何度も観た‼️ウォン・カーウァイ監督香港映画の名作「花様年華」
映画(花様年華)(長文失礼します)
午前十時の映画祭14で観たウォン・カーウァイ監督の映画です。実はこの映画、テレビも含めると4、5回は観ていると思います。チャイナドレスを何着も着こなすマギー・チャンの美しさが何とも印象に残っていますが、何回も観ると最初は気づかなかった、ディテール(細部)が徐々にわかってきます。
上記の映画祭で取り上げられるぐらい有名作品で、観られた方も多いと思いますので、敢えて「ネタバレあり」はなしにしますが、マギー・チャンとトニー・レオンが演じる大人の恋愛事情を描いています。
1962年の香港を舞台に、共に既婚者である2人が同じアパートに引っ越して隣室同士になります。女性の夫は出張が多く、男性は多忙で妻も同じ状況にあり、2組の夫婦は共に関係が順調ではあるとはいえません。そうした同じような境遇の中で、ある事件がきっかけで隣室ということもあり、男性と女性の距離徐々に接近していきます。
ただ大人の恋愛(不倫)にあるようにいきなり情欲に走るのではなく、あくまで接近しつつも距離は保ちながらの関係が続きます。それは既婚者であるがゆえの側面もあるかもしれませんが、単なる情欲に走る不倫ではない別の関係を築いていくような側面もあると思います。
男性は元々小説家志望の新聞記者ですが、新聞の連載小説が始まりそうなので、女性にアイデア出しを手伝ってほしいと申し込みます。迷いながらも引き受けた女性は、男性が借りた部屋で2人一緒にアイデア出しをしながら、男性が原稿を書く作業が続きます。
2人で食事をしながら、女が「別に女がいるのね?」と尋ねます。男は最初否定していますが、その後に認めると、ここでは映画らしくテイク1と2があり、テイク1では男の頬を軽く叩き、テイク2では「苦しいほど悲しい」と男の肩に泣きながらもたれかかります。
慌てた男が「なぜ泣くの?練習なのに」。つまりこの会話は小説のストーリーだったのですが、女の方が感情移入してしまい、涙が出てしまったというシーンでした。
最初は興味からだったが、本気になってしまった。2人がよく出会い、雨宿りをする建物の軒先で男が呟きますが、それは女にとっても全く同感でした。ただ男は女が夫と別れないと感じて、自分から去りシンガポールへと行くことを告げます。女は男の肩で泣きながら、その後「今夜は帰りたくない」と、自分の偽らざる心境を吐露します。
以上のように同じ映画を数回も観ると、ここまでディテールが理解できるようになりました(笑)
ウォン・カーウァイ映画の恋愛には様々なタイプがありますが、この映画は大人同士の、プラトニックであるがゆえの切なすぎる恋愛映画に仕上がっていたと思います。
ただ「帰りたくない」というマギー・チャンのセリフを聞けば、プラトニックのままなのかは謎ですが(再笑)
(写真は公式サイトより引用しました。セリフは上映中の記憶を基にしたので、正確ではないかもしれません。)