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ドラクエIIIの切ない思い出

ドラゴンクエスト3がファミコンで発売されたのは僕が中学一年生なりたての頃だったと思う。
4月が誕生日だった事もあり母がサプライズで買ってくれた。
鳥山明先生の絵、すぎやまこういちさんの音楽、堀井雄二さんのストーリーどれも最高だった。

ブラスバンド部だった僕にとっては、ゲーム内の音楽はどれをとっても素晴らしくて、冒険をよりワクワクさせてくれるものだった。
姉がそのサントラを誕生日に買ってくれた。
ドラクエ3に出てくる楽曲が全部入っていた。
そして、ゲーム内音楽なので歌詞はないけれど歌詞カードはあって、中に何が書かれていたかというとそれぞれの曲の楽譜だった。

ブラスバンド部だったので僕はこっそり歌詞カードを持っていき、サックスで練習してみたりした。
そこからの記憶は曖昧なのだけれど、結論から言うと歌詞カードをなくした。
どこでかは分からない。でも家に持って帰ってからの様な気がしている。
しかし実家の大掃除をする度に探すけど結局見つからなかった。

そしてその時期、ブラスバンド部の先輩たちの間でドラクエ3の楽譜のコピーが出回っていた。
今思い出しても、その頃僕はそれを見てもなんとも思ってなかった気がするので、なくす前から出回っていたのかもしれない。

しかし、こうして後になって考えた時に
もしかしたら、誰かが僕の歌詞カードを拾って
コピーしてみんなに親切心から配ったのではないか
誰のか知らないけど貰っちゃおう、ラッキー!
とばかりに自分のものにしたのではないだろうか
などという考えが浮かんだ。

一度そう思うと、そうとしか考えられなくなってしまうけど、これをこうして書こうと思って冷静に思い返した時に
歌詞カードをコピーした人(それが誰だかは知らない)が自分でサントラCDを買った可能性もあるんだなと思った。
いや、普通に考えればそうだろう。

僕としても、誰かに盗られたと思うよりかは、そうであって欲しいと思う。
そしてあわよくば、僕の荷物のどこかから、いつか出てきて欲しい。

とはいえ、拾った人がもしいるなら
コピーした人か、違う人か分からないけど
今からでも返して欲しい。

どちらにしろ、CD自体を無くしてないのは不幸中の幸いだ。
本来CDは聴くものなのだから、歌詞カードがなくても聴くという本来の機能が正常に作動する状態なのは、まだ良かった。

いつか中古で同じものを買って歌詞カードだけ抜いて持ってるCDに入れようかなどと考えたりもしたけど、多分もう入手も難しいかな。

今自分が、かなり慎重な人間なのは
この苦い思い出があるからかもしれない。

いつか出てきますように。

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