エンジニアが起業して3年が経ったことでわかったこと、辛かったこと、そして Findy のこれから
最近記事を書いてなかったのですが、久々に書いてみようと思います。直近では実はエンジニアリングよりも今は事業をうまく回すための事業部長職をはじめ、営業をやったり、エンジニアマネージャー業と、マルチタスクに仕事をこなしていたりします。
昨日資金調達をしたのもあり、また、そろそろ3年(正確には2年11ヶ月目)なので、3年の振り返りをしてみようと思います。(あ、あと、資金調達して採用加速させていくので、興味あればツイッターでDMいただくか、↓からご応募ください!)
今やっていること
直近でやっている仕事の内容としては、5割営業、3割事業部長、2割エンジニアマネージャーといった比率になっています。
1年3ヶ月前ほどに、 エンジニアリング 100% の CTO から、徐々に事業を回すための仕事もやるようになりました。ユーザーの方とメールでやり取りをするところから始まり、最近では1日の半分ほどを自社のサービスを利用してもらえるクライアント開拓に時間を使っています。
事業を作るには全部自分で一通りできる状態を作らなければならないと思っているので、 エンジニアがあまりやらないような営業といったところを中心に最近は力を入れています。企業の採用担当者の方とメールでのやりとりはもちろん、電話もするし実際に提案なども行い、顧客管理もしっかりやっています。
また事業部長として、意思決定を常に行っています。例えば売上がきちんと上がるか、売上が上がっているのならなぜ上がっているかを分析したり、逆に売り上げが上がっていないのであればなぜ上がらないのかということを様々な数値指標から紐解いて分析しています。
その上でどういった対策を行うとその数値が上がり全体の売上を上げてテコ入れが完了するのかというところまで考えなくてはいけません。メンバーにもアイディアをもらい、選択肢を増やした上で状況に合わせた最適な選択肢を決定していきます。
一緒に事業を作って入っているメンバーのマネジメントもやりつつ、2割はエンジニアマネージャー業を行っています。細かく言えば、プロダクト開発する上でのプロダクトオーナー業もやっています。
今僕のチームでは、フリーランスの方や、副業として関わってもらえるエンジニア四人程とうまくやり取りをして、自分がゴリゴリ開発しなくても優秀なメンバーで開発が回る体制を作っています。
特に僕が優秀なエンジニアの方々をマネージメントする上で気をつけていることとしては、 基本的にリモートワークで開発してもらい、週次でミーティングを対面で行うことで、リモートワークで発生しがちなコミュニケーションロスをなるべく防ぐということを心がけています。その上でパフォーマンスを出してもらいながら、僕も進捗状況を都度確認できるようにすべく、timesチャンネルの運用を行っています。 基本的にチャンネルに稼働開始や進捗や少しでも課題にこもっていることなどを書いてもらい、不満がたまらない運用を心掛けています。これにより優秀な人に最大限のパフォーマンスを出してもらいながら、対面でなくても、十分開発が進むという体制をつくり2年ほど運用してきています。
そんな感じで仕事を回していますが、いい機会なので分かったことや辛かったことをまとめてみます。
わかったこと
毎週ロールが変わる
自分一人で Findy Freelance を立ち上げたときは基本的に何もかも自分で考え自分で動かさないと何も進まないという状況だったりしました。その中で、最初は全然見えていなかった役割を変えていくということが1年経って非常に重要なことだとわかりました。
具体的には、今週注力しなきゃいけないのは営業、ただ営業がうまく進むと、他の仕事がおろそかになっていたりします。その仕事を進めるために営業を一旦ストップし、企画の仕事をしたりします。これをずっと繰り返していくと毎週のようにやるべきことが変わり、もっと細かく言えば時間単位でやるべきタスクが変わっていくという状況が生まれてきます。
以前大きい企業にいた時には感じられなかったロールを変えて行くと言う状況が生まれてきます。
仕事は自分がやればやるほど回らない
特にロールを変えて仕事をやっていると、ルーチン作業が多発してきます。エンジニアをやっているとすぐに自動化したくなることもありますが、件数がそこそこあるが、自動化するまででもないと言ったようなタスクがたくさん出てきます。
そういった時に自分が全て手を動かしてしまうと、常にいろんなロールをやらなければならないのに自分のタスクだけで仕事量が莫大になってきます。そこで自分がやらないという選択肢を取るために、優秀なメンバーやサポートしてくれるアシスタントの方に業務を依頼する必要が出てきます。
これをすることで本当に自分がやるべきタスクに集中しながら事業を滞りなく回していくということができるようになります。いかに自分でいつまでもタスクを抱えず、 メンバーに移管していくかということが重要になってきます。
移管するためには、他者にルールをきちんと伝え、イレギュラーなルールが来ても誰でも判断できるようなアルゴリズムを考え続ける必要が出てきます。これも事業を作っていく上で重要なスキルの一つだとわかりました。
アルゴリズムを考えるのがとても重要
エンジニアをしていると先のことを俯瞰して考えられるかというスキルがとても重要です。しかしながら、営業やユーザーとのコミュニケーションって言った場においては、考え続けるということも重要ではありますが、いかに早く行動に移して小さな成果を作れるかという事の方が重要になってくるということがわかりました。
その中で、どちらにも共通するのが、いかに早く共通性を見つけ出し、まずは仕組み化を行い、誰もが再現性をもって実行できるようになるかというのが重要だと思っています。
仕組み化ができた後に、 そこから適切なロジックや最適化を踏まえたアルゴリズムを作っていくかがより重要です。Findy では、特に最適化を行うためのアルゴリズムを自社の事業を創るためだけではなく、ユーザーや企業の皆様に使っていただく際にも応用できるかなどを考え続けています。例えばスキル偏差値や求人票の採点サービスなど、今後もアルゴリズムで物事を解決できるようにアルゴリズムを考え続けていきたいと思っています。
辛かったこと
一人では売上が作れない
先ほど仕事は自分がやればやるほど回らないということを書きましたが、僕が最初に一人で事業を作っていた時、月の売上がゼロ円と言う月も全然ありました。
エンジニアをやっていた時はあまり売上について毎日考えるということはなかったように思いますが、事業を作って売上を達成するということを課された時には、毎日ゼロから動かない数字と格闘する日々が始まりました。
ゼロから動かすために、何をやればいいかもふんわりとは分かっているものの、何も変わらない状況から脱出するためにトライし続けなければならないという状況でした。
コードを書いて実行すれば、なんかしらフィードバックがあるのでわかりやすいのですが、事業を創る上では正解なのかどうかの結果もはっきり分からず、少し経って売り上げとして現れてくるかどうかの世界です。
一人で始めた時にとてもつらかったのがこのフィードバックの遅さという点です。
何もわからない、どこから手をつけていいかわからない
KPI がそもそもどうなっていて、どう自分が動けばその KPI も増えていくのかというのももちろん理解していたつもりではありましたが、自分が考えて動いても KPI はあまり変動せず、結果として中長期的には嬉しいけど短期的に数値として出てこないような施策ばかり実施していたことがありました。
ずっと数値を見続けているのにも関わらず変わらないのか。エンジニアとして何か課題が上がってきた場合は、すぐに解決策が思い浮かんでメリットデメリットがはっきりしてくるのにも関わらず、事業を創るということに関しては本当に手探りで分からないことだらけでした。手探りしてる場所が合ってるのかすらも分からない感覚がめちゃめちゃつらかったなと思います。
しかし、優秀な業務委託の方から毎週アドバイスをいただくことで、自分の思考が整理され、どういうスタンスでその仕事に打ち込むべきなのかと言ったところが見えてきて、メンバーが増えたタイミングで一気に事業が伸びてきました。
大事なのは、一人で作る上で困ったら、優秀な誰か相談できる相手に自分のもやもやをぶつけて解決していくことではないかなと今振り返って思います。
営業しても話せない
ロールチェンジして一番大変なのが、営業でした。
そもそもエンジニアリングを一人でやっていたので人と話す機会もほとんどなく、話しても伝えたい言葉が思い浮かばないというくらいに画面に集中する仕事がエンジニアでした。
そこからいきなり、企業のエンジニア採用に困っている方と話して、ニーズをヒアリングし、僕らが提供できるソリューションを丁寧に説明するといったことは非常に難しく、とても緊張して「営業あんまりやりたくないなぁ」と感じる機会が多かったです。
今でもそんなに得意なほうではないですが、半年以上営業をやり続けて、「結局はどれくらい場数を踏めたかどうか」というところで自分の結論が出ました。
まだまだ凄まじい成果を収められているわけではないですが、ある程度どんな企業の方であってもそれなりに相手の求めていることを解釈し、自社で提供できることを伝えたり、自分が今考えていることを自分の体験からサポートしていくような動きが徐々にできてきました。
やったこともないことにチャレンジするのはめちゃくちゃ大変なんですが、やり続けてきたことが自分の糧になっているなと感じます。特に自分にとっては良い修行になっています。
機械学習というジャンルの難しさ
実際に機械学習の知識を使ってあるデータにその手法を適用するというのは行うだけは非常に簡単です。逆にそれ以外のことが非常に難しく感じています。
例えば機械学習を使って何かを行ってみた結果、その結果が精度が高いものなのかどうなのかを判別するためのドメイン知識が必要だったりします。その領域についてよく知っているかどうかを判別するためにも僕らはサービスを使ってくれている方達への理解を惜しまず行っています。
その他にも地道なデータクレンジングは初期の段階において特に過酷でした。何万件もののデータを突っ込んでみたはいいが全然精度が出ない。一通りデータクレンジングしてみたと思っても実はこの項目もやっておくべきだったと振り出しに戻るケースも少なくはありませんでした。
ただ機械学習を使ってみたという文脈では何も良い成果は出ないので、根気強く前向きにデータに向き合っていく必要があるなと痛感した3年でした。
これから
事業部長というポジションについて1年を通してたくさん学んだことはあります。自分でうまくできなかったことが徐々にできるようになってくる、もちろん、全然未だにできないことがありどうしたらできるようになるのかと考えることもあります。
そういう辛いことは今後もたくさんあると思っています。
でも自分が今までやってこれたように、前向きに誠実に取り組めば成果はいつかは出るということをこの記事を読んでくれてる方にお伝えしたいです。もちろんどう改善すべきかという振り返りがあった上でですが。
その前向きさと誠実さをベースに、最適化を重ねれば、いろんな人に仕組みを伝えることができ最終的にはスケールする状態が作れると思っています。これはエンジニアリングだけではなく色んな側面で言えることかと思っています。
その状態を作った上でナンバーワンを目指し続けるということをすることで、他の人には負けない圧倒的な成果を作り続けることができるのではないかなと考えています。
これが3年通してわかったこととやってきたことで積み上がってきた僕の、Findyなりのベストなやり方だと思っています。
僕らはそんなマインドとやり方でテクノロジードリブンが事業成長をガンガン増やしていける世界を作りたいと心から思っています。僕が大好きなテクノロジーを駆使して成長できる組織をたくさん作っていきたい。そのためには技術にとことん向き合い、ユーザーや企業の皆様ととことん対話し、優秀なメンバーと一緒に常に前向きに考え続けていく。そして僕らの会社に関わってくれる人達はみんな技術のことが好きでいてくれるような状況を作りたい。行なっている仕事が分かりにくいエンジニアの良さを色々な人たちに知ってもらいたい。そんな状況を作りたい、と思っています。
だからこそ最適なアルゴリズムを生み出し、それを使って理想的な組織をつくる社会にしていきたいと思っています。
しかし今の Findy ではまだまだ規模が小さい状況です。
今回2億円の資金調達を行いました。同じ想いを持っている人たちと一緒にこの理想的な組織を作れる社会を一気に作りたいと思っています。
今回振り返って分かったように、一人で事業を作っていくというのは難しいですが、優秀で同じ方向性を向いたメンバー同士で助け合いながら、たくさんいい失敗を積み重ねて、No.1を目指し続けられれば、いいもの・状況がたくさん作れると思っています。もちろん最新の技術や機械学習などの、魅力的で、一瞬で世界を変えてしまうようなアルゴリズムを作り、使って。
もし Findy に興味を持っていただけたら一緒に働いてみませんか。
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