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磯崎新設計の図書館は吹抜に円盤が浮遊❗️「豊の国情報ライブラリー」

年度末有休消化の小旅行ーその9

240330(土)豊の国情報ライブラリー

磯崎新設計のアートプラザ(旧県立大分図書館)に続いては、同様に磯崎が設計した豊の国情報ライブラリーを見学に行きました。竣工は1995年ですから今から29年前で、大分県立図書館、大分県立先哲資料館、大分県公文書館の3つの施設からなる複合文化施設です。

中央の大分県立図書館を挟んで、左右に先哲史料館と公文書館が配置されていますが、1966年竣工のアートプラザと比較すると、その作風の違いがよくわかります。
外観に四角い筒状のグリッドデザインを多用したコンクリート打ち放しのアートプラザに対して、この建物は3つの用途に対してマス(塊)をそれぞれ作り、中央を低層に左右を高層にして、対比させています。仕上もコンクリート打ち放しではなく、石貼やタイル貼でマスごとに分けています。

内部に入ると図書館のエントランスホールには、15m四方の吹抜の上部に円盤状のコンクリートの物体が固定されており、その隙間から日光が漏れてきます。これがビジュアル的にも1番有名な空間であり、作品紹介でも多く登場しています。

さらにエントランス階段を上がって閲覧室へ入ると、100本とも言われる柱が林立する高い天井の空間が広がります。柱の据え付けられた金属製の換気塔、今では常識となったガラス張りのエレベーターシャフト、柱と梁を同じ寸法で交差させ、その上に乗ったボールトの天井と埋め込みの照明、さらに皿型のステンレス製の手洗い器などなど。
さらに図書館へと向かう長い廊下は、ダウンライトではない間接照明が使われていました。

内部空間の構成からディテール(細部)までが、30年程前は先端のデザインだったと思います。勿論その洗練度は、今も色あせることはありません。アートプラザから豊の国情報ギャラリーまでの変貌は、モダニズムからポストモダン、さらにその後の複合的な変貌があったと思います。
磯崎がかつて言っていたのは、都市は絶えず変貌していくものであり、建築もそれに対応するように変化しなければならない。リチャード・マイヤーや安藤忠雄が1つの設計手法を通し続けているのは考えられない。
都市の変化に対応した建築も変化を続けていくものであり、この建物も変化を続ける過程での1つの作品だったのかもしれません。

尚、この施設は撮影には申込書への提出が必要で、撮影した写真は個人目的以外(SNSなど)の使用は禁止とのことでした。よって撮った写真はアップしないつもりでしたが、それでも削除覚悟で1枚だけエントランスホール吹抜の写真を載せておきます(敬称略)。

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