稽古考37
■ 2005/01/28 『よっしゃ、それでええ』
子供たちとの稽古は「こんくらべ」の感がある。子供同士が睨み合ったまま何分も経つ。私もずっと待つ。いつ技の稽古を再開するのか、二人の子供をひたすら眺め続ける。子供同士、どちらが「いけない」などと簡単に言えない。
子供たちは互いに「おまえが打ってくる番や」。「ちゃう、まだ一回しかやってない」。「二回やったやんけ」、と言い合い。また、「おまえの打ち方、キツイ」。「なに言うてんねん、おまえが、ちゃんと、せいへんから、やんけ」。最後には黙って睨み合う。
前回の稽古では、これがほとんど。途中何度か「稽古せいよ」とは言うが、他の子供たちに気を取られ、執拗には言わない。
今回も同じように最初の技で(前回出来なかったので同じ技で)膠着状態になる。今日もか、と思う。が、諦めずに割って入り、私が『取り』の子供の後ろに付き、まさしく手取り足取り。次に『受け』の方も細かく、これも手取り足取り、やる。怒らず、多少間違っていても「よっしゃ、それでええ」と、笑い顔。この間、他の子供たちの方も『ちらちら』見る。「そこ、足ちゃうぞ、反対や」。「入身投げは、押すんやない、投げるんや」。
1時間、稽古の終わり頃、睨み合っていた子供たちも、何とか技が様になっている。「おっ、出来るようになったがな」と、次回もあることだし、褒めておく。子供は褒めて育てろ、とよく言うが、私はそのような子育てはして来なかった。だからと言って、怒り育てた訳でもない。
ただ、『なだめすかす』育て方は、私が嫌いであったせいもあり、しなかった。また、子供と対峙する時は、そこに誤魔化しが混じらぬよう注意もした。しかし他者(他人の子供)は、特に習い事では(子育てとは)違うのだろう。褒める事の大事さに近頃、気がつく。