。
そのやり取りに飽きたのか女はもう一方の膨らみに興味を示した。
「あ…イヤホン、イヤホン入ってる」
「ここは…ペンでしょ!」

「ペンだよ」
目がじっとりしている男が言った。
女は、女から見て左側にある膨らみの正体を言い当てて、なんだか嬉しそうにしている。

「んふふ」
女は、ペンが入っている場所から外側にゆっくりとに手を這わせ、かと思いきや次は内側にゆっくりと手を滑らせていく。
男は何も言わない。
「ふふ」
そう言いながら、女は更に内側に手を滑らせていく。
「次は大森 大森」

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