「「科学的」は武器になる」を読んで
先日発売された早野龍五さんの「「科学的」は武器になる 世界を生き抜くための思考法」を読みました。
ツイッターでお見かけした事はあったんですが、CERNでプロジェクトリーダーをされてたり、お父様のいとこがソニーの盛田昭夫さんだったり、早野さんとは何者!?
物語として面白く、一気に読んでしまいました。
「サピエンス全史」等と並んで自分の人生お勧め本トップ5に入ると思います。
自分も住んでたカナダの話も出て来たり、自分の大学院の研究室も少しかすめるような話も出て来たりして個人的にも面白かったです。
タイトルの「科学的」について、仮説を立て、早野さんの専門である実験でそれを検証し、人類の知を一歩進める、まさに科学の真髄だと思います。
「生き抜くための思考法」は自分もカナダの中学で学び、日本も義務教育で教えるべきだと思って繰り返し書いてきた科学的方法だと思います。
もうすぐ東日本大震災から10年ですが、早野さんが福島で活動されてて、ともすると放射線被害が過大報告されてしまうのを防いでいた事も知れました。
終盤で日本の理系教育の未来も案じておられましたが、途中の下記言及にも同感です。
「日本では、答えを与えることを教育だと考えてしまう悪癖があります」
答えのあるペーパーテストばかり繰り返す日本の教育だと全ての事に答えは既にあると勘違いしてしまう。
そして大人になった官僚が、今の科学の選択と集中のように正解だけに投資しろと言い、ビジネス面でもAI等既存の答えであるはずのバズワードばかり追うようになる。
でも早野さんも書かれてるように、今も人類は統一理論等、未知の答えを追い求めているし、ビジネス面でもインターネットやスマートフォンがそうだったように、最初は役に立つか分からなかった物が世界を変えて行く。
個々人が面白いと思った事に興味を持ち、仮説を立て、科学的にもビジネス的にも検証する事で世界が変わって行く。
答えの無い事こそが面白くて世界を変えるし、それを面白がる事、挑んで行く事、その教育をする事が大事ですよね。
先日着陸した火星探査機のパラシュートに込められたメッセージのように、Dare Mighty Things(偉大な事に挑め)です。