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カワイイのはクチでした #11 トビエイのクチ

 動物の可愛さはωすなわちクチとその周辺にあるのだ、との私の持論を証明すべく、これまで哺乳類、齧歯類、鳥類と紹介してまいりました本連載、今回はついに魚類にまで行ってしまいます。
 じつは魚のクチ周辺もたいへん可愛らしいものでして、私はかつて世界最大の魚のクチを求めて大阪にある海遊館まで出掛け、ジンベイザメの餌付けを至近距離から撮影させていただいたことがあります。エサのオキアミといっしょに海水を何百リットルもゴゴゴゴゴと鳴門のうず潮のごとく吸い込むジンベさんのクチはまことにすさまじく、もはや可愛いとか可愛くないといったレベルで語れるものではありませんでした。どうもすいませんでした。
 さてこの写真は、八景島シーパラダイスで撮影したトビエイであります。ヒラヒラと水中を漂いながら、私に笑いかけているかのようなクチが印象的です。私が水族館巡りをしていて気がついたのは、サメとエイのクチがやけに面白いという事実です。このトビエイやホシエイ、トラフザメなどはいつも笑っているようなクチをしています。そしてマダラトビエイのクチは何となくだらしない感じで、シノノメサカタザメのクチはいつも怒っているように見えます。ネコザメのクチは何やら複雑怪奇で恐ろしげな感じがします。
 近頃の水族館は、どこも見やすい水槽が多くなっていて、私どもω愛好家にとっては、まことに喜ばしい限りです。みなさんもぜひ各地の水族館を訪れて、可愛いクチ、面白いクチ、恐ろしいクチなどを、お楽しみくださいね。ではでは。

このnoteは、2013年に新聞で配信したコラム(全12回)です。