古くてあたらしい仕事(島田潤一郎)を読んで感じたこと。
島田潤一郎『古くてあたらしい仕事』
先日、私のピアノの先生のブログで紹介されてた本です。
先生は1年に100冊の本を読むことを遂行していらっしゃって、更にご自身のブログで一冊一冊丁寧にレビューされてます。
>>酒場ピアニストがんちゃんのブログ - 読書とお酒と音楽と-
https://ameblo.jp/music-instructor-ganchan/entry-12580431392.html
で、この前紹介されてた本が、島田潤一郎さんという方の、『古くてあたらしい仕事』でした。
これ、ブログで読んでソッコー読みたいって思った。
タイトル見た時は、日本の伝統文化・工芸的な、そういうことを生業としている職人さんとかかな?と、新しい時代でこういうことをしている的なお話かな?と、そう思っていたのですが、全然違くて、出版社を起こしてお仕事されてるという方の本でした。
最初はへえーって感じだったんです。
頑張っている方がいるんだ、とか、そのくらいな感じ。
でも、コンセプトがとてつもなく素敵だと思って、ブログの冒頭読んだだけで、すぐに本が欲しいと思いました。
家の近所の本屋さんにはなかったので、職場の最寄駅の大きい本屋さんへ行って、無事に見つけることができました。
とりあえず、ひとことで言うと、心が豊かになる本、かな、私には。
その中でも、一番惹かれたのが、こちらの出版社のコンセプト。
「何度も、読み返される本を。」
ぐっは…素敵過ぎる…そんな思いで丁寧に作られた本、絶対いい本に決まってる…。
私はここ数年、「丁寧」という言葉が好きです。
何ていうか、やっぱり丁寧っていいなって思います。
でも、そう感じるようになれたのも、大人になって、浮世絵とか、和の文化に前より触れるようになったからかも。
それ言ったら、歴史が好きになったからってのもあるし、歴史を好きになったきっかけは、神社仏閣のせいもあるし、何より武将たちが素敵だからだし、そうやって好きなものって結局、何か色々繋がってるなと考えたら、もうこれ運命としか思えない。
(何の話だ…笑)
いや、日本人てほんとに丁寧ですよね。
丁寧、大事。
丁寧だと心がこもってるんだろうなと思うし、丁寧だと単純に嬉しいと思う。
(他の国にだって勿論、丁寧なモノとかヒトとか、あると思うけど、私は日本人びいきなのですみません笑)
話が逸れましたが。
この、さ、電子化電子化な時代に、紙の本。
なんか粋って言うの?いなせって言うのかな?
ご本人はそんなつもり全くないのでしょうけども、カッコいいなと思います。
個人的に紙の本好き。やっぱ本は紙だろうと思う。
とはいえ、勿論、WEBで読むのも便利なので、電子版を全く使わないワケではないのですが笑
これはこれで、ファーストフードとかレンチン感覚で、今すぐ欲しい時、とりあえずお腹を満たしたい時はいい。
でもやっぱり、ほんとに好きなものは紙で買います。
モノで欲しい、好きだから。
あ、また話が逸れました笑
今回はそういう話ではなくて、一応、仕事の話を書くつもりだったんでした笑
仕事についてもまた、色々と思うことがあり過ぎてアレなんですが、思い立ったことを書いていきます。
◆「だれかの力になりたい。だれかの支えになりたい。」
これは本書の中の一文です。
私は今、某会社で派遣事務として働いています。
私の仕事の殆どは生活のためと言って過言ではありません。
かつて私は、就職するにあたって、「やりたい仕事」がない学生でした。
実家は父も母も自営業。親戚たちも皆んな自営業。
田舎だから余計なのかもしれないけど、そんな環境に育ったせいか、そもそも会社で働くという概念自体が、薄い。かと言って、なりたい職業もなかった。
幼稚園とか、そのくらいの頃は漠然と、美容院である実家を継ぐものなんだと思っていたので、「パーマ屋さんになりたい」なんて言ってたこともあったけど、小さい頃はそれが正当な答えだと思っていたのです。
でも、私はその頃から既に、絵を描いたりピアノを弾くことが好きな子供でした。そのうち興味は完全に漫画と音楽に移り、漫画家になりたいとか、音楽の仕事をしたいとか思うようになるのですが、何故かその道も外れて全然関係ない専門学校へ行きます。
そして、ついに就職しなければならない時期を迎えますが、やりたい仕事がない。
求人見ても、働いてみたい会社もない。
自分で稼いだお金が自由に遣えるということは、子供にとっては憧れでもあったので、働きたくないとかそういうことではないのだけど。
だから、働いてお金を得ること自体は、必要なことだと思っていたけど、それ以上の価値が見出せない。だから、何をしていいのか分からなかったのだと思います。自分がどういう仕事をしたら、幸せなのか。どう働いたら、幸せなのか。
(かと言って別に普段、不幸と思ったことはありませんが笑)
美容師はこの時点で完全に消えてます。
子供の頃、店のお手伝いをしたことはあります。でもいつの間にか気付きました。
「ヒトの髪いじるのは好きじゃない」
やってもらうのは好きなんですけどね笑
自分がやるのは、力加減とか?
何か、髪引っ掛かったら申し訳ないなとか?
そういうの考えてしまってダメだなあと。そう思ったら、自然に美容師は選択肢から消えてました。
そんな風に迷いながら大人になりましたが、今もきっと、基本的なところはあまり変わってないように思います。
ただ、誰かに「ありがとう」って言ってもらえるのは、やっぱり嬉しいし、また頑張ろうって思う。たったそれだけのこと気付くのにかなりの時間を要しましたが、まだ、たったそれだけのことすらちゃんとできてない。
どちらかと言うと、「生活のため」に寄ってますからね笑
仕事としては、アパレル本社で、事務やったり、販売もやりました。生地を作ってる会社や、WEB制作会社にもいたことがあります。こう並べてみると、その後は一応、興味のある業界に籍を置いてはいますが、それでもまだ考えます。
私は何がしたいのかな?と。
今のままで幸せじゃないなんて思わないし、基本的には幸せだと思ってます。でも、生活のために寄った仕事ではなくて、もっと死ぬほど頑張って頑張った!と、そう思うことが欲しいなと思います。
誰のためなのか、もしかしたら、自分のためかもしれないけど笑
だけど、この本を読んで、誰かのためって、いいなあと思いました。
大きな会社で世界を飛び回ったり、大きな仕事したり…勿論、それはそれでカッコいいと思うし、スゴいことだと思います。
でも、どうやら私は違うようです。
そちら側の人間ではない。
(いや、なろうと思ってもなれないけど笑)
誰かのために、小さなことでもいいから、何かしてあげられるほうが幸せを感じると思う。
顔が見える誰かのために。
だって、お金もらえればいいワケじゃないんだもの。いや、ないのも困るんだけども笑
そういえば最近、たまたま天海祐希の「離婚弁護士」見てました。天海祐希扮する、間宮貴子という主人公も、超一流の大手弁護士事務所から独立し、渉外弁護士専門だったのに、離婚とか個人のトラブルを扱うようになります。
最初はイヤイヤやってたはずなのに、いつの間にか「依頼人の利益が第一」と、依頼人一人一人のために、どんな状況だろうと諦めない、一生懸命な姿が描かれていました。
最後は依頼人の一人一人が、「先生、ありがとう」と言って去って行く。
ついでに言うと「歌舞伎町弁護人凛花」も愛読してまして、こちらも超一流弁護士事務所からの町の弁護士さんになる話。
やっぱり最初はイヤイヤだったのに、いつの間にか熱くなっちゃってるっていう、そんな弁護士さんのお話です。面白い。
たまたま、弁護士さんの話が続いてしまいましたが、とにかく、こういう風に仕事ができたら幸せだろうなと思う。
そして今、何故か同じメッセージを受け取ってしまう、そういう本やドラマに出会っちゃってるのは、きっと意味があるんだろうなと思ってます。
◆やりたい仕事がない
そういえばつい先日、就活を控えた大学生の娘さんがいる方とお話をして、娘さんの就職のことで頭を抱えているということでした。
娘曰く、やりたい仕事がないのだそうで笑
いや、笑いごとではないですけど、よく分かるなあって思って。多分、世の中にはそういうコ、もっといるんじゃないかなって思う。
何ならそういうコのために、話を聞くくらいしてあげたいけれど、分かる~!って、分かり合っても仕方ないのですよね。
でも、そういうコはきっと、働くことが生活するための術にしかなってない気がする。こういう仕事がしたいと思うような、そんな出会いがまだないんじゃないかなと思うのです。いや、自分がそうだったので。
どんな仕事がどういう風に面白いのか、そういうの全然分からない。
そりゃ、生活をしなければならないので働く、そのくらいの行為にしか思っていないので、そもそも興味がないんですもん。知らなくて当然だと思います。だから、基本的に受け身だし。
それも仕方ないとは思うのですが、大人は、もっと若者たちがこういう仕事したい、と思うような、そういうことを伝えたほうがいいのかな、と思います。
すごく長くなってしまいましたが。
本の感想とかレビューというより、ただの自分の仕事に対する気持ちみたいになりました笑
でも、とても素敵な本だったので読んで良かったです。
是非、たくさんの方に読んでもらいたいです。
https://www.shinchosha.co.jp/book/352961/
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。