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男らしさとは呪いである/『男が心配・奥田祥子』書評レビュー

「男たるもの、◯◯でなくてはいけない」

「男なんだから、〇〇してはいけない」

どんな言葉を入れますか?

本書が説く男らしさの呪いとはまさに今、あなたがこの伏せ字に入れたものそのもの。

これが男たちを縛り付けている。だから苦しい。

2022年に刊行された『男が心配』は主に30~60代の中年期の男性が置かれている状況に目を当て、「そもそもどうしてそんな状況に男は自らをはめ込んでいってしまうのか?」また、「どうしたら抜け出せるのか」を、20年以上に渡って実際の男性たちの反省を取材してきた経験と、数々の文献からの知見をもとに説いてくれる、つまり…

おじさんにとってもやさしい本です

  • 会社からの「男なんだからできるだろ」的な圧力に耐えられない

  • 職場と家庭で求められていることがぶつかり合ってしまいどうしようもできない

  • 男として立派でいたいのに、そうできない自分に嫌気がさしている

こんなモヤモヤを抱えている男性は、絶対読んでください。損はさせません。

かくいう私も二人の子を持つ父親ですが、成人してからずっと、「もっと稼ぎ、ツラいことにも立ち向かっていかなければならない。なぜなら、男だから」という論法からくる価値観に苦しんできた一人でもあります。

しかし、本書を読んだことで、「すぐに」「完璧に」とはいえないまでも、「男らしさ」の呪縛から解放されたような気がしています。

長い人生、様々な苦難やそれに対する選択が求められる場面は年々増えていきます。

本書に登場する取材対象の男性たちも、50代60代で完全に「人生詰んだ…」といった状況に追い込まれている人たちばかりなのですが、元を辿っていくと20代の頃からの微妙なスレがどんどん膨らんでいってしまった、という様子が見て取れます。

ぜひぜひ、職場や家庭でのズレが修正不可能になる前の人ほど早めに読んでおくことをオススメします。

以下、もきまが特にハラオチしたポイントを書き記しておきたいと思います。

男が心配 (PHP新書) [ 奥田 祥子 ]

「男らしさ」は支配するためにある

この本で何よりもハラオチした点は、男らしさが支配構造を形成するのに、特に企業が従業員を雇って、競わせるように仕事をさせるのにものすごく役に立ってる、という視点を与えてくれたことです。

「男らしい」男性は「男らしくない」男性を貶め、脇に追いやることによって自己の優越性を誇示してきた。「従属的男性性」の保持者は、つまり「被抑圧性」に苦しめられているのである。

言われてみればたしかにそうだなぁ、と。

男らしさといえば

  • しっかりと稼がなくてはならない

  • 嫌なことにも立ち向かわなければならない

  • 弱いものを守らなければならない

これってまさに企業が社員に求める理想像そのものじゃないですか?

ひいては社会や、女性が男性に求めるものをリストアップしたものが男らしさと言っても過言ではない。

つまり、男性は男らしくあろうとすればするほど、会社にとっても、女性の配偶者にとっても都合のいい駒的な性質が強化されていくことになるんです。まぁ要は調教ですね。

「求められていることにはしっかり応えていかないと男が廃る」

こうして男らしくあればあろうとするほど、自分を被支配側にズブズブとのめり込ませてしまっている。だからツラい。こういうことのようです。

しかもこれが先史時代の戦いの時代から用いられてきた洗脳手段なわけですから逃げようがないんですよ。いやー、恐ろしい。

しかも現代では男らしさを示すことのご褒美である男性特権はSNS警察やハラスメントバリヤーで、ガッチリと規制されていますから、もはや現代の男性にとって男らしさを示すことは、何もメリットをもたらさないということです。

しかも、この支配構造はなにも、【株式会社】対【男性】のみに当てはまるものではないようなのです。

男は”男らしいんだから”いくら殴ってもいい?

続きは弊ブログでお読みいただけます。(もちろん無料です)
男らしさとは呪いである/『男が心配・奥田祥子』書評レビュー

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